専門研修プログラム

1.理念と使命

① 理念

臨床検査はEvidence Based Medicineにおける客観的な指標として、診療に欠かせないものである。臨床検査全般において、その品質の向上と維持に努め、適切かつ信頼性の高いサービスを通して患者診療に貢献する専門医が臨床検査専門医である。臨床検査専門医数は全国的に明らかに不足しており、その普及は急務である。当プログラムでは、大学附属病院における(ⅰ)高度かつ先進的な医療(ⅱ)学生および後進の教育(ⅲ)研究を通して、幅広く深い知識や技能と偏りがない人間性・高い倫理観をもって、臨床検査の専門家としてチーム医療に参画することができる人材の育成を理念とする。

② 使命

理念に基づき、臨床検査に関する卓越した知識や技能をもって、的確な臨床検査が遂行されるように検査室の管理・運営をすること、臨床検査値を適切に判読・解釈することでチーム医療に参画し、病院機能の向上を図る。常に研鑽し自らの臨床検査医としての能力を高め続けることで、臨床検査全体の水準をも高めて、国民の健康・福祉に貢献する。

2.専門研修プログラム名称

3. 専門研修プログラム統括責任者

三井田 孝 (臨床検査医学講座 教授)

4. 募集定員

1学年2名
(ただし、これ以上の募集があった場合でも適宜対応する。)

5. 募集対象者

(1)3月に初期臨床研修を修了予定の医師
(2)すでに初期臨床研修を修了している医師
ⅰ)これまで基本領域の専門医を有しなかった医師
ⅱ)他の基本領域の専門医を取得しているが、種々の理由により当領域に転向希望の医師
ⅲ)他科専門医であるが、職務上臨床検査専門医の取得が必要になった医師
(3)様々なライフイベント(出産・育児・介護・通院など)により常勤で研修が困難な医師

6. 研修期間

プログラム制※;3年間
カリキュラム制※;3年間もしくはそれ以上(※下記7参照)

7. プログラムの特徴

臨床検査専門医になるには、以下7分野(①臨床検査医学総論、②一般臨床検査学・臨床化学、③臨床血液学、④臨床微生物学、⑤臨床免疫学・輸血学、⑥遺伝子関連検査学、⑦臨床生理学)をすべて習得する必要があります。これらを偏りなく習得するために、以下の連携施設と専門研修施設群を形成しています。それぞれ違った特徴をもつ検査部を有する施設で臨床経験を積むことにより、様々な環境に対応できる臨床検査専門医が育成される体制を整えています。この全分野に渡った3年間の基本的研修(下記11参照)をプログラム制といい、募集対象者(1)と(2-ⅰ)に相当する医師は特定の理由がない限りはプログラム制での研修を行います。その他の募集対象者も希望があれば原則プログラム制での研修を推奨します
 
当領域は、初期臨床研修終了後ストレートに臨床検査を研修してきた医師と、他基本領域専門医を取得し他領域で経験を積んできた後に臨床検査を研修してきた医師が混在し、両者が横断性のある臨床検査専門医集団を形成することでより良質で安全な患者診療の提供に貢献することを目指しています。しかし、初期臨床研修終了後の専攻医と経験豊富な他領域専門医取得者が同じプログラム制で研修することはそぐわない場合があり、後者(募集対象者(2-ⅱorⅲ))に対してはカリキュラム制の研修を行うことを可能とします。
 
カリキュラム制とは、研修の形態の詳細は問わず、個々に応じた研修形態により到達目標を達成すれば認定試験受験資格を与えるものです。この場合の研修期間は3年もしくはそれ以上になります。
 
また、当領域のもう1つの大きな特徴として入院患者を担当することがない分野であることから、育児・介護・通院など種々の理由により常勤として勤務が困難な場合(募集対象者(3))でも、カリキュラム制の中で個々に応じたスケジュールで研修することも可能です。
 
さらに、大学院進学も積極的に推奨しており、研修2年目以降からは、研究との臨床検査専門医資格取得が両立できるよう、プログラムを適切に調整できるように個別に対応致します。

8. 専門研修施設群

基幹施設:順天堂大学医学部附属順天堂医院
連携施設:A;順天堂大学医学部附属浦安病院
     B;順天堂大学医学部附属練馬病院
     C;順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター
     D;新潟大学医歯学総合病院

9. 研修の到達目標と方法

専門研修の3年間(もしくはそれ以上)は、それぞれ医師に求められる基本的診療能力・態度・資質と、日本臨床検査医学会が定める「臨床検査専門研修カリキュラム」(日本臨床検査医学会HP参照)に基づいて臨床検査専門医に求められる知識・技能の修得目標を設定し、各分野研修修了の終わりに到達度を評価します。

10. 専門研修後の医師像(大学院進学・subspecialty領域への継続等)

① 大学病院もしくはそれに相当する病院の検査医:病院検査部の管理と検査判読、コンサルテーション対応に加え、研究や専攻医・医学部学生の教育を実践します。
② ①以外の一般病院の検査医:病院検査部の管理と検査判読、コンサルテーション対応を実践します。
③ 大手検査センター:全般的な指導や特定の検査判定業務を行ったり、健診業務を実践します。
④ 地域医療における内科および臨床検査領域の診療医(かかりつけ医):稀ですが、OB・OGの中には、内科クリニックを開業し臨床検査医学の知識・経験を生かして、より的確な検査の選択や少ない検査情報からより多くの情報を読み取る検査医の特性を生かした診療を実践している方々がいます。
⑤ 臨床検査専門医(基本領域)のsubspecialty領域としては、まだ決定はしていません。検査専門医としてのスキル向上が将来subspecialtyと認定され得る臨床検査関連領域への専門へとも繋がるため、まずは地道に臨床検査医としての力を磨くことを優先としたプログラムとなっています。

11. ローテーション方法(プログラム制)

 

臨床検査専門研修基本スケジュール

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
1年目 基幹施設
 (臨床血液学)
基幹施設
 (臨床検査医学総論)
基幹施設
(臨床微生物学)
連携施設A(浦安)
 (救急迅速検査, 血液 他)
2年目 基幹施設
 (臨床化学)
基幹施設
 (臨床血液学 臨床化学、臨床免疫学 他)
基幹施設
 (一般臨床検査学)
基幹施設
 (臨床血液, 臨床化学、
 臨床免疫学 他)
連携施設B(練馬)
 1日/週のみ
(臨床生理学、 微生物学)
連携施設C (高齢者)
 1-2日/週のみ
 (臨床生理学, 微生物学)
3年目 基幹施設
 (臨床免疫学 輸血学)
基幹施設
 (遺伝子関連検査学)
予備
 (症例不足分野 等)
必修プログラム要件 医療安全セミナー、 感染対策セミナーの年2回の受講。 RCPCの年3回以上の受講。
3年間共通研修 指導医の指導のもとで、
 ① 全7分野それぞれ規定数の自己レポート作成
 ②検査報告書の作成とコンサルテーションへの対応
 ※各報告書、レポートの規定は日本臨床検査医学会HPの 『臨床検査専門研修カリキュラム』
 (https://www.jslm.org/newsys/nsys_05.pdf参照)
地域医療の経験 種々団体が開催する臨床検査啓発事業に5回/3年以上参加・協力する。
学術活動 臨床検査医学に関する論文報告または学会発表(原著、 症例報告など)を、 筆頭者1編を含む3編13年以上。
ローテーションについて 各7分野の研修期間は本人の進捗状況により担当指導医と相談し多少前後する可能性があります。
 原則として基幹施設 (順天堂医院)では1年以上の研修が必須です。 (新潟大学医歯学病院(連携施設D)を中心に研修を希望する場合はこれに限りません)
 
 基本的に連携施設 A,B,Cはすべて、 ある時点の施設あたりの受け入れ専攻医数は1名です。 そのため、専攻医が複数の場合は、連携施設での研修時期が重ならないようローテートを組みます。 希望により、 地域医療という視点も加えた新潟大学医歯学病院での研修を行うオプションコースも選択可能です。
 
 大学院やそれ以外で研究を並行して行うのは可能です。
その他 上記5.募集対象者(1)と(2-i)の特定の理由がある場合、 募集対象者 (2-ii, iii) 募集対象者 (3) はカリキュラム制をとることが可能で、 個々に対応したスケジュールを組むことができます。 詳細はお問い合せ下さい。
本プログラムの問い合わせ先
順天堂大学臨床検査医学科
医局長 堀内 裕紀
電話:03-3813-3111 内線 3373・5187、E-mail:yuki-t11@juntendo.ac.jp
もしくは、
三井田 孝 教授室
電話:03-3813-3111 内線 3371、E-mail:tmiida@juntendo.ac.jp
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