患者さんへのご挨拶

尾原センター長挨拶

脊椎脊髄疾患は痛み、痺れのほか、上下肢の運動麻痺、歩行障害、排尿排便障害といった様々な症状をきたします。このため整形外科、脳神経外科、ペインクリニックを中心とした様々な診療科が治療に関わります。患者さんの目線でみると自分のつらい症状はどこの診療科で治療してもらえるのか迷ってしまう場面もあると思います。こういった問題点を解決すべく順天堂医院では2019年に脊椎脊髄センターを開設いたしました。

脊椎脊髄疾患には椎間板ヘルニア、脊椎症による神経障害の他、脊椎脊髄腫瘍、脊柱変形、先天奇形、血管障害と多種多様な疾患があります。特に特殊な病気に関しては受診した診療科で治療ができず、再度診療科を変更することもあります。

当センターには整形外科の脊髄病学会指導医と脳神経外科の脊椎脊髄外科学会指導医が在籍しております。両科の医師が診断に難渋する患者さん、手術治療を予定している患者さんの情報を共有し、意見交換をおこなっていることで各々の患者さんの治療に対して主治医による偏りなくよりよい治療を提供できるように尽力しています。

最新の治療法についても可能な限り導入し、「全ての世代の全ての脊椎脊髄疾患」に安全で確実な治療を行えるよう科の垣根を越えて診療に臨んでおります。

野尻副センター長挨拶 

私ども脊椎脊髄センターでは全ての脊椎脊髄病を患う方々により良い治療を提供したく、日々診療を行っています。脊椎脊髄は体を支えて動かすという支持組織、運動器組織であると同時に脊髄や末梢神経を含んだ神経組織でもあります。よって全ての疾患に高度な診療を行うには、どちらか一方の知識や技術だけでなく、両専門知識と両組織を扱う特殊技術が要求されます。

当センターには支持組織を多く扱っている整形外科、神経組織を扱っている脳神経外科の2科それぞれから脊椎脊髄外科専門医が集まり、相互に高め合いながら協力して診療しています。さらにセンターを取り巻く他部署からのサポートが充実していて脊椎疾患に関連の多い神経内科や膠原病内科、ペインクリニックやリハビリテーション科、放射線科や放射線部、整形外科骨軟部腫瘍班と連携し、的確な診断、病態の理解を得るとともに治療戦略を打ち立てています。

患者さんにより良い治療を受けていただけるよう、多くの実績が認められた治療方法はもちろんのこと、最新の機器・手術方法も取り入れてます。近年の脊椎外科手術における技術の進歩、低侵襲化は働く世代の早期復職を可能とし、高齢者や併存症をお持ちの方にも体にかかる負担を減らして手術をすることがきるようになりました。

脊椎脊髄疾患は小児から高齢者まで全年齢層に及び、脊椎変性疾患から脊柱変形や脊髄腫瘍まで多くの疾患がありますが、順天堂建学の精神であります仁(他を思いやり、慈しむ心)を胸に、ハイレベルの知識と技術を持って、万全の体制でお迎えいたします。

センター概要

設立の経緯

背骨はヒトの体の幹として全身を支えています。一方で脳から末梢への指令と末梢から脳への指令を伝達している「神経」を背骨が守っています。多くの脊椎脊髄疾患は「背骨」と「神経」が複雑に関与して発生しています。
 
高齢化社会の到来により、脊椎脊髄疾患は今後増加の一途をたどると考えられております。そのような状況の中、背骨や筋肉の取り扱いが得意である整形外科医と、神経の取り扱いが得意である脳神経外科医が共同で診療をすることで、脊椎脊髄病に対するより鋭い診断が可能となり、患者さんにより適切な治療を提供する事ができると考えられます。
 
順天堂大学では整形外科医と脳神経外科医が共同で診療を行うことで、あらゆる脊椎脊髄疾患に対応する事が可能となる体制を整えるべく、2019年2月に整形外科、脳神経外科それぞれの脊椎脊髄専門医から構成される、脊椎脊髄センターを設立致しました。

設立の趣旨

脊椎脊髄疾患は一般的には高齢者に多く発生する傾向が多いとされておりますが、実際は新生児から高齢者までの全年齢層に発生し、その疾患も非常に多岐に渡ります。その中でも、整形外科医が得意とする疾患、脳神経外科医が得意とする疾患が存在し、これまでは患者さんはそれぞれの科で治療を行っておりました。当センターでは整形外科医と脳神経外科医が共同で治療に当たることで、全年齢層に対応し全ての脊椎脊髄疾患に対する診断と治療が可能となりました。
 
当センターでは患者さんへの手術の負担を軽減するべく、手術内容の低侵襲化(内視鏡・経皮的手術等)を進めています。また小児側弯や、脊椎脊髄腫瘍、脊椎奇形といった稀な疾患にも最先端技術を駆使し幅広く対応しています。

主な対象疾患

  • 頚椎症性脊髄症/神経根症
  • 頚椎椎間板ヘルニア
  • 後縦靭帯骨化症
  • 胸髄症
  • 関節リウマチの脊椎病
  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 腰椎変性すべり症
  • 側弯症(小児)
  • 後側弯症(成人)
  • 骨粗鬆症性椎体骨折
  • 脊椎・脊髄腫瘍
  • キアリ奇形
  • 脊髄空洞症
  • 脊髄血管奇形
  • 外傷
  • 感染症
  • その他の脊髄疾患