《法人章は、明治時代から順天堂醫院の薬袋に使用されていたもので「仁」の文字を図案化したものである。》 順天堂大学医学部附属順天堂医院
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輸血室 (室長 大坂顯通教授)


私たちは、最新のコンピュータシステムとバーコード輸血照合システムを使用して、現時点における最も安全な輸血医療の提供を目指しています。


【順天堂医院輸血室の沿革】

1965年他の医療施設に先駆けて、順天堂医院に初めて輸血室が設置されました。1980年順天堂大学医学部に輸血学研究室が開設され、初代教授として湯浅晋治が就任し、赤血球凍結保存による自己血輸血の発展に寄与しました。2000年8月第2代教授として大坂顯通が就任した後、これまでの輸血室業務を一から見直し、最新のコンピュータ管理システムや自動輸血検査機器、そしてバーコード輸血照合システム等を導入して、ヒューマンエラーによる取違え輸血(過誤輸血)の防止に積極的に取り組んでいます。
教授 大坂 顯通


【輸血療法について】

輸血療法は、他人(同種血)あるいは自分(自己血)の血液成分(血球,血漿)を輸注する治療法です。同種血の場合には輸血感染症や免疫学的副作用・合併症のリスクを伴うことから、インフォームドコンセントを十分に行って同意を得る必要があります。輸血用血液製剤は善意の献血により賄われており、少子高齢化時代を迎えて献血率も減少しており、医療施設においては血液製剤を適正に使用して廃棄しない輸血運用を行うことが求められております。
ランドシュタイナー博士によりABO式血液型が発見されてから1世紀あまりが経過し、輸血療法は大きな進歩をとげました。輸血用血液製剤に対する感染症関連検査も進歩して、現在では輸血感染症のリスクは低減し従来よりも安全な輸血用血液製剤が供給されるようになりました。また、致死的な輸血副作用である輸血後移植片対宿主病を予防する目的で、日常的に放射線照射血を使用するようになりました。しかし、輸血療法の過程において発生するヒューマンエラーによる過誤輸血は、依然として大きな問題となっています。
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【順天堂医院輸血室における輸血業務】

〔輸血業務を行うスタッフ〕
輸血業務は、輸血室長と輸血専任技師8名による輸血室スタッフおよび夜間・宿日直帯の業務を担当する検査部兼任技師18名により、24時間体制で行っています。当院では、夜間に研修医が輸血検査を行うことはありません。また、手術室が二ヵ所設置されているために、輸血室も二ヵ所に分散していますが、輸血管理ネットワークシステムを構築して二ヵ所の輸血室から同一の輸血サーバへアクセスし同期した輸血患者情報を取得することで、一元的な運用を行っています。

〔輸血関連検査〕
血液型検査・不規則抗体スクリーニング検査・交差適合試験に関しては、ゲルカラム法による自動輸血検査機器を使用することにより、通常業務時間帯だけではなく夜間・宿日直帯における検査精度を高めています。手書きの帳票類を廃止し輸血管理システムから自動出力することで、ヒューマンエラーを極力回避するよう努力しています。

〔輸血用血液製剤の保管・管理〕
赤十字血液センターから供給された輸血用血液製剤(同種血)および院内採血された自己血製剤は、輸血室において適正に温度管理された輸血専用保冷庫で保管・管理しています。手術室など輸血室以外の部署で輸血用血液製剤を保管することはありません。

〔輸血用血液製剤の適正使用〕
輸血用血液製剤の申込みに際して、医師との対面受付による「輸血前評価」を行っており、このことは適正使用だけではなく、患者さんに最適な血液製剤を準備するために重要であると考えています。また、輸血用血液製剤の出庫に際して、使用時にのみ最小単位数を出庫することを原則としており、手術室およびICU病棟等へ輸血室スタッフが血液製剤を直接届ける「搬送」業務を行っています。この結果、輸血実施部署において血液製剤が保管されることがなくなり、過誤輸血の防止に役立っていると思われます。適正使用の指標である、交差適合試験実施単位数/輸血実施単位数(2.0以下が適正とされる)は1.36(2004年)であり、当院において血液製剤は適正に使用されていると考えられます。  
血液製剤の搬送

〔輸血用血液製剤に対するX線照射〕
新鮮凍結血漿および自己血製剤を除く、全ての赤血球製剤と血小板製剤に対して血液専用放射線照射装置によるX線照射を行っており、輸血後移植片対宿主病の予防に努めています。

〔バーコード輸血照合システム〕
順天堂医院に入院されるすべての患者さんに、バーコードが印字されたリストバンドを装着していただきます。患者さんに安全な輸血療法を行うために、ベッドサイドでは医師と看護師の2人がバーコード輸血照合システムを使用して照合確認を行った後、注意深く輸血を行うことを原則としております。具体的には、ベッドサイドで血液製剤を輸血する際には、バーコードリーダー付き携帯端末を使用して、リストバンドのバーコードと輸血用血液製剤のバーコードを読み取って照合することにより、取違えによる過誤輸血を防止しています。
バーコード輸血照合作業

〔自己血輸血〕
当院では、同種血による副作用・合併症を防止する目的で自己血輸血を積極的に行っております。現在、手術時における赤血球輸血の35%は自己血が使用されています。自己血の採血に際して、専用採血室において担当医師、看護師、輸血室スタッフによるチーム体制で採血を行っています。術前貯血式自己血輸血の適応は、学童から高齢者まで拡大して対応しております。自己血輸血を実施する際も、取違えによる過誤輸血を防止する目的でバーコード輸血照合システムによる照合確認を行った後に輸血を実施しております。
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〔輸血副作用のモニタリング〕
万一輸血による副作用・合併症が発生した場合には、速やかな対応と適正な処置を行うために、輸血スタッフが臨床現場へ赴いて聞き取り調査を行い、「輸血副作用状況調査書」を作成して原因の究明と再発の防止に努めています。

〔小児輸血〕
小児に輸血療法を行う場合は、少量輸血(10-20 mL/hr以下)に対応するために輸血室のクリーンベンチを使用して無菌的にシリンジへ分注し、個々のシリンジにはバーコードを印字した製剤適合票を貼付けて出庫します。病棟で輸血を実施する際は、バーコード輸血照合システムを使用して照合確認を行った後に輸血を行います。

〔末梢血幹細胞移植〕
自己あるいは同種末梢血幹細胞の採取に際して、輸血室スタッフは医師や看護師と共にチームとして患者さんの全身状態の管理にあたっています。採取した末梢血単核球分画に関しては、幹細胞(CD34陽性細胞)の算定およびプログラムフリーザーによる凍結処理・液体窒素による保存・管理を行っています。

〔生体肝移植〕
2003年肝胆膵外科教授に川崎誠治先生が就任して以来、現在までに7例の生体肝移植術が実施されました。輸血室では、ドナーの自己血漿採取など自己血を準備して生体肝移植術を支援しています。

〔治療的血管新生療法〕
治療抵抗性の下肢閉塞性動脈硬化症あるいはバージャー病における治療のオプションとして、近年自己骨髄細胞移植による治療的血管新生療法が開発されました。当院では循環器内科、血液内科、輸血学の3診療科による治験申請を当院倫理委員会へ提出して承認され、現在までに2例実施しています。輸血室では採取された骨髄液単核球分画の細胞調整、CD34を含む表面抗原の解析、投与補助などの支援業務を積極的に行っています。


【血液製剤使用実績】

2004年1月から12月までの輸血用血液製剤の使用実績は、赤血球製剤8430単位(200 mLを1単位とする)、血小板製剤30576単位、新鮮凍結血漿9103単位(血漿交換療法分も含む)、自己血製剤1199単位でした。

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