鼓膜形成術

急性中耳炎や鼓膜チューブ留置後または外傷による鼓膜穿孔が生じた場合、多くの場合は自然に閉鎖されますが、稀に鼓膜の穴が閉じずに残る場合があります。
鼓膜の穿孔が大きければ難聴をきたします。また、鼓膜に穴が開いた状態では鼓膜の内側が感染をきたしやすくなり、耳漏(耳だれ)を繰り返すことがあります。感染を繰り返すと中耳内の耳小骨の動きが悪くなったり、音を感じる器官(内耳)に障害を来したりすることがあり、不可逆的な難聴へと至るケースもあります。

入院期間

入院期間は基本的に3~4日間程度ですが、状況に応じて入院期間の短縮は可能です。一方、感染などの合併症により退院が延期になる可能性もあることをご了承ください。

術式

手術は顕微鏡もしくは内視鏡を用いて行います。
鼓膜の穿孔縁の周囲を少し大きくトリミングし、鼓膜再生のきっかけを作る「新鮮化」という処置をします。その後、患者さん自身の耳の後ろを10mm程度切開して採取した皮下組織や筋肉の膜もしくは耳の軟骨を移植して鼓膜が再生する足場を作ります。移植した組織は血液製剤の1つであるフィブリン糊を用いて固定します。術後数か月すると、移植した組織を足場として鼓膜が再生し穿孔が閉鎖されます。
当院では全身麻酔を基本としていますが、全身麻酔ができない患者さんには局所麻酔での手術を行うことも可能です。穿孔の大きさや位置や鼓膜の条件によっては、外耳道の皮膚を持ち上げて行う手術が必要になる場合がありますので詳しくは術者にお問い合わせ下さい。


合併症の可能性

  • 痛み:薬でコントロールできる範囲です
  • 出血:少量です
  • 再穿孔:手術加療を行っても再び穿孔が生じる場合があります
  • 難聴:穿孔が閉鎖しても、聴力が改善しない場合があります
  • 滲出性中耳炎:穿孔閉鎖により生じる場合、追加処置を行う場合があります

退院後

翌日から、職場や学校への復帰が可能です。
外耳道に水が入らないように1-2ヶ月程度注意が必要です。
鼓膜が再生し安定するのには約3ヶ月程度かかります。