学長メッセージ
本学大学院で学修することの意義
- 医学者にとって大切なことは、科学者であると同時に、教養人であるということです。すなわち、医学者は、高度な知性と技能をもち、そして、豊かな感性を涵養するということが、社会から常に求められています。
- 本学大学院では、このような医学者の養成を目指します。すなわち、本学大学院で学位を取得することが、医学者へのスタートラインに立つということです。
- 科学は、常に発展し続けるものです。常に進歩しているため、現時点で人智を尽くして正しいものであっても、数年後には正しくないということもあります。本学大学院で学修するということは、不断前進する医学を、生涯にわたってキャッチ・アップし、アクティブに学習し、正すべきは正し、新しい知識・技術を理解、実践する能力を涵養させます。自らの医学者としての活動を継続できる学習法、思考法の進取を志向させます。
- 本学の学是は「仁」です。本学に集うものすべてが共有している“心映え”です。常に相手の立場にたって物事を考え、人間として、あるいは医学者として他を慮り、慈しむ心、是れ即ち“仁”を大切にします。医師はまず感性豊かな教養人であることの証しとして、本学で創立以来、大切にしているもの、それは“仁”の学是です。
このような本学の基本理念に立脚して、本学大学院では基礎医学者と臨床医学者を育成します。本学では医学研究科(博士課程)は、究極的には心身共に病める人々の救済することを最終目標とします。基礎医学者然り、臨床医学者然りであります。本学大学院では、この明確な専攻目的のもとで、科学的な思考法や研究方法論を学修するための体系的な教育が展開されます。 - 本学大学院における基礎医学者コースは、自立した研究者として、先進的な医学を追究し、国際的な若手研究者として成長する重要なステップと位置づけています。その研究環境は充実しています。発表される研究論文をみますと、国際的に高い評価を受け、そのインパクト・ファクター(IF)やサイテーション・インデックス(CI)の高い論文が数多く発表されております。全国国公私立大学744校中、年間博士論文数で約20位(平成17年度)、CIは10位以内(1992〜2001年間統計)と極めて高いレベルに位置します。
- 本学大学院では、基礎医学群と臨床医学群との群内及び群間の相互交流が盛んなことも特徴です。基礎医学の活性が臨床医学をさらに活性化すると共通認識しておりますので、基礎医学から臨床医学への応用、そして臨床医学の基礎医学へのフィードバックが、非常に盛んです。学内外そして国際的な共同研究の交流を含め、幅広い学術の場が整備されています。
- 一方、臨床医学者(臨床医)の重要な責務は、医学を安全に臨床に還元する医療を通して社会に貢献することです。医学は日々進歩しますから臨床医としての責務を遂行するためには、人間に関する総合科学である医学と常に向う姿勢、すなわち研究するということの基本を身につけることが生涯にわたり求められます。 この研究マインドの涵養が、医療を求める人々への安全で正確な医療提供の源泉となります。そのための研究能力と専門性を育む教育が、本学大学院の臨床医学コースのPhysician Scientistプログラムです。
- 臨床医をPhysician Scientistに養成するためには、豊富な臨床例が必要です。本学では、外来一日当たりの平均患者数8,000名以上、入院ベッド数3,199床という附属病院群の診療実績があります。豊富な臨床例は、Translational Research(TR)を容易に行うことのできる臨床研究環境を提供しますから、臨床医学コースから研究マインドを深く抱いた卒業生が数多く輩出されています。
- 臨床医が臨床研究に携わることは、医療を求める人々のために、自らの医療の向上のために、そして将来指導的立場で社会に貢献するために、現在最も強く求められている素養です。最新の医学知識を身につけた指導的医師として成長する出発点が、本学大学院での学修にあります。
- 過去5年間(平成13年度〜平成17年度)の学位授与数は、596名(年間平均119.2名)です。本学が総合大学ではないことを考慮しますと、授与数の多さでは国内でも有数の大学院の一つになっています。この大学院教育を支えている指導者は、1,017名(常勤教員数、平成18年3月末現在)です。
- 文部科学省は、平成19年4月から大学における教員資格の一つとして学位取得を原則としました。医学を進展させる使命を大学は担っていますから、医学に携わる臨床医にとっても、今後学位を取得することが社会的な活動においても大切なことを意味しています。
研究科長メッセージ
大学院生が望む多様なキャリアパスを支援します
大学院医学研究科の役割は2つあります。一つは、研究者を育成することであります。大学院は「研究の最前線」であり、研究的態度を学び、論理的思考力、科学的な目や批判力を養う重要な教育課程です。研究は、研究者として、医師として解決すべき問題に対して、自分自身で考え、判断する力を強化します。探求心を持ち、一度サイエンスの奥深さに触れると自分の知る生命科学や医学の世界は一気に広がります。つまり、研究をすることは、自らの研究力のみならず教育力そして臨床の力の向上にもつながるわけです。
本学では、このような大学院の人材育成機能を強化するために、大学院の教育課程を一新しました。
本医学研究科では、進路を大きく基礎医学者コースと臨床医学者コースに分け、いずれのコースでも大学院入学者の希望に添ったキャリアパスを支援するプログラムを整備しております。医学部出身者、医学部以外の出身者、また国籍を問わず、幅広い領域において優れた研究者、高度な専門家を育成いたします。臨床医学者コースでは、博士(医学)の学位取得と関連学会等の認定資格を取得できるような教育が行われます。詳しくは、次の「本学の大学院の授業構成」をご覧下さい。大学院の教育・研究の大部分は、55の研究分野の研究室と4つの研究推進センター(アトピーリサーチセンター、老人性疾患の病態治療センター、性差・環境医学研究所、スポトロジー研究センター)、そして7つの寄付講座と21世紀COEプログラム「病院感染予防のための国際的教育研究拠点」および2つの研究支援センター(研究基盤センター、疾患モデルセンター)で行われます。これらの最新の設備を整えた施設を十分に活用して欲しいと願っています。さらに3,199床を有する6つの附属病院群も安全で正確な医療技術・態度を習得するための、また臨床研究能力を涵養する場であります。
新しい真実の発見を目指す研究者にも、高度なプロフェッショナルを目指す者も若い情熱とエネルギーが必要です。本医学研究科はそのような意欲ある大学院生を歓迎いたします。若い皆さんに大いに期待しております。


