順天堂大学医学部附属順天堂医院 脳神経外科に関する様々な情報をご案内します。

  1. 脳神経外科トップページ
  2. 当診療科における低侵襲医療の取り組み
  3. DBS

パーキンソン病に対する深部脳刺激(DBS)

低侵襲手術の例

難治性のパーキンソン病や、本態性・症候性振戦、ジストニアなどの不随意運動に対する外科治療として、従来より脳の特定の部分を破壊する治療が行われていました。最近、これに代わる治療法として深部脳刺激療法(Deep Brain Stimulation: DBS)が脚光を浴びています。従来の方法に比べて手術に伴う副作用が少なく、両側に行うことができ且つ刺激の調節が可能という利点があります。当院では、脳神経内科と脳神経外科が連携しチームを形成しDBS治療を行っています。

脳深部刺激療法(DBS)とは?

DBSとは脳の深部に留置した電極からの電気刺激により、その部位の活動を抑えて、従来の外科治療で行われていた脳深部の破壊術と同様な効果を得るという治療法です。
 実際には図のように刺激電極を脳内の特定の場所(パーキンソン病では視床下核に、振戦では視床に、ジストニアでは淡蒼球に)に留置し、前胸部皮下に刺激発生装置を埋め込み、それらを皮下の連結ワイヤーでつないで脳内の刺激を行います。
 DBSは可逆的(脳を破壊しない)で、手術に伴う合併症が少なく、体外からの遠隔操作により刺激の設定を変更することが可能で最適な効果が得られるように設定できるといった利点があります。

適応

 薬物治療だけではで十分な効果が得られない、パーキンソン病や、本態性・症候性振戦、ジストニアなどの不随意運動症が対象となります。
 最もよく行われるのはパーキンソン病ですが、治療はまず薬物療法を行うのが原則です。手術を考慮するのは、
  • 十分な薬物治療を行ってもなお著明な日内変動(ウェアリング・オフやオン・オフ現象)やジスキネジアがうまくコントロールできない場合
  • 薬物でコントロール困難な強い振戦(ふるえ)がある場合
  • 薬の副作用(精神症状、消化器症状など)が強く、薬物治療が困難な場合
 一般に若年者で,L-ドーパに対する反応が良好な患者さんほど劇的な手術効果が期待できます。痴呆やその他の精神疾患を合併した例や二次性パーキンソン病では効果が期待できず適応外となります。

どんな手術ですか?

手術の効果はどのようですか?

 パーキンソン病は進行性の病気で、残念ながら手術によって病気そのものを治すことはできませんが手術により症状の軽減が期待できます。特にオフ時の運動症状(振戦、無動、固縮、歩行障害)の改善、オフ時間の短縮、日内変動の軽減が期待できます。また、手術によりドーパミン作動性薬剤の減量が可能で、その結果ジスキネジアの軽減が得られます。
 本態性振戦に対しても高率に振戦の改善が期待できます。

具体的取り組み例

手術当日の流れ:

レクセルフレームと定位脳手術支援システムSurgiplanを用いた手技法を取り入れています。
午前8:00 手術室へ向かいます。局所麻酔下にフレームを装着します。
午前8:30 MRI室でターゲット(視床下核など)を計測します。
午前9:00 手術室へ再度入室します。
消毒をしたり、機械のセッティングを行います。
ドリルを用いて500円玉より少し小さい穴を頭蓋骨に開けます。
準微小電極で神経細胞群の電気活動を記録します。神経細胞群の活動を音に変換し、その音を目安に電極を脳内に挿入します。視床外側部に入るとノイズが入り、パチパチ音が出てきます。その後不確帯に入ると一旦静かになり、再び旺盛な神経活動が記録され、音が出てくるとそこが視床下核ということになります。
神経内科の医師が、神経症状を診察します。
実際の刺激用電極を計測どおりに挿入します。
同じことを反対側でも行います。
午後1:00頃
刺激装置を左右の胸壁下に埋め込みますが、その際には全身麻酔に変更して手術を行います。
午後3:00頃 手術終了。集中治療室へ向かいます。

実績

順天堂医院では脳神経内科と脳神経外科がチームをつくり、昨年より本治療法を開始しました。順天堂医院の神経内科は、世界でも有数のパーキンソン病の治療センターです。現在月に1-2例ペースでDBS療法を行っていますが、患者様に最善の結果をもたらすべく手術適応の決定から術後の刺激の調節まで、脳神経内科と脳神経外科が共同でこれにあたっています。