教室紹介

「画像診断・治療学」について

「画像診断・治療学」は、肝胆膵の診断と非外科的低侵襲治療を担当しています。2012年12月1日付けで椎名秀一朗教授が就任しました。以前から肝胆膵領域の診療と研究に伝統と実績のある教室ですが、椎名教授を迎えて、さらに原発性・転移性肝癌のラジオ波焼灼術(RFA)の分野でも大きな実績をあげています。なお、椎名教授の就任に伴い、教室名に「治療」という言葉が加わり、「画像診断・治療学」という現在の名称になりました。

診療

画像診断・治療学教室は、消化器疾患の外来および入院診診療を消化器内科と一緒に行っています。担当する肝胆膵疾患の症例数は全国でも有数であり、最新の画像診断法を用いて体系的、合理的に診断し、低侵襲治療を行っています。肝胆膵外科とも連携して診療を進めています。

胆膵領域

胆膵領域では、内視鏡や超音波を使用したインターベンションを積極的に実施し、日常診療だけでなく緊急例の診療にもスムーズに対応しています。具体的には、急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎、膵腫瘍(膵癌・膵管内乳頭粘液腫瘍・膵内分泌腫瘍)、胆道癌、総胆管結石、十二指腸乳頭部腫瘍などの診断と治療を行っています。2013年には内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を466件、内視鏡的乳頭括約筋切除術(EST)を136件、内視鏡的胆管・膵管ステント留置術を225件、内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)を85件、経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)等を252件、超音波内視鏡(EUS)を376件、超音波内視鏡下針穿刺吸引術(EUS-FNA)を79件実施しました。また、体外式超音波は5,686件実施しています。胆膵の悪性疾患の症例数は全国でも上位に位置するため、多施設共同臨床研究や臨床治験などにも積極的に参加し、肝胆膵外科とも連携して診療を進めています。

ラジオ波治療

ラジオ波治療の実績

肝癌に対するラジオ波治療(RFA)は、2013年の実績で481例となり日本でトップとなりました。当科には多くの大学病院やがんセンターなどから治療困難という理由で患者さんを紹介されており、全国各地からだけでなく海外からも治療を求める患者が来院しています。なお、コンピュータに強いスタッフが加わり、データベースを構築しましたが、今後は肝図システムを導入したいと企画しています。最近では大腸癌や胃癌の肝転移のラジオ波治療が増加しています。転移性肝癌でも10年以上の生存が何名も存在し、2000年3月にラジオ波治療を実施した直腸癌肝転移の女性は、15年以上生存中で、2015年現在、98歳になっています。また、保険適用外の肝外病変に対してもラジオ波治療を実施するため、「肝細胞癌その他の悪性腫瘍の肝外病変に対するラジオ波治療の有効性と安全性に関する研究」の自主臨床試験実施計画を病院倫理委員会に提出し承認されています。

国家戦略特区

順天堂大学は国家戦略特区「医療分野におけるスピーディーな先進医療の実現」に応募し承認されました。その際、「肝外病変に対するラジオ波治療」は「世界最高水準の高度の医療であって、国内において、その普及が十分でない治療」として、「ダヴィンチ手術」、「皮膚難治性潰瘍に対する血管・組織再生治療」とともに、「特区」を申請する際のプロジェクトとなりました。国家戦略特区が認められたことにより、保険外併用療養の特例が適応され、通常は先進医療の申請から実施まで6カ月程度かかるところ、3カ月程度に短縮されることも可能になります。また、先進医療を提供するための専用病床の増床や外国人医師特例が認められることにもなります。

血管造影

当教室は、アンギオ班と呼ばれていた時期もある程、肝動脈化学塞栓術(TACE)や肝動注化学療法(TAI)など、血管造影を利用したインターベンションでも伝統と実績があります。当院は現在、国内で最も多くの肝癌患者をフォローアップしていますが、今後もその数は増加すると予想されます。 肝癌では長期間経過すると多発再発を起こす症例が多いのですが、そのような場合には治療法としてTACEやTAIが選択されるため、実施数はいっそう増加すると考えられます。今後も引き続きこの分野を強化していきます。

研究

大学の教室として、新しい医学・医療の創生が期待されています。日常臨床から生まれる疑問に答えるため、臨床研究を企画し、実施し、解析し、その結果を学会に発表し、論文に投稿し、世界に情報発信する必要があります。
当教室では、まず、研究を進める上での基本となる知識や技術を習得し、さらにサイエンスに基づく論理の組み立ての重要性を認識してもらいます。研究テーマは個々人の興味を尊重します。
現在、研究室では、①超音波、CT、MRI、内視鏡、血管造影などの診断機器を用いた胆道・膵疾患の診断と低侵襲治療に関する研究、②ラジオ波焼灼術の治療評価の客観化に関する研究、③肝悪性腫瘍以外へのラジオ波焼灼術の適応に関する研究、④ラジオ波焼灼術以外のablation技術の開発、⑤臨床検体を用いた基礎的研究とトランスレーショナルリサーチ、を推進しています。非アルコール性早期慢性膵炎疑診例に対するlow fat dietの有用性の論文が欧文誌(Pancreas 2013)に掲載され、また、国内外の学会で、特別講演やシンポ、パネル、ワークショップなど2013年は計30回の発表を行っています。また、椎名教授は前任地で多数の肝疾患の臨床情報をデータベース化して解析を進め、ランダム化比較試験等の臨床研究も実践してきました。これらの経験を基にさらなる診療・研究のシステムの構築を目指しています。当教室では、これまでも、胆膵処置具の開発、超音波ガイド下穿刺用薄型プローブの開発、経皮的局所療法に必要な各種器具の作製、経皮的凍結療法の検討等を進めてきましたが、今後も、産学連携、医工連携を積極的に推進し、画像診断・治療機器・治療支援技術等の開発に取り組んでいきます。

教育

医学生には、講義だけでなく、BSLで胆膵内視鏡やラジオ波焼灼術など、実際の診療を見学して教科書で読んだ知識を確認する場を提供しています。研修医および医局員は、入院診療については、初期研修2年間および後期研修1年目までは先輩医師との2人担当医制をとり、副担当医として患者を受持ちます。医局員は十分な知識と経験を習得した後に週1、2単位の外来診療を担当することになります。また、消化器内科医としての基本手技である上下部内視鏡検査、腹部超音波検査については、順天堂医院や関連施設でトレーニングを受け習得していきます。さらに、当教室では肝胆膵領域の診断と低侵襲治療、血管造影など一段と高度な技術を習得することも可能です。

豊富な症例でより良い研修の場を提供

当教室では、良質の医療を提供し、患者さんの支持を集め、多くの患者さんの診療を行なうことで、より良い臨床研修の場を提供しうると考えています。椎名教授等はこれまで肝癌の低侵襲治療の分野で他の追随を許さない医療を提供し、世界で最も豊富な症例を集積してきました。その結果、医療の現場の活気を生み出し、より良い診療体系の確立につながり、さらに多数の症例が集積するという連鎖によってvirtuous circleを経験してきました。ともに切磋琢磨した人材が、現在、日本の肝癌診療の第一線で数多く活躍しているという事実がその成果の証です。

他施設医師にも門戸を開きトレーニングプログラムを実施

肝胆膵領域は、内視鏡や超音波を使用したインターベンションなど、技術的側面を強く持つ領域です。その技術の水準を全国的に高めていくために本学や関連施設のみならず他施設の医師にも広く門戸を開き、基本的手技から応用技術までをカリキュラムに沿って習得させるシステムを構築できればと考えておりました。そこでラジオ波治療のトレーニングプログラムを企画し、2013年6月、2014年8月、10月、2015年2月、6月、8月と現在までに計6回実施し、全国各地から延べ99名の医師が受講しました。受講後のアンケート調査では、「とても充実したプログラムで勉強になった」、「この貴重な経験を活かして実臨床に役立てたい」、など手応えのある回答が得られています(詳しくは医局ブログをご覧ください http://juntendo-livercancer.jp/)。
肝胆膵領域のインターベンションの発展に本学がリーダーシップを取って貢献できればと考えています。

ラジオ波治療トレーニングプログラム(講義)ラジオ波治療トレーニングプログラム(ライブデモンストレーション)ラジオ波治療トレーニングプログラム(ライブデモンストレーション)ラジオ波治療トレーニングプログラム(集合写真) ラジオ波治療トレーニングプログラム(第1回~第6回受講者)

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