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保健看護学部看護学科
 
- Iitsuka Maki -
 
飯塚 麻紀 先生
Vol.15 2016.12

飯塚麻紀先生

今回は保健看護学部の飯塚麻紀先生にインタビューさせていただきました。

看護師を目指したきっかけ

飯塚先生

「脳外科の看護師になりたい」と強く思ったのが中学校3年生の冬で、祖母がくも膜下出血で倒れて半年ほど意識の無い寝たきり生活を送り、そのまま他界したことがきっかけでした。看護科のある高校への進学を希望しましたが、一般的に「看護師の仕事は大変」と思われていたこともあり、親から、「そんな大変な仕事に就いてどうするの」と反対され、普通の高校に進学しました。それでも「看護師になりたい」という気持ちは変わらず、大学は念願の看護学部に進学しました。真面目な学生ではなかったと思いますが、ずっとやりたいと思っていた事が学べて大学生活は本当に楽しかったです。
大学卒業後は希望通り脳外科の入院病棟に勤務しました。脳外科は、例えば同じ病名でも脳の損傷具合によって患者さん一人ひとり症状が全く違うので、看護はとても難しいです。看護師は日々勉強で、その都度、最適な対応ができるようにしなければなりません。

脳外科は突然の発症が特徴的で、患者さんもご家族も「さっきまで元気だったのに」とよく動揺されます。意識が全く無くなる方、意識はあっても麻痺が残って今まで通りの生活が送れない方など病状は本当に様々で、患者さんのご家族も取り乱してしまったり、変わってしまった患者さんの受け入れに悩んだり戸惑われることが多々あります。

私は “患者の家族”として多くの事を感じて看護職を目指したこともあり、臨床を離れた今でも脳卒中で後遺症を残した「患者さんのご家族にどういうケアが必要なのか」ということを研究のテーマにしています。

看護師から教員へ

看護師をしていた頃に大学時代の恩師にお誘いいただき、大学の助手になりましたが、3年程度の現場経験では知識も経験も足りないと痛感し、一度看護師に戻りました。その数年後に「研究がしたい」と思って再び大学の助手になり、学位を取ってからはそのまま教員の道を歩んで今に至っています。

教員になる時は中学生時代から望んでいた看護師を辞めるのが寂しく、葛藤がありましたし、教員になってからもしばらくは「看護師に戻りたい」と思うこともありました。「自分のケアで患者さんが変化する」ことが看護職の醍醐味ということもあって、教員になってしばらくは達成感を感じることが難しく感じていたのですが、その後、「学生を教え指導することで学生が良いケアをできるようになったら、それが患者さんにとっても良いことだ」と思えるようになり、「教員として良い看護師を育てたい」と考えるようになりました。

飯塚先生

故郷に似ている/富士山で季節を知る

富士山

三島キャンパスから望む富士山
順天堂大学保健看護学部に就職する時は、家族での引っ越しを伴うので大変な勇気と決断が必要で、ずいぶん悩みました。ただ、三島市は山に囲まれていて、どことなく故郷の福島に雰囲気が似ていて落ち着くことと、また恩師と一緒に仕事ができる事が魅力で決心しました。子供たちは大変だったと思います。保健看護学部は近くにお住まいの方との交流があったりするのも良いですね。ここに勤務して3年目になりますが、富士山が綺麗に見え始めると、冬の訪れを感じます。
看護師から教員・研究者へと立場は変わりましたが、看護師を志望した最初の動機、臨床での経験、そして研究内容は一貫しています。今は教員として学生の病院実習に同行できるので、新しい治療やケアの方法を直に見ながら、学生と一緒に患者さんのケアについて考えたりしています。研究・教育をしながら臨床からも離れない、それがこの仕事の魅力だと思います。

「成人急性期」「周手術期」の看護の指導を担当

私が担当する「成人」という領域は小児を過ぎた15歳から65歳未満までの一番広い年代で、対象疾患は無数にあります。成人は「慢性期」と「急性期」に分かれ、私は“救命救急”や“周手術期”などの「急性期」の看護教育を担当しています。「慢性期」の病気といえば糖尿病やガンなど40代以降の病気を思い浮かべると思いますが、「急性期」の特に“救命救急”では年齢は関係ありません。ただ、今は高齢化が進んでいるので、やはり手術を受ける患者さんも高齢期の方が多くを占めます。
“周手術期”は手術を中心にして術前・術中・術後の期間をさします。学生は手術見学も行いますが、主に「術前と術後に病棟でどのように看護するか」という事を一般外科や整形外科の実習を通して学びます。

想像力を働かせてほしい/工夫を重ねて記憶に残る授業を

保健看護学部は1学年120人と多人数ですが、授業は一方通行にならないように心がけています。学生にはできるだけ与えられた指示に従うだけではなく、自ら想像力を働かせて何が必要なのかを考えられる看護師になってほしいと思って授業をしています。実際の看護については、言葉だけで伝えるのは難しいので、やはり臨床での実習が必要です。学生は実習によって一番多くのことを感じてくれます。看護学部は実習なしには成り立ちません。

飯塚先生

授業では「どうすればその状況がイメージできるか」に重点を置き、看護師時代の体験談や実例を挙げながらいろいろと語っています。学生には「熱すぎる」と思われてるんじゃないでしょうか。伝えたいことがたくさんあって本筋から脱線してしまうこともよくあるのですが、学生からは「余談が面白かった」という感想をもらうこともあります。「1つでも多く学生の記憶に残る授業がしたい」と思っているので、余談でメリハリをつけながら、重要な事は必ず強調するようにしています。

病気の回復過程の支援と同時に、「生活する人」という視点で患者さんやそのご家族への支援を行うというのが急性期看護の専門性だと考えています。それを理解してもらうために学生には「病気でどんな症状が現れるのか」、「その症状や苦痛を和らげるためにどういったケアを行うのか」、「元の生活に戻るためにはどのようなケアが必要なのか」ということを教えています。

授業風景

医学は常に進歩し治療方法や薬もどんどん変化するので、教える者として学生よりも勉強が必要です。それでも全てを理解しているとは言えません。最近は「それで良いのかな」と思うようになりました。例えば同じ肺がんの患者さんでも、性格も、家族状況も、病態も一人一人違うので、その人の様々な状況に合わせた適切な対応が必要です。実習の際にどんな対応をすべきか判断に迷うことがありますが、知識のみに頼るのではなく、その場で学生と一緒に考えてサポートする事が、学生の教育という面でとても大切だと実感しています。

病院での実習/学生の成長が嬉しい

学生は1年生で1週間、2年生は2週間と病院実習をしますが、病気については未学習で、本格的な実習は3年生からです。3年生は実習前に OSCE(オスキー)という看護技術の試験を受けるのですが、その試験では近隣の方などにボランティアで模擬患者役を手伝っていただいています。学生同士の練習とは違い、普段接することのない方たちが患者さん役をしてくれるのでリアルですし、学生たちは緊張しますね。

今は3年生の実習と、2年生、3年生、4年生の授業を同時並行で教えています。3年生の病院実習は10数チームに分かれて、1年がかりで全ての領域(診療科目)をまわります。急性期実習も3週間続けての実習が年間6クール、これがほぼ1年間続くため、教える方もなかなかハードです。

学生は実習に行くと変わりますね。3年生で1年間実習して、4年生の実習になるとまるで看護師同士のような実のあるディスカッションができるようになるので、学生の成長を感じて嬉しいです。教師をやっていてよかったなと思う瞬間ですね。

医師は治療、理学療法士はリハビリ、看護師は「何をする人」なのか。

飯塚先生

患者さんやそのご家族にとっては「看護師は何をしてくれる人なのか」わかりにくいのではないかと感じています。医師の指示通りにやっているだけのように見えるかもしれません。

看護師の仕事は、「医者の診療の補助」と「患者さんの生活の援助」の2つがメインとなります。病院では医師、薬剤師、栄養士、理学療法士など多くの人がチームとして働いていますが、その中で調整したり情報を伝えたり、連携を図るのも看護師の役割だと思います。看護師は患者さんの傍に一番長く居るので、患者さんが良くなるためにはどうしたらよいのかを考えて調整する必要があります。
いろいろな方に看護師は自らが「看護師として判断をして行動している」ということを知ってもえるようなケアをしたいと思いますし、看護師を目指す看護学生にもしっかり解ってほしいと思っています。

学生時代にはいろいろな体験をして感性を育てて欲しい

学生には、大学生のうちにできるだけ色々な体験をしてほしいと思っています。自分で感じることが一番重要かな、と思うので、人としての感性というか、悲しいのも苦しいのも痛いのも、なんでも感じて欲しいのです。こればかりは他人に教えてもらって解るものではないので、教えるのは非常に難しく、でも看護では最も大切な部分だと思うんです。

「病気になったらどうなる」という知識は授業で教えられますが、病気になった患者さんに寄り添い心身のケアをするのが看護という仕事なので、良い看護をするためにはその人が元々どんな人で、どんな生活をしていたのかという事を知り、どこがつらいのかなど想像することが必要です。そうした体験の積み重ねが看護師には必要だと思います。

看護師に必要な資質

看護師に必要なのは、患者さんやご家族はもちろん、看護師同士や他職腫の方々と関わるための「コミュニケーション力」だと思います。それと、医師も同じですが、本当にいろいろな患者さんに出会いますし、辛いこともありますので、自分のストレスを巧く処理できない人には難しい仕事だと思います。感性も必要ですし、それだけではなく気持ちのリカバー、つまり気分転換がちゃんとできる人が看護師に向いていると思います。

アドバイザー制度/手厚い学生指導

順天堂大学は手厚い学生指導で有名ですが、その1つとして保健看護学部にはアドバイザーの制度があります。教員は2名1組で1年生から4年生まで各学年8人ずつ、32名、入学から卒業までその学生を担当します。

担当の学生とはそれぞれ面談をしますし、実習で担当した学生は最終日に必ず面接をしています。学生の側から悩み事や勉強の相談を受けることもありますし、私から「自分ができているところはどこ?」、「いまの自分の課題は何だと思う?」と聞いたりしながら、学生生活をフォローしています。

飯塚先生

保健看護学部は医療看護学部(浦安キャンパス)と同様、看護師の国家試験の合格率が高く、その点については保護者の方からも信頼をいただいています。大学として授業以外に国家試験のフォローなどできる限りのサポート体制を敷いてはいますが、最終的には学生本人の頑張りがものをいいます。そういった意味で、高い合格率は、学生たちの努力の結果だと思っています。

保健看護学部看護学科 飯塚 麻紀  先生 経歴
1996年 聖隷クリストファー看護大学看護学部卒業後、聖隷三方原病院看護師
1999年 聖隷クリストファー看護大学 助手を経て2001年北福島医療センター看護師
2007年 福島県立医科大学看護学研究科(修士課程)修了後、同看護学部助教・講師
2014年 順天堂大学保健看護学部 講師
(2012年より筑波大学大学院人間総合科学研究科看護科学専攻(博士後期課程)に在学中)

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