順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経外科に関する様々な情報をご案内します。

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後期研修および卒後教育

キーワードは、
手術のできる脳外科医・サブスペシャリティ・自主性・チャンズ
出身大学、年齢、男女による差別は、全くありません。問われるのは、脳神経外科への情熱です。
"良き臨床医"“科学的思考を持った外科医”を育成することを目標に、脳神経外科全般の診療を行い得る力を修得しながら、個人が各々のサブスペシャリテイーを目指せるような教育体制を敷いているのが特徴です。順天堂大学医学部附属病院および関連施設における豊富な臨床経験と大学院での学位取得が、研修プログラムのコアになります。
脳神経外科医には、豊富な知識と高度な技能が要求されますが、当教室の研修プログラムを終了すれば必ず一人前の脳神経外科医になれます。

脳神経外科学の将来像

脳神経外科という分野にどのようなイメージをお持ちでしょうか?脳内出血?くも膜下出血?急性硬膜下血腫などの重症頭部外傷?長時間に及ぶ脳腫瘍手術?もちろん、これらは従来からある脳外科診療の中核でした。しかしながら、脳科学は急速に進歩しています。若き研修医が第一線の医師として活躍するときには少々診療内容が変わっているかも知れません。くも膜下出血の原因である脳動脈瘤破裂にはクリッピングという手術がされ、クリッピングができるということが脳外科医の勲章のようなものでした。しかし脳動脈瘤治療にも血管内手術という方法が開発され、今やクリッピングとならぶ治療の選択肢です。将来的にはクリッピングがまれな治療法になるかも知れません。脳血管内手術のこの例は脳外科治療のほんの一部に過ぎません。脳腫瘍の治療方法も変わっていきます。また、機能外科分野では脳刺激治療が現在行われていますが、将来的には遺伝子導入治療、移植・再生治療、roboticsの導入などが予定されているといっても過言ではありません。治療方法が変換していくとともに、ますます他分野とのcollaborationが普遍的なものとなってくるでしょう。大学病院である私達の施設は、それら将来の治療に向けた準備を怠るわけにはいきません。治療方法の進歩とともに私達の診療体制も今までの根性、体力勝負といったものから、より洗練されたものへの変換が必要です。私達は、脳外科学を志す若き医師を支援するとともに、flexibleな思考を持ったyoung neurosurgeonに将来を期待します。

後期研修

順天堂の後期研修プログラムに沿って当科での研修も進められます。以下のコースを選択することで個々人独自の育成コースとなります。
どのコースであっても効率的に、優秀な我々の仲間を育成することを目標にしています。

1.大学院コース

前期研修が終了した後、直接大学院に入るコースです。もちろん学位取得を優先したプログラムですが、一定期間臨床の現場に従事してもらうことになります。一旦、専門医・専攻生コースに入った後に大学院コースに変更することは任意です。現在当教室では、脳虚血、神経再生、二分脊椎、水頭症、腫瘍免疫、てんかん等の基礎研究のほか、機能MRI等新たな画像診断法の開発等の研究に取り組んでいます。他科及び基礎系教室とコラボレーションを行うとともに、学外(海外を含む)への留学も奨励しています。留学を希望される方は、必ず大学院に所属してもらっていますが、そのためには積極的に研究に打ち込む姿勢が求められます。私達スタッフも研究の推進、国外・国内留学をサポートしていきます。
大学院在学中は学費を払う必要があり、大学から支給される給与はありません。したがって大学院在学中は、当科関連施設に病病連携の一環として定期的に出張してもらい(週に1ないし2回)、収入を得ることになります。
脳神経外科専門医取得のために、日本脳神経外科学会は独自に研修プログラムを組んでおり、専門医試験受験前には一定の臨床経験が必要となります。通常は初期研修終了後4年間で専門医試験の受験資格が与えられますが、大学院コースを選択した場合には研究に従事する期間の臨床研修を補うために、大学院を卒業して2年間ほど臨床経験を積んだ後に脳神経外科専門医試験を受けてもらうことになります。
また、状況によっては当科関連施設に就職して給与を得ながら大学院生となる、いわゆる社会人大学院制度を活用することも可能です。
詳しくは医局長にお問い合わせください。

2.専門医・専攻生コース

脳神経外科専門医を目指す、最短のコースになります。初期研修終了後4年間で専門医試験を受験するために、日本脳神経外科学会の定めた研修プログラムに則り臨床研修を行うことになります。順天堂大学およびその関連施設での研修は、脳腫瘍、脳血管障害をはじめ、小児脳外科、脊椎・脊髄外科、機能外科に至るまでの全ての分野を網羅しています。そのため、効率的で効果的な研修を行うことができます。専門医試験を受験する頃には、救急医療から基本的な手術手技、周術期管理等、脳神経外科医にとって必要な基本的な知識や技能が自然に身についています。我々の脳神経外科専門医試験合格率は現在までほぼ100%です。この高い合格率は、個人の努力と我が教室の教育システムによるものと思っております。
専門医・専攻生コースを選択しても、大学院コースと同様に、当科関連施設に病病連携の一環として定期的に出張してもらい収入を得ることになります。専門医・専攻生コースの途中で大学院コースに変更することも可能ですし、また専門医となった後に学位取得を希望する場合には、やはり大学院に入学してもらうことになります。我々の教室としては「科学的思考を持った脳外科医の育成」を目標にしておりますので、大学院での研究そして学位の取得は、皆さんが臨床医として生きていくにうえでも大変に重要と考えています。上記の社会人大学院制度を活用することも可能なので、専門医・専攻生コースを選択した場合でも大学院に進まれることを勧めます。

3.後期臨床研修コース

初期研修が終了しても進路が決定できない場合には、他科を含めた研修コースを選択することも可能です。例えば、脳神経外科、神経内科、放射線科(神経放射線科)、救急科で後期研修プログラムを組めば、脳神経系の様々な疾患の診断と治療さらにそれ関連する救急医療について知識と経験を深めることができます。脳神経外科専門医を念頭において、後期臨床研修コース中に脳神経外科学会に入会することも可能です。脳神経外科教授、医局長、関連診療科の研修責任者に相談してください。

順天堂大学医学部附属順天堂医院にて研修を希望される方は、順天堂医院ホームページ 『研修医募集案内』をご参照ください。

後期研修に関する説明会、見学のお知らせ

見学

随時可能です。医局長に連絡をしてください。電話、E-メール、FAX等どのような連絡方法でも構いません。“一度見学したが、もう一回確認しておきたいことがある”、“違う時期に再度見学をしたい”などの要望にもこたえることも可能です。脳神経系の勉強に私達の医局を使っていただいても構いません。医局蔵書の閲覧も自由です。
連絡先: 順天堂大学 脳神経外科
医局長:石井 尚登(いしい ひさと)
Tel:03-3813-3111 ext. 5675 FAX:03-5689-8343
E-mail:juntendo@zephyr.dti.ne.jp

後期研修説明会

2006年11月22日:第1回説明会を行いました。8名の参加を頂き、ありがとうございました。
その際に聞かれた質問と回答を示します。
脳外科に入局した後に神経内科や放射線科を研修することは可能ですか?
初期研修で既に神経内科や放射線科の研修を行っている場合には、あまりメリットはないと思います。しかし、初期研修のプログラムに組み込むことができなかったので研修をしたい、または、他施設で初期研修をしたので順天堂の神経内科をみてみたいなどの希望がある場合には、他診療科と調整し可能になるよう努力をします。
神経系には興味がありますが、今後脳神経外科の手術は減ってくると聞きました。そのため、神経内科や神経放射線科と迷っています。
確かに今までの脳神経外科のイメージである大開頭や数十時間にわたる手術は減ってくるかもしれません。しかしながら、それが脳神経外科学の進歩だと思います。よりminimum invasiveな手術へと変換していくでしょう。私たちはそのための準備も行わなくてはなりません。現在は、神経内科とcollaborationし機能外科を行っておりますし、小児科とはoncologyの面で協力をしています。今後はさらに今までの診療科ごとの垣根はなくなってくると予想されます。科学的思考を持った脳神経外科医の育成がそのために要求されてくると思います。若い先生方の行動力と新鮮な思考で私たちの医局全体が新しい脳神経外科に向かって活性化していくことを期待します。そのために、脳外科に入局した後も積極的に他診療科とcollaborationをしてください。
昨年の入局者が多いと聞きました。今後、研修をする機会が減ってしまうのではないでしょうか?
後期研修というものは、臨床に触れる数も重要ながらその質が最も大切です。一例一例十分に考えながら勉強をしていくことはたやすいことではありません。私たちは単なる臨床経験というもので医療を行うのではなく、知識の裏づけを重視します。また、5つの大学付属施設全体で年間1600例を超える手術件数は数としても十分に先生方の知識欲を満たすものと考えます。入局後の短期的な経験数によって先生方の将来が決まるわけではありません。脳神経外科という分野は、今までは外科が立ち入らなかったさまざまな分野(移植、遺伝子導入、再生など)に発展していくと予想されています。私たちがやらなくてはならないことは山ほどあります。Near futureの第一人者を目指して多数の人材が必要です。
大学院では、3年で卒業することも可能と聞いたのですが。
インパクトファクターが一定基準以上の優秀な論文を作成した場合には、可能です。既に我々の教室で行われている研究を発展させるような場合には、2〜3年で結果を出すことは可能ですが、新たなプロジェクトを立ち上げると、3年以内に結果を出すことは難しいと思われます。
収入を確保するためには、どのようなことをしてもらえますか?
基本的には、大学の助手として有給を保障します。不足分を補う目的で関連施設に出張勤務をしてもらうことになります。しかしながら、初期研修を終えたといっても、脳神経外科医として初心者です。したがって出張先は、我々のOBが24時間バックアップできる施設で行い、給料確保のみならず、研修の継続、リスクマネージをしていく体制です。昨年は8人の入局者を迎えたために、本院(順天堂医院)、静岡病院、浦安病院、練馬病院それぞれの施設に分かれて研修を開始しました。入局される人数によってシステムを適宜変更しますが、関連大学施設で助手のポストを確保するよう努めます。
脳神経外科というと夜も寝れないのでは?
必ずしもそうではありません。確かに救急医療に携わることや重症の疾患を扱うことも多く、夜間の緊急対応が必要なこともしばしばです。トレーニングの過程では、寝ないで頑張るという経験も時には必要ですが、現代の脳神経外科は急速に進歩をしているため、以前に比べると個人への負荷は圧倒的に少なくなっています。Minimally Invasive Neurosurgeryに代表されるように、最小限の侵襲で最大限の効果を導き出すような手術に変化してきています。これにより患者さんばかりでなく、医師への侵襲も少なくなってきています。
女性でも出来る?
確信をもって出来るといえます。当教室には3人の女性脳神経外科専門医と2人の後期研修医がおります。現代の脳神経外科は洗練されており、昔ながらの体力勝負というものはなくなってきました。女性の入局大歓迎です。
妊娠や出産に関して、産休、育休はありますか?
特に女性の先生方の産休、育休に関しては、収入の確保、本人の医師としてのactivityの維持など解決しなくてはならない問題点がたくさんあると思います。収入に関しては、単に医局内で決定できるものではなく、大学や関連病院の給料体系が時代に即したものに変化してこなくてはならないと考えています。現時点で医局として対応できるだろうと思われるのは、比較的負担のかからないバイト先を探していくということになると思います。また、脳外科に限らず医師としてのactivityと知識を維持するためには、本人の努力が不可欠です。妊娠、出産を機に、手術を主体とするスタイルから診断や補助治療分野、研究分野への転向を希望される際には、もちろんサポートしていきます。
将来的には開業がしたいんだけど?
可能です。優秀な医師が医局から離れるのは辛いことですが、個人の意思を尊重し医局全体で開業をバックアップします。実際に、何人もの優秀な先輩が開業し、地域での第一線の治療を行っています。すでに開業された先生からのアドバイスを受けることも可能かと思います。
順天堂大学出身が多いのでは?
医局全体の人員構成をみれば、確かに順天堂大学出身者が多くなります。しかし、研修や人事、海外留学等、出身大学による差別は全くありません。色々な人材が集まりそれぞれが特色を出すことより、医局全体が活性化すると考えています。ちなみに現在医局に所属する医師の出身大学には、旭川医科大学、弘前大学、秋田大学、福島県立医科大学、群馬大学、筑波大学、防衛医科大学、埼玉医科大学、日本医科大学、帝京大学、聖マリアンナ大学、信州大学、宮崎医科大学等があります。ちなみに、昨年入局をされた先生方の出身大学は、順天堂大学 5人、秋田大学 1人、富山大学 1人、九州大学 1人でした。
平成20年 第1回目の医局説明会を3月13日に行います。当日は説明会の前に、脳外科救急ショートレクチャーとして、“シリーズ1 くも膜下出血なんて怖くない“を行います。医局説明会のみでなく、脳外科レクチャーにも参加ください。

その後の卒後教育

専門性(サブスペシャリテイー)の確立

専門医と学位を取得した後の卒後教育は、専門性(サブスペシャリテイー)を持つためのプログラムへ継続します。脳神経外科の様々な分野から自分の興味があるものを選択し、それをサブスペシャリテイーとしていきます。その際必要があれば、協力施設にトレーニングを依頼したり、海外へ研修に行ったりと専門性取得の方法を教室全体で検討していきます。
サブスペシャリテイーの選択、あるいは基礎的な研究についても、個人の自主性を尊重します。適切な自己主張は、医師として重要なことと考えます。自分の進むべき道がみつかれば、教授以下医局全体でバックアップします。
自主性を重んじるため、そこにはチャンスが生じてきます。それを生かせるかどうかは、個人の努力と頑張りです。私達の教室では各専門分野の中心は、平成年号に医学部を卒業した医師になってきています。他施設から比べると若い人材配置になっていますが、豊富な症例数と医局全体のサポート体制がこれを可能にしています。

脳神経外科研修

例として、
専門医・専攻生コース→日本脳神経外科学会専門医試験→大学院にて学位を取得
するコースを以下に示します。

入局後1〜2年

入局後直ちに、日本脳神経外科学会に入会します。研修は、順天堂医院(本院)、順天堂静岡病院、順天堂浦安病院、順天堂東京江東高齢者医療センター、順天堂練馬病院の順天堂大学医学部附属5病院で行われます。脳神経外科医に求められる一般的知識や基本的技術の習得を目指します。
入局者の希望にもよりますが、脳神経外科に入局した後にも、脳神経内科、神経小児科や神経放射線科での研修を行うことも可能になれるよう調節中です。

入局後3〜4年

手術用顕微鏡を用いた手術等、より高度な知識と技術の習得を目指します。研修は、大学附属病院以外に関連施設をローテーションすることにより行われます。

入局後5年目

脳神経外科専門医試験を受験します。脳神経外科専門医試験は難関とされており、全国の毎年の合格率は60%強です。ちなみに、当教室の合格率はほぼ100%を誇り、順天堂の研修プログラムの充実を示す結果と考えています。

入局後6〜9年目

学位取得のための基礎研究、臨床研究を行います。基本的には大学院に入学することになります。また、海外研究施設、国内協力施設へ留学も、この時期が最も多くなります。留学先は、先輩医師が行っている研究施設や病院でも可能ですが、自分でやりたいこと、行きたい施設をみつけて教授に相談することも可能です。常時4〜5名ほどの医局員が、海外に留学しています。

 海外留学施設紹介

入局後10年目以降

サブスペシャリテイーを確立する時期になります。脳腫瘍、脳血管障害、血管内治療、小児脳神経外科、内視鏡手術、脊椎・脊髄外科、てんかんやパーキンソン病に対する機能的脳神経外科等、選択すべき道は多岐にわたります。一人前の脳外科医として、まさに自主性を発揮する時期です。各々の専門分野の医師と協力して仕事を進められるのが、順天堂の特徴といえます。完全な専門分野ごとの縦割りではなく、一般診療を全員でこなしその中で自分のスペシャリテイーを持つということで、お互いを尊重しあう協力体制を築いています。もちろん10年目以降を目安に関連施設に一般脳神経外科医として就職をすることも可能です。その際にも教授、医局長と話し合いにより、個人の自主性を尊重します。

卒後教育についてのQ&A

給料は確保されるのですか?
我々の関連施設やOBなどと協力をして、皆さんの収入は確保します。詳しくは教授、医局長に相談してください。
大学院コースと専門医・専攻生コースはどちらが脳神経外科にあっていますか?
どちらがいいかを論じることには無理があります。我々は脳神経外科医ですから、まずはしっかりとした臨床の力を付ける必要があると考えています。その意味では、臨床を重視した専門医・専攻生コースにメリットがあるかも知れませんが、この問題はたとえ大学院コースを選択しても個人の努力によって克服できるものと思われます。“既に学位はあまり必要なくなった”という意見を耳にするがありますが、私達はそのようには考えません。学位という資格にとらわれることなく、“サイエンス”に触れることによって獲得される論理的思考がなければ、その後の医師としての飛躍は困難になるでしょう。個人のおかれた環境にもよる選択と思いますので、個別に相談にしてもらった方が良いと考えます。
専門医をとるのには順天堂はいいと思います。しかし、研究は他大学院で自分の興味がある研究をしたいのですが。
他施設で研究をしてみたいということであれば、順天堂の大学院に入学した後に、他研究施設に留学するということは全く問題ありません。これまでにも、何名かの教室員がこの形で、海外、国内の施設に留学しています。
順天堂の弱い分野は他大学で研修したいのですが。
順天堂は、脳神経外科のサブスペシャリティを全て網羅しているのが大きな特徴です。しかしながら、確かに他大学がある分野では私たちよりも症例が多いということもあります。現在は検討段階ですが、幾つかの大学と研修医の交換留学が可能になれるかを考えています。交換留学が実現すれば、より多くの知識を、研修医を通して私たちも共有することができると思われます。早期の実現を目指します。