当センターで行っている女性低侵襲手術

当センターで行っている女性低侵襲手術

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術

お腹に4箇所5~12mmの小さな穴をあけて行う手術です。
手術を行う空間を作るためお腹の中に炭酸ガスを注入し,そこからスコープや器具を入れて手術を行う方法です。
麻酔は全身麻酔で行います。
婦人科良性疾患の90%以上と悪性疾患の一部がこの方法で手術可能です。

腹腔鏡手術のメリット

腹腔鏡手術のメリット腹腔鏡手術の創部
腹腔鏡下手術は開腹手術と比較し以下のような特徴があります。
1.手術の傷が小さく美容的
2.術後の痛みが軽い
3.入院期間が短い(早く退院できる)
4.早期の社会復帰
5.術後の癒着が少ない(卵管などの癒着が起こり難く、術後不妊症になることが少ない)
腹腔鏡手術のメリット01
腹腔鏡手術のメリット02

腹腔鏡手術における留意点

一方、腹腔内の状態や手術の難易度により以下の留意点があります。
 
  1. 開腹手術への移行:腹腔鏡下手術が安全に行えないと判断した場合
  2. 輸血:術中・術後に予期しない出血があった場合 (全症例で術前に輸血の同意書を頂きます)
  3. 最終診断は術後の組織検査で確定:術前診断と異なる場合、開腹手術が必要になる可能性
  4. 他臓器の損傷:隣接臓器である尿管や膀胱、直腸の損傷
    (子宮内膜症や開腹手術既往などにより、高度な癒着がある場合)

手術前後のスケジュール

腫瘍の縮小や術中の出血軽減を目的として、手術の3-6ヵ月前からお薬・注射などの術前治療が行われる場合があります。また手術の約1カ月前に術前検査(血液・尿検査、レントゲン検査、心電図)を行い、その後執刀医による手術方法の説明があります。
入院 手術 術後1日目 術後2日目 術後3日目
問診、シャワー、夜浣腸(症例に応じて) 朝:術前経口補水 or 点滴、浣腸
麻酔:全身麻酔
朝:採血、ドレーン・尿管を抜去、食事・シャワー開始 経過観察:(症状に応じて採血やレントゲン、診察) 退院(症例に応じて採血など)

入院期間と費用について

原則として入院期間は4泊5日(手術前日入院、術後3日目退院)ですが、手術の状況や術後の経過に応じて延長となる場合があります。
手術はすべて健康保険が適応され、手術の種類により費用は異なりますがおおよそ40~80万円で、その3割が自己負担となります。
また腹腔鏡手術には、原則として高額療養費制度が適応となります。加入保険の種類により払い戻し額が異なりますので、詳細は厚生労働省のHPをご覧ください。

子宮鏡手術

子宮鏡手術腹腔鏡手術の創部
子宮鏡下手術とは、子宮の中にウロマチックという液体を入れて子宮を膨らましてスペースを作り、内膜ポリープや子宮筋腫の摘出を行う方法です。
腟を通して行う手術なので、お腹に傷は残りません。麻酔はラリンゲルマスクまたは通常の全身麻酔です。

メリット

  • お腹に傷ができない
  • 術後の痛みが軽い
  • 入院期間が短い(早く退院できる)

デメリット

手術中の予期できない出血や癒着のために開腹しなければならないことがあります(開腹する可能性は約300例に1例です)。
また、筋腫やポリープが大きな場合には、数回に分けて手術を行うことがあります。  

子宮鏡手術の適応となる病気

子宮内膜ポリープや粘膜下子宮筋腫(筋腫分娩含)など子宮の内側に突出する病気や、子宮奇形や子宮内腔癒着症などの子宮内側の構造異常も子宮鏡下手術の適応となります。
また子宮からの不正出血がひどい場合にも、子宮鏡下焼灼術を行うことがあります。

子宮鏡手術の適応となる病気

手術までのスケジュール

腫瘍の縮小や術中の出血軽減、月経の回避を目的に、手術の2~3ヵ月前からお薬・注射などの術前治療が行われる場合があります。また手術の約1カ月前に術前検査(血液・尿検査、レントゲン検査、心電図)を行い、その後執刀医による手術方法の説明があります。

入院期間、費用

原則として入院期間は2泊3日(手術前日入院、術後翌日退院)です。ただし、病室の状況によっては手術の前々日の入院となる場合もあります。また、術後に出血や腹痛がある場合には退院がのびることもあります。入院と手術はすべて健康保険の適用されます(個室使用料は除きます)。手術の方法により費用は異なりますがおおよそ25~40万円で、保険本人はその2割、家族は3割の自己負担となります。

入院後のスケジュール

入院
手術
術後1日目
・問診、シャワー
・子宮の出口を広げる処置
・朝:浣腸、飲水
・麻酔:全身麻酔
朝:採血、食事開始
膀胱のチューブをはずし、歩行開始
昼食後退院予定