当科における研修

教室の紹介

当教室は1969年5月に当時虎の門病院呼吸器科部長であった本間日臣教授が初代教授として日本で初めて開設した日本で最も古い歴史を有する呼吸器内科専門教室です。その後、池本秀雄教授、吉良枝郎教授、福地義之助教授へと引き継がれ、2005年8月からは現教授である髙橋和久教授が主任教授として教室の運営にあたっております。

臨床面では、腫瘍性疾患からびまん性肺疾患に至るまで、症例は多岐にわたり、治療レベルも高く、かつ関連病院も多いため、豊富な臨床経験を得ることができます。

当科の医局員の内、約半数は本学卒業生ではなく、出身大学、研修病院、男女に依らず、平等で家庭的な雰囲気を持った医局です。やる気のある人は誰でも歓迎しています。

2021年4月医局員は約130名であり、本院には約60名在籍しています。2018年には11名、2019年には8名、2020年には10名、そして2021年には11名の先生方が入局予定です。また、大学附属病院、医局関連病院に約50人以上が出向しています。コロナ禍のため現在はいませんが、多い時で3~4人が米国中心に海外留学しております。大学院生も28名(来日留学生等含む)と研究活動も重視しているのが特徴です(4割は本院勤務、4割は関連病院出向、2割弱は大学院または留学で研究活動)。

当教室では、助教以上の多くの医局員が留学経験者であり、世界レベルの臨床、教育、研究を維持しています。希望者には積極的に海外への留学の機会を与えるようにしております。

研究活動、臨床および基礎的研究の国際学会での発表を推奨し、国内、国際学会で発表した研究は原則的に英文論文で発表するように指導しております。

私どもの教室は臨床と研究のバランスがとれた教室です。家庭的な雰囲気の中にも仕事は厳しく行っています。皆さんを真のプロフェッショナルへ導きます。やる気とバイタリティーあふれる方の入局を歓迎致します。

研修教育理念

教育とはEducationすなわち Educe:引き出すものです。私達、指導医は,「研修医の能力を引き出してあげる」教育を日々心掛け指導しています。研修医として身に着けるものは、単に知識(know-what)だけでなく、その知識を生かした「実践的な問題解決の能力」 (know-how=ノウハウ)を習得してもらわなければならなりません。当科では研修医は教えられたことでなく、そこで行われていることを職場教育:On the Job Trainingで日常の業務を遂行しながら、上級医指導の元、マンツーマンで学んでいきます。  

呼吸器内科研修の教育達成目標

  1. 将来、呼吸器内科を目指す研修医に対し、基本的診療能力を習得すると共に、治療における問題解決力と臨床的技能および態度を身につける。将来のキャリア形成のための初期の計画を立案し、実行を開始する。
  2. 看護師、薬剤師、理学療法士などの病棟スタッフ、緩和ケアチーム、退院支援を含めた医療福祉相談室、医療連携室、一般外来、各種検査室、ICU、HCU等の関連部署スタッフとの適切な連携を学び、チーム医療を実践する。

呼吸器内科研修システム

来る2025年度問題を目前に、少子高齢化を迎えるにあたり、臓器別悪性新生物の死因第1位である肺がんを含む多彩な肺疾患が増加の一途をたどっています。しかし、呼吸器内科医専門医の数は、圧倒的に少なく、腫瘍・総合内科医的として活躍できる、極めて重要な診療科です。更に特筆すべきは、COVID-19ウイルスが引き起こす呼吸器感染症のスペシャリストとしても、呼吸器内科医のニーズは、ますます増すばかりです。入院担当症例は、主に肺がんに加え数多くの多彩な症例を経験します。総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医の取得から、がん治療認定医、呼吸器内視鏡専門医、アレルギー専門医等、更には国策にも対応し得る、感染症専門医を取得できるよう、必要な臨床トレーニングを提供しています。

診察技法・検査解釈・画像診断能力・患者家族説明・治療の進め方から、手技においては、気管支鏡や胸部超音波ガイド下腫瘍生検、胸腔穿刺や胸腔ドレーンの挿入など上級医の丁寧な指導のもと、経験することができます。更に当院では、メディカルテクノロジー・シミュレーションセンターが併設されており、気管内挿管、気管支鏡などの機材を用いた実技指導も行っています。また、肺がんの、診断から治療、外科手術・放射線・化学療法などの治療モダリティ、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬も含めて多様化する治療法の中から、いかに個々の患者さんに適切な治療を選択するか、緩和医療の中で疼痛や呼吸困難などのコントロールをどうするかなど、腫瘍内科医としての知識も学びます。呼吸器外科、放射線科、退院支援・緩和ケアチームとの合同カンファが毎週1回行われます。また、急性期肺炎の抗菌薬の選択、喘息発作、間質性肺炎急性増悪の入院治療から、呼吸不全患者の人工呼吸器設定、循環動態の全身管理などの総合内科的な側面も学びます。初診患者で最も訴えの多い症状は、咳です。当科では、特に呼吸器内科初診症候学の研修の場として、初診外来から、気管支喘息、COPD専門外来までの外来陪席を斡旋しています。問診→診察→検査→鑑別診断の流れを学び、呼吸器外来診療を基礎から学んでもらいます。外科や病理診断部とともに興味深い症例をディスカッションするOpe病理検討会やCPCにつながる臨床病理検討会を3か月おきに行っており、各科専門の先生から活発な討議が行われます。また、呼吸器セミナーなど外部からの講師を招いての特別講義も数多く行われ、ともに学ぶ機会がたくさんあります。 研修医の先生方には、上級医指導のもと学会や研究論文発表に積極的にチャレンジし、実際に数多くの研修医が優秀発表賞を受賞しています。このように、大学病院ならではの、基礎研究などのアカデミアに根差した探求心を培うための早期教育も並行して行っています。