血管内治療
脳血管内治療は、レントゲン装置を用いて透視下に主として鼠径部の動脈や静脈にカテーテルと呼ばれる細い管を導入し、このカテーテルを介して脳や脊髄の血管性病変を治療する方法です。脳血管内治療では、治療に際して頭蓋骨を開けたり脊椎を除去したりする必要がないため、非常に低侵襲で術後の痛みが少なく入院も短期間で済むことから、最近大変に脚光を浴びています。
脳血管内治療の対象疾患は、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤、脳梗塞を引き起こす頸動脈狭窄症などの脳主幹動脈の動脈硬化性疾患、脳脊髄動静脈奇形や硬膜動静脈瘻、急性期脳梗塞、脳腫瘍など様々なものがあります。この治療法は極めて有効かつ低侵襲なのですが、透視を行うためのレントゲン装置、カテーテルや塞栓物質などの手術器具には改良の余地が多く残されており、実際に治療を行う医師の技量や看護師、放射線技師も含めたチームの連携が治療成績に大きな影響を与えることも事実です。当院は、平成18年12月4日付の読売新聞で国内でも有数の脳神経血管内治療件数を誇る施設として紹介されました。私達の施設では、日本脳神経血管内治療学会から認定されている指導医1名、専門医3名、さらに今後、指導医、専門医を目指す数多くの若手医師が実際の臨床に携わり、治療成績の向上に努めています。また、脳血管内治療室には最新のレントゲン装置が導入されており、放射線被爆の低減および治療効果の向上に役立っています。
| 読売新聞2006年12月4日付 手術件数 (2005年1月〜12月実績) A=脳血管内治療数、B=破裂動脈瘤、C=未破裂動脈瘤、D=頚動脈ステント | ||||||
都道府県 | 病院名 | 医師名 | A | B | C | D |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京 | 順天堂大 | 大石英則 | 231 | 75 | 95 | 16 |
脳血管内治療グループの紹介
| 日本脳神経血管内治療学会指導医、日本脳神経外科学会専門医、 日本脳卒中学会専門医 | 順天堂医院 | |
中井完治 | 日本脳神経血管内治療学会専門医、日本脳神経外科学会専門医 | 順天堂医院 |
| 日本脳神経血管内治療学会専門医、日本脳神経外科学会専門医 | 順天堂医院 | |
| 日本脳神経血管内治療学会専門医、日本脳神経外科学会専門医 | 練馬病院 | |
| 日本脳神経外科学会専門医 | 国内留学中 | |
| 日本脳神経外科学会専門医 | 練馬病院 |
脳動脈瘤
脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血が起こります。突然の激しい頭痛や吐き気、意識障害など様々な症状が発現します。コイリングと呼ばれる脳血管内治療を行います。動脈瘤の中にプラチナ製のコイルをつめて(塞栓術)、瘤内に血液が入らないようして瘤の再破裂を防ぎ治療を行います。また、脳ドックなどで発見される未破裂脳動脈瘤も、瘤の大きさや部位などを充分に検討したうえでコイリングによって治療しています。
代表症例
48歳の男性。脳ドックを受けたところ未破裂脳動脈瘤を指摘され、くも膜下出血予防のために血管内治療を行った。脳動脈瘤は塞栓用コイルで完全に閉塞されている。
頸動脈狭窄症
脳梗塞の原因となります。運動不足など生活様式の変化や食生活の欧米化ため、最近増加している疾患です。従来は内膜剥離術という切開手術で治療を行っていましたが、血管内治療でも治療が可能となってきました。ステントと呼ばれる金属のメッシュでできた円筒状の内張りを、カテーテルを介して狭窄した頸動脈に誘導し血管を拡げます。
代表症例2
72歳の男性、狭心症がある。呂律が回らないために精密検査を受けた結果、頸動脈狭窄症による脳梗塞が認められた。脳梗塞の再発予防のために、ステント治療を行い狭窄部は十分に広がっている。
順天堂大学脳神経外科脳血管内治療グループの実績(2006年)
順天堂医院 | 練馬病院、順天堂浦安病院、静岡病院 順天堂東京江東高齢者医療センター等 の関連施設 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 脳動脈瘤コイリング | 86 | 150 | 236 |
| 頸動脈ステント留置術 | 29 | 7 | 36 |
| その他 | 28 | 16 | 44 |
