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保健看護学部看護学科

佐々木 史乃  先生
Vol.04 2016.1

佐々木先生

看護師になろうかな

高校では会計や情報処理を専門的に学んでいましたが、従姉妹が看護師ということもあり成り行きで看護の道に進みました。また、病院にお世話になる機会もあまりなく、私が高校生だった頃はまだ医療ドラマや高校生向けの1日ナース体験などもなかったので、看護師の仕事はあまり想像できませんでした。今は志望動機がはっきりしている人が多いのですが、学生には「やっぱり看護師になりたい!」と思ってもらえるような経験をさせてあげたいと考えています。

看護師時代、そして大学院生に

入職後すぐにICU(集中治療室)配属になり、出産後に産休から復帰してからは、循環器病棟、そして教育課に2年ほど勤務しながら大学院に通いました。
ICU では先輩方も厳しく、業務を覚えることで精一杯、気の休まる時間が無く、とても大変でした。ICUで経験を積んだと自分では思っていましたが、循環器病棟で自分の技術力や観察力の無さを痛感しました。ICUではベッド周辺に必要な品が揃っていましたが、一般病棟は広くどこに何があるかを把握していないと対応ができず、患者さんの病状が急変して焦ることもありました。たくさん失敗もして先輩からも患者さんからも怒られましたが、「学生の間違え易いところを想定しながら授業する」という点でその時の失敗が役立っていると思います。看護師時代に看護師長から「一緒に学び、育てることで自分も育つ」とよく言われましたが、それを実感しています。

佐々木先生

看護師として8年くらい経った頃に一通り看護業務をこなせるようになり、循環器病棟の実習指導者になりましたが、指導者研修会に参加し、他人に教えるためには、自分の経験ではまだまだ知識が足りないことに気づき、大学院で学びたいと思いました。仕事と子育ての両立や経済面のこと、静岡県から千葉県浦安市にある順天堂浦安キャンパスまでの通学など、不安も多々ありましたが病棟師長や看護部長が背中を押してくれたので、その一歩を踏み出すことができました。進学しやすいように病棟勤務から教育課に配置換えしていただくなどの配慮もあり、充実した大学院生活を過ごさせていただきました。
人と関わる看護職という特殊な専門職は、看護の知識だけではなく人としての成長が求められます。本学の看護師は全員が「キャリアファイル」を持っていて、参加した研修や目標を記入していきます。看護部教育課は看護師の教育プログラムや研修プランを立てて実践する部署で、私は看護師のキャリアを伸ばしながら、人としての成長を促す「集合教育」を主に担当していました。「キャリアファイル」を分析し、入職1年目、2年目、3年目それぞれの看護師にターゲットを当てながら適切な研修プランを組み、3年目には「リーダーシップ研修」や「看護研究」という課題を出していましたが、500人以上の看護師全員に個別対応することは難しく、師長と連携を取りながら全体を把握するように努めました。

後進の指導のために大学院へ進学したので現場で実践したいと思っていましたが、大学院修了の翌年に保健看護学部に異動となりました。看護師と教員の仕事は全く違うので戸惑いもありましたが、環境を変えて新しい所で一から頑張ろうと決意を新たにしたのを憶えています。

教員になって

佐々木先生

現在は主に基礎看護学でコミュニケーション技術や日常生活援助技術などを、また実習室では病棟用ベッドを使う演習を指導しています。3年生になると「領域 実習」といって授業の多くが病院での“対、患者さん”との実習になるので、そこで困ることのないよう予め1、2年生の時に地域の方々に模擬患者役としてご協力いただき、臨場感のある疑似体験します。自分の経験を交えながら指導していますが、経験で補えない部分は理論でも教えます。
授業では「色々な人の意見を聞き、自分の考えを言う」ことを重要と考え、グループワークの機会を多く設けています。看護師になればお医者さんやいろいろな職種の方々と一緒にチームで働くことになるので、大学1年生からチームを意識し、慣れることが大切です。学生には「チームワークにはコミュニケーションが必要」と伝えていますが、コミュニケーションの正解は一つではありません。学生達は大学入試まで、数学のように1つの正解を求める勉強をしていたので、急に正解が無いことを皆で考えることに戸惑いを感じるようで「どれが正しいんですか?」とよく聞かれます。「そういう対応も良いね」「この方法もアリだよ」と答えると腑に落ちないようですが、4年生になると自分の言葉で説明できるようになります。1年生の時はモヤモヤしたまま「どう答えればよかったんだろう?」とたくさん考えてもらうのが狙いなのです。

「フィジカル・アセスメント」という授業について

フィジカル(身体を)アセスメント(評価・判断する)というのは患者さんの体を観察する看護師に必要な技術です。今はレントゲンなどの医療機器もありますが、医療機器を使う前に表面的には判らない体の状態を、その症状からより深く入っていくもので、指で叩いて音を聞いたり(打診)、手で触れてみたり(触診)、五感を使って患者さんの体を観察する技術です。患者さんが診察室に入った瞬間から観察し、五感を使ってどんどん焦点を絞って病状を探っていきます。
看護師だけでなく、医師もフィジカル・アセスメントを行いますが、立場が違うと見る視点も違うということを教えています。医師は診断を下すため、看護師は患者さんがより回復・自立に向かっていけるよう、患者さんの日常生活を整えるための観察です。患者さん一人ひとりの考え方、ニーズに合わせた手助けの方法を考えるための技法ですが、修得して細かい配慮ができるようになるのはなかなか難しいと思います。看護師は3年目くらいでリーダーを任され、自分の業務だけではなく、看護チーム全体を見る立場になっていきますが、その頃になって初めてフィジカル・アセスメントの大切さや、その意義が本当に解り始めると思います。

仕事を楽しむ

私は母から「看護師であろうと、どんな仕事であろうと大変さは変わらない。どれだけその仕事を楽しんでできるかは自分次第」と言われてきましたが、その言葉のお陰か、毎日楽しく仕事をしています。

毎年「病院に戻って看護師として働きたい」という思いと「教員として学生と関わっていたい」という思いの間で迷っていましたが、教員生活6年目になり、それでも教員を続けているということはやはりこの仕事に魅力を感じているんだろうなと思うようになりました。

佐々木先生

学生に注射など新しい事を教えた時の学生の目の輝きや表情、「あ、こうなんだ!」という初めて理解できた瞬間に立ち会える事がとても嬉しく、これが教職の 魅力なんだと最近改めて気づきました。責任も感じますが、最近は我が子が初めて立った時の母の喜びのような感覚があります。看護師には常識でも学生には新しく学ぶことですし、学生からの質問はその視点が非常に新鮮で、自分が忘れかけたものを思い出させてくれます。

積極的に学生の中へ

実習室では教員も学生もこのユニフォーム姿です。学内の服装は自由ですが、実習室は病院を疑似体験する場なので「ユニフォームを着たらこの実習室は病室と考えなさい」「オンとオフを分けなさい」と言っています。学生は“病室で働く看護師”になりきり、私も意図的に厳しく指導します。学生を緊張させすぎてもいけませんが、2年後には病院実習にいかなければならない学生達に、本番さながらの体験をさせたいと思うので、先輩看護師として「ダメなものはダメ」と教えます。

ただ、一人ひとりをしっかり見ないと本当の指導はできないと思うので、意識してなるべく丁寧に学生と関わるようにしています。授業中は厳しいので、学生からは「病院で一緒に働きたくない」「先生で良かった」と言われますが、「こんなこと言ってもこの先生は怒らないぞ」という気持ちがあるから言えるのだと思うと、少し嬉しく思ったりします。

最近は担当する授業科目数も増え、学生と関わる時間が減っているのが悩みです。解り易い授業をするために考える時間が必要で、授業の準備にはとても時間がかかります。助教の時は学生と一緒に練習したり、授業以外でも学生と一緒に考えたりできましたが、最近はなかなか時間がとれなくなりました。それでも廊下ですれ違うときなどは、学生さんから挨拶してくれるので、そういう僅かなコミュニケーションの時間を大切にしています。

色んな看護師がいて良い

人によって「この子は看護師向き」とか「この子はちょっと頑張らないと」と感じることはありますが、4年間で大きく成長しますので卒業時を思うと非常に楽しみです。学生自身も「私は看護師に向いてない」と感じる時があるようですが、職業の向き不向きはすぐに判るものではないですし、また、年をとったからといって解るものでもありません。看護師にもいろいろなタイプの人がいますし、看護師の活躍の場は病院だけでなく、町の小さなクリニック等でも大事な役割を担っています。看護職を目指すひとには「看護師になりたい」という自分の気持ちを大切にして挑戦して欲しいですね。

佐々木先生

順天堂は本当に学生と教員の距離が近く、卒業生がいろいろな先生方のところに遊びにきてくれます。教え子から仕事の相談を受けることもあり、相談を聞く中で成長を感じられるのがとても嬉しいです。時には私がそうであったように心が折れそうになることもあると思いますが、そんなときこそ顔を見せに来て欲しいと思いますし、これからもどんなことにも相談に乗れる存在でありたいなと思います。
保健看護学部看護学科 佐々木 史乃  先生 経歴
1999年静岡県立東部看護専門学校卒業。2009年順天堂大学大学院医療看護学研究科健康看護科学領域専攻(修士課程)修了。
順天堂大学医学部附属静岡病院で看護師としての勤務を経て、2010年の順天堂大学保健看護学部開設と同時に助教として就任。2014年より同講師。

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