医局員から医学生・研修医へのメッセージ

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平成22年入局 會田真理 「入局の動機と当科の研修内容」
放射線科に入局して3年弱がたちました。
私が放射線科に興味を持ち始めたのは学生時代でした。大学に入った頃はまだ放射線科がどのような科かはっきりとわかっていませんでしたが、実習や初期臨床研修を通じて放射線科の先生方の豊富な知識と的確な診断能力を目の当たりにし、私もこんな医師になりたいと思いました。また放射線科は他科からコンサルトを受けることも多く、画像診断の重要性を感じたこと、全身をみることのできる科であることなどに魅力を感じ放射線科に入局することを決定しました。
 
入局後は本院で診断一般、神経、IVR、治療をローテートし、それぞれの分野のエキスパートの先生方のもとで研修を行いました。専門性の高い各分野をローテートすることで、偏りのない系統だった研修をすることができます。また、順天堂の附属病院をそれぞれローテートし、放射線科医として様々な環境でトレーニングを受けられる魅力があります。
大学病院では症例やカンファレンスが豊富にあり、それぞれの分野の専門の先生方が多くおられるため、勉強をするのに恵まれた環境だと思います。大学ならではの貴重な症例も豊富にあり、読影では上級医の先生がfeed backして指導してくれますし、IVRなどの症例数も多く手技に積極的に参加することもできます。
勉強会や学会にも数多く参加する事ができ、豊富な症例のもとで学会・論文発表をする機会も多く得られ、国際学会で発表をすることもできます。私自身も学会発表は多く経験させてもらっており、国際学会に関しては入局2年目に北米放射線学会(RSNA)で発表をする機会を得ることができ、とても良い経験となりました。
放射線科の他の面での魅力としては、女性でも働きやすい環境にあること、ONとOFFがはっきりしていること、ということにあると思います。当科にも女性医師は多く在籍しており、結婚・出産後も働きやすい環境ができています。当直のない休日には自分の時間を自由に使うことができます。
 
私自身は入局して早3年目の冬を迎えていますが、まだまだ自分の未熟さ、無知さに気づかされる日々です。近年、医療の現場で画像診断はますます不可欠なものとなってきており、日常の臨床に貢献できる場面も増えてきています。その分他科とのカンファレンスも重要であり、幅広い知識が必要とされます。そのためには勉強することが尽きないですし、努力していかなければいけないと思っています。放射線科の諸先輩方の知識と経験に裏打ちされた的確な読影を目の当たりにすると少しでも近づけるように頑張ろうという気持ちになります。一人前の放射線科医になり、一人でも多くの患者さんのためになれるよう、日々努力していきます。
平成21年入局 井上達郎 「画像診断、IVR、QOL」
皆さんは『放射線科医』と聞いてどのような仕事をイメージするでしょうか。医学生、看護師、研修医、他科の医師など、医療従事者の方や、一般の方々に聞いてみたところ、①よくわからない、②レントゲン(やCT、MRIなど)を撮る人、③画像診断医、④放射線治療医というイメージが主のようです。一般の方は①や②という人が多いのですが、実際に患者さんと接する機会が少ないというのは事実なので仕方ないかもしれません。研修医や他科の医師はさすがに③や④、或いは両方とも答えてくれる方が多いですが、医学生さんや放射線科のない小さな病院の看護師さんなどはやはり①や②という人もいるようです。ここまででお分かりの通り、放射線科医の仕事は画像診断や放射線治療となります。
 
私は画像診断を生業としていこうと決めた4年目の(医師としては6年目の)放射線科医ですので、ここでは現時点で私が感じている画像診断の3種類の魅力について、皆さんと共有したいと思います。
まずは仕事の面での魅力です。最も重要なことは、様々な分野の正常解剖や疾患を勉強することですが、これは放射線科以外ではなかなか機会がありません。画像診断医は分野の別なく全身の画像検査に対して正確な診断を行い、紹介科や治療方針の選択に対して助言することができます。もちろん、画像診断専門医という肩書が必要で、私はまだ取得していないので上級医への確認は必須ですが、それでもたくさんの先生が相談しに来てくれます。
 
もう一つ仕事面での魅力は、画像診断医も治療をするということです。ただし放射線治療ではありません。interventional radiology (IVR: 治療に介入する放射線医学)といいますが、たとえばvascular (血管系の) IVRとして悪性腫瘍に対する動注化学塞栓療法 (TACE)、動脈瘤や出血に対する動脈塞栓術、良性腫瘍のサイズ縮小のための塞栓術、non-vascular (非血管系の) IVRとして、CTガイド下生検による診断、圧迫骨折に対する椎体形成術など、これもまた様々な分野で活躍できます。詳しく書くときりがありませんが、その侵襲性の低さと奏効率の高さは医師、患者さん双方に大変歓迎されています。
 
次に研究面ですが、放射線科は比較的新しい分野なので、可能性も広大です。画像診断装置の機能向上や、IVR領域の活躍できる分野の拡大により、多方向から研究材料が集められます。具体的には当科では、臨床研究に加えて基礎研究面で再生医療について、放射線科的立場からIVRに生かすことができると期待して研究しているところです。夢のある研究ではありませんか!個人的には組織の病理を自分の目で見て、画像所見との対比を勉強したいとも思っています。何を勉強するかは自由です!
 
最後に、生活面です。これは科の選択に欠かせないという人もいるのではないでしょうか。そう、QOLです。当院では放射線科に病棟はないので、当直がない限り基本的に休日は休日です(緊急のIVRの依頼はありますが)。そして東京での生活は経済的に負担がありますが、現在は新入局員は全員有給、あるいはそれと遜色ない収入を約束されます。休日は研修や研究に励む一方で、各々が思い思いのプライベートの時間を過ごす時間もあります。臨床、教育、研究の仕事も大事ですが、自分の時間や家族との時間も大切にしたいという方にはとても適している環境ではないでしょうか。
 
今まで述べた事から、放射線科画像診断学の魅力の一部でも皆さんにわかっていただければ幸いです。興味がわいた方はもちろん、方向性に迷っている方も一度は当科に見学に来て、ご自身でこの魅力を体感していただきたいと思っています。まったく興味のない方も、画像診断の不要な科は存在しないので、ぜひ勉強しに来ていただきたいと思います。注射がうまくなりますよ。2か月研修すれば超音波もじっくり勉強できますよ。
平成22年入局 柘植大輔 「大学院での研究」

大学院での研究

私は、2006年に順天堂大学を卒業し、市中病院で前期研修医と内科後期研修医2年間を経て、2010年に放射線医学教室に入局しました。卒業した当初、私は内科医になる予定でしたが、内科を勉強していくうちに特に診断学に興味が出て、色々な病院で当直を数多く経験した後、一つの専門分野を極めるより、幅広い分野の診断を行える医師になりたいと考えるようになりました。近年、診断や術前精査等で画像の重要性は増してきており、頭部から下肢に至るまであらゆる分野を読影する放射線科に魅力を感じ、内科から放射線科に転科しました。そして、入局翌年にCTやMRIを用いた研究を行い、画像についての勉強を深めていきたいと思い大学院に進学しました。当放射線診断学講座では、院生に対して臨床業務を行いながら、研究日や17時以降で臨床実験や基礎実験を行うカリキュラムが組まれているため、臨床から離れすぎず、臨床経験を積みながら研究に打ち込むことができます。従って学位と放射線科専門医を同時に取得することが可能です。私は、現在大学院3年目ですが臨床実験、基礎実験ともに行っています。簡単にご紹介致します。

臨床実験

非造影MRA (time-SLIP法)により肝動脈の描出能に関する研究を行っています。造影剤を用いずに肝動脈を描出することが出来、実際の血管造影の所見と比較しても血管の分岐の描出が良好で、TACEや手術前に動脈の解剖を把握するのに今後有用な手法ではないかと考えます。
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非造影MRA (time-SLIP法)
非造影MRAで腹腔動脈とその分枝が、腹腔動脈造影同様に明瞭に描出されています。
放射線科 msg03_2腹腔動脈造影

基礎実験

脂肪幹細胞(ASCs; adiposed-derived stem cells, adipose stromal cell)を用いた基礎研究を行っています。ASCsは血管新生能を有していますが、直接血管内皮細胞へ分化するだけでなく、PDGF, VEGF, bFGF等の各種成長因子を放出することが血管新生の作用機序として考えられていいます。しかし、その詳細はまだ不明で、虚血部位にASCsを移植した場合、どのように血管新生が生じるかも明らかにされていません。そこで、私たち放射線科ではASCsの研究を精力的に行っている形成外科と共同で血管新生の生起を明らかにすることを目的に、ラットによる実験を行っています。動物用のμCTを用いて、下肢虚血モデルラットにおけるASCsによる新生血管の形態評価を行います。
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実際の実験風景:形成外科の先生方と共同で実験しています。μCTの操作を行っています。
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μCTを用いてた3DCTA: 造影剤投与によりラットの下肢の血管を描出させています。写真は健常ラットの画像です。
平成21年入局 堀田昭博 「胸部画像診断」

胸部画像診断について

胸部画像診断で扱う検査として、単純X線写真、CT、MRIや核医学があります。ここではその中心となる単純X線写真とCTについて述べたいと思います。
単純X線写真は最も簡便であり、一般診療で最初に行われる検査です。学校、企業や住民検診でも行われています。しかし、単純X線写真の読影は難しく、知識や経験が必要となります。さらに、近年はCTやMRIなどの読影に追われ、単純X線写真を読影する機会が減ってきています。そこで、MS chest神田塾やChest imaging forumといった単純X線写真をテーマにした勉強会に参加し、知識の習得に励んでいます。
 
単純X線写真で異常があるが、それのみで判断が難しいときやより詳しい情報が必要なとき施行されるのがCTです。CT機器の進歩により短時間でより詳細な画像を撮影できるようになりました。細かい画像(thin-section CT)や様々な断面(MPR; multi planer reconstruction)を用い、病変の形態や分布などを元に診断を進めていきます。また、造影剤を使用した検査ではコンピューターによる解析により3次元画像(3DCT)を作成することができ、血管の形態や位置を立体的に見ることができます。当院は呼吸器症例が豊富であり、沢山の症例から勉強することができます。稀な疾患や貴重な症例も経験でき、胸部放射線研究会などの学会で症例報告を行っています。
 
胸部画像診断分野は他科の医師、国内外の研究者との連携・交流を積極的に行なっています。たとえば、気胸・肺のう胞スタディグループ(www.lungcare.jp)の会員として日本各地の内科医・外科医・病理医・放射線科医と連携して研究を行い、その成果を国内外での学会で発表しています。また、アジアじん肺読影医養成コース(AIR Pneumo; www.airp.umin.jp)の日本コースを2年続けて順天堂大学で行うなど、じん肺の画像診断でも国内外の研究者と連携しており、今後も様々な分野での共同研究の予定があります。
平成22年入局 山﨑香奈 「研修と出産、育児」
私は現在入局4年目ですが、3年目が終わるころに出産し、現在育児休暇を取得しております。
と言っても、産後1ヶ月から自宅で読影をさせていただいている状況です。
放射線科の仕事といってもCTやMRI、核医学検査など多岐にわたる画像検査の読影から超音波検査、血管造影検査・治療、放射線治療など様々ですが、育児中であっても読影なら自宅でも可能です。私は経験年数が浅く専門医はこれから取得する予定なので、記載したレポートは上級医のチェックが必要ですが、自宅読影でも院内にいるときと同様に上級医の先生がレポートをチェックしてくださいます。あまりにもかけ離れたことを書いていたり、手術後などで病理結果がカルテに記載されていたときなどはチェックしてくれた先生がレポートにコメントを入れてくださる(もちろん、これは放射線科の医師しか見ることのできないシステムになっています)こともあるので、とてもよい勉強になります。同じ読影室で、一緒に画像を見ながら他の医師と議論をしたり、質問をしたりするのは難しくなりますが、ただ漫然と目標もなく自宅で育児休暇を過ごしたり、あるいは幼いわが子を早々に預けて職場復帰したりするより計り知れないメリットがあることは言うまでもありません。
専門医の取得には大学病院や大きな市中病院など、決められた施設で決められた期間の研修を積む必要があります。たとえ研修中に出産、育児が重なったとしても、自宅読影の期間は研修期間として認められます。放射線科ではありませんが、出産・育児のために既定の研修期間を満たしたと認められず、認定医試験が先送りになってしまったという実例も聞いたことがあるので、この点でも当科で研修するメリットは大きいと思います。
それでも悩みがなかったわけではありません。近い時期に出産した友人が複数いるのですが、産後休暇を取得せずに早々に復帰した人、妊娠中から準備して自力で留学を決めた人など、出産後もどんどんキャリアアップしている友人たちを見て、自分はのんびりしすぎかなぁ・・・と葛藤する日々もありました。しかし、隣の芝生は青く見えるもの。わが子の笑顔が増えていったり、初めて寝返りをうった瞬間を見たりすることができた時は、自宅読影をさせてもらっていなければ、母親になった喜び、人生においてとても短い乳幼児期をゆっくり一緒に過ごす喜びを味わうことはできなかったと思います。家事も育児も仕事も・・・完璧ではなくとも全部やりたい!!という私のわがままな欲望をかなえさせていただいています。
もちろん、ばりばりキャリアを積んでいきたい、たくさん研究したい、男性だけど比較的早い時間に帰宅して自分の時間、家族との時間を大切にしたい、などどんな方でもぜひ来ていただきたいです。また、私は地元の地方大学出身、初期研修病院も市中病院でしたが、そんな順天堂とは縁もゆかりもない私でも皆とても親切で居心地のよい医局です。他にも少数派ではありますが、他大学・他の研修病院出身者もいますので、どなたでもご遠慮なく見学にいらしてください。
主治医の先生が患者さんにとって最善の治療を選択できるお手伝いができるように、心をこめてお手紙を書くつもりでレポートを作成するよう心がけています。そして、あの先生に読影してもらいたいと言われるような放射線科医になりたいと思い日々研修を続けています。みなさんと一緒に楽しく仕事ができる日を楽しみにしております。
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平成21年入局 菊地奈央 「放射線診断専門医になって」
放射線科入局(日本医学放射線学会入会)5年目の夏(※新制度では6年目の夏)、「放射線診断専門医認定試験」という医師になってから一番大きな試験があり、無事に合格することができました。
これまでは、読影レポートを書く→「診断専門医の先生がレポートをチェックする」→レポートが院内、依頼科に公開される、という流れで読影業務を行っていました。この「レポートチェック」なしに、レポートを自分で書き、公開する資格を取るための試験が「放射線診断専門医認定試験」です。
 
試験内容は、「マークシート」と「口頭試問」です。画像が出題され、それに対する診断、治療、さらに必要な検査等を解答します。出題される画像は入局からこれまでの間に見てきたもの、勉強してきたものが多く、これまでの総決算といった感じでした。これは、たくさんの症例を経験できるという大学病院の最大のメリットだったと思います。もちろん試験勉強中には経験したことのない症例、断片的にしか知らない症例もありました。そのような症例を勉強することで新しい知識を増やし、頭の中を整理するとてもいい機会にもなりました。
 
試験勉強は基本的には文献を調べながら、過去問題集を解くという方法をとりましたが、一度だけ同期のメンバーで勉強会を行いました。学会HPで公開されている過去問題集のうち数年分の模範解答がなかったからです。それぞれが問題を解き(特に自分の得意分野)、分からないところは各分野のエキスパートの医局の先生たちに質問し、全員が勉強会で知識を共有し、私の場合は自分の勉強では足りなかったところを認識することもでき、とても有意義な勉強会でした。この勉強会で刺激を受け(焦り・・・)、その後の勉強のモチベーションが上がったのは言うまでもありません(笑)
 
試験に合格した今では、1人でレポートを書き、さらに後輩のレポートのチェックもしています。とても忙しく、責任は重大ですが、今までよりも充実した毎日を送っています。
平成22年入局 道正理恵 「乳腺画像診断の魅力」
私は放射線科入局4年目で、日常は体幹部中心に画像診断を担当しています。今回はその一つ、乳腺画像診断について述べたいと思います。
 
乳がんは現在、日本女性において一番多いがんで、年々増加傾向にあります。40歳台で罹患率、50歳台で死亡率はピークとなり、まさに仕事や子育てなどで重要な時期、あるいは子育てなどが一段落した時期の女性を蝕む病気です。一方で、Ⅰ期で見つかれば90%の生存率が得られ、早期発見が良好な予後につながるがんでもあります。しかし、日本人女性における乳がん検診の受診率は36%程度と低く(OECD, OECD Health Data 2013, June 2013.)、日本は乳がん検診の後進国と言われている現状にあります。このような事実を目の当たりにしたとき、自分も乳がんの早期発見に関心を抱くようになり、乳腺画像に興味を持ったきっかけにもなりました。
 
乳腺の画像診断にはマンモグラフィ、超音波、MRが挙げられます。我々順天堂の放射線科ではこれら全てを勉強することができます。検査数は豊富で、典型例から非常に珍しい症例まで経験することができます。乳腺画像に精通した指導医もおり、安心して勉強できる環境が整っています。現在は週に1~2回、指導医とともに術後症例の画像、病理所見を振り返る勉強会を行っています。また、病理・放射線・臨床科が合同で行うカンファレンスもあり、ここでは問題となった乳腺症例を検討しています。乳腺の組織生検には針生検 (core needle biopsy) とマンモトーム生検 (vacuum-assisted core needle biopsy) があります。当科ではステレオガイド下のマンモトーム生検を行っており、組織生検という手技を通して、病理診断につなげることができる点も魅力の一つです。現在まで1000例以上の豊富な症例数があり、私はマンモトームについての学会発表や論文作成も経験することもできました。
 
また、乳がん検診ではマンモグラフィ読影認定医師による読影が推奨されており、資格を持つ医師のみに限定される場合も多くなっています。この資格試験がマンモグラフィ検診精度管理中央委員会の検診マンモグラフィ読影認定試験となりますが、症例が豊富で指導医がきちんとフォローしてくれる当科では、試験対策もしっかりできます。私もこの試験に合格し、マンモグラフィの読影に励み、現在は新たなステップアップの目標を掲げて日々勤しんでいるところです。
 
乳腺疾患に興味がおありの方は、放射線科という選択肢もぜひ考慮して下さい。また、他の臓器に興味があるけれど乳腺の勉強も少ししてみたい、検診マンモグラフィ読影の資格をとりたい、そんな方にも当科はぴったりだと思います。まずは見学にきてください。そして一緒に勉強できる日を楽しみにしています。
平成24年入局 小杉康夫 「当院での研修、放射線治療医の実際」
私は入局5年目で、放射線治療医として日々診療にあたっています。
入局後、初めの3年間は順天堂医院や各関連病院で、放射線診断・血管内治療(IVR)・放射線治療の研修を積み、放射線治療に専従するようになってからは約2年が経ちました。
『放射線治療って何してる所か具体的には分かりません』とか、『血管内治療(IVR)の先生なんですよね?』という声を医学部の学生さんのみならず、研修医の先生からも聞くことがあります。
 
私の日常の仕事は主にがん患者さんに対する放射線治療の準備(治療計画)と治療、そして日々の診察になります。ですので、1日のうちの仕事のほとんどが外来診察と治療計画装置による、放射線治療計画の作成になります。また、朝や夕方に治療方針決定の為に、毎週多くの診療科とのカンファレンスに参加しています。
放射線治療科には頭の先から足の先まで、全身の悪性疾患(から一部良性疾患)の患者さんがいらっしゃいます。当院は大学病院であることもあって、乳がんや前立腺がんなど放射線治療ではcommonな疾患から、稀な脳腫瘍・小児腫瘍など非常に多くの疾患を経験することができます。また、当院の特徴として、臓器別の担当医制を設けているところがあります。広く一般的な治療を行える事はもちろん、依頼いただく各診療科の先生方と治療に関してより専門的な議論が行えるように自分のspecialityを深めていくことができます。
 
ちなみに私は、脳と頭頸部(喉頭、咽頭がん)を担当しておりますが、この分野では強度変調放射線治療(IMRT)という先進的な治療を積極的に行っており、私もこの治療法を学ぶ為勉強会に行ったり、他院に見学に出張させて貰ったりと勉強させていただいております。
放射線治療はもちろん医師だけで出来るものだけではなく、看護師や診療放射線技師、医学物理士や医療事務の方々などチームで診療にあたっています。現場経験ではまだまだな私ですが、責任ある仕事を任せていただいているので多くの方々に助けていただきながら診療にあたっています。
 
放射線治療はがん治療における外科治療・薬物療法に並ぶ治療法の1つです。
高齢化社会において、その他の治療法が選択できない患者さんが増えたり、機能を温存する治療の重要性が高まる中、放射線治療のニーズは益々増えています。
しかし、自分が研修医の時そうであったように、放射線治療があることを知っていても、実際どのようなことをしているのか知っている先生はまだまだ少ないと思います。
がん治療に興味のある先生、一度見学にいらしてください。一緒に診療に当たれる日を楽しみにしています。