禁煙支援ニュースNO.4

2007.06.15 禁煙推進委員会

『たばこと健康』
-煙のない爽やかな環境と疾病予防をめざして-

小児の受動喫煙被害

健康増進法の施行に伴い、受動喫煙を防ぐ措置は、公共施設を中心に改善されてきています。
しかしながら、小児の受動喫煙に関しては、家庭内での喫煙、喫煙室への連れ込み、屋外でも小児の周囲での喫煙など、まだまだ対策が不十分と考えられています。
そこで、今回は、受動喫煙が小児に及ぼす影響について考えてみたいと思います。
はじめに、タバコの煙には、喫煙者が吸い込む煙(主流煙)、タバコの先端から立ち上る煙(副流煙)、喫煙者が吐き出した煙(呼出煙)の3つがあります。そして、この副流煙と呼出煙とを環境タバコ煙と呼び、小児の喫煙のほとんどは、これらの環境タバコ煙を無意識のうちに吸い込む受動喫煙です。
また、タバコ煙中の有害物質のほとんどは、主流煙よりも副流煙中に高濃度で存在し、ニコチン、一酸化炭素、各種発がん物質など4,000種類以上の化学物質が含まれていると言われています。
更に、タバコ煙は、直径1ミクロン以下の非常に小さな粒子であるため、環境中を長時間にわたって滞留します。したがって、受動喫煙の多くは、家族が吸っているタバコの煙を直接吸い込むだけでなく、室内空気中に滞留しているタバコの煙を長時間に渡って吸うことで起きています。例えば、タバコを吸った室内で数時間過ごせば、喫煙者の周囲で直接的に煙を吸ったのと同じ、あるいは、それ以上の煙を吸っていることになります。

このような小児の受動喫煙では、様々な有害事象が報告されています。なかでも最も発症頻度が増大し注意の必要なものとして、乳幼児突然死症候群(SIDS)があります【図1】
また、日常的に受動喫煙にさらされると、気管支粘膜の繊毛運動障害、気道過敏性の亢進により、気管支喘息、気管支炎、肺炎に罹患しやすく、扁桃腺肥大、アデノイド肥大、中耳炎も増加すると言われています。更に、低身長、知能低下の報告や、小児自閉症の増加、注意欠陥多動障害の発生、将来の暴力的犯罪を倍増させるとの報告もあります。
小児がんでは、肝芽腫は母の喫煙によって、横紋筋肉腫は父の喫煙によって、白血病、神経芽細胞腫、脳腫瘍、悪性リンパ腫は両方の喫煙によってリスクが上がります。また、小児期に受動喫煙にさらされながら育つと、後年、肺がん、動脈硬化、高血圧、虚血性心疾患、脳血管障害などに罹患するリスクが高まることになります。
このように、小児が、タバコの煙にさらされると健全な発育や将来の健康にとって大きな脅威になり得ます。

このような受動喫煙は、小児にとって有害無益であって、避けていかなければなりません。しかしながら、東京都保健所長会の平成16年度のアンケート調査によると、同居家族の喫煙は54.6%で、喫煙場所は、換気扇の下:37.8%、ベランダ:31.6%で、小児のそばという母親は10.0%とも報告されています。
小児のそばは、絶対に避けなければなりませんが、分煙していれば安心でしょうか?
家庭内の別の部屋や換気扇の下でタバコを吸っても、小児の尿から受動喫煙の指標となるコチニンが検出されるとも報告されており、分煙しても、受動喫煙を防げるものではありません。
したがって、小児の受動喫煙を減らすには家族で禁煙が必要です。小児への受動喫煙の悪影響を考えて、禁煙を心掛け、小児の周囲での喫煙や喫煙室への小児の立ち入りをやめましょう。

乳幼児突然死症候群は、今まで健康だった乳児が突然死亡する疾患で、うつぶせ寝、人工栄養児、親の喫煙の三つが危険因子です。中でも喫煙の影響が最も大きいと言われています。両親が喫煙をやめるだけで、多くの乳幼児突然死症候群が予防・救命できると考えられています。(Blair, 1996)

小児の受動喫煙による疾患への影響(妊娠中を含む)
乳幼児突然死症候群 4.7倍
急性肺炎、気管支炎 1.5~2.5倍
気管支喘息 1.8~2.3倍
慢性呼吸器症状 1.4倍
中耳炎 1.2~1.6倍
低出生体重児 1.2~1.4倍
知能低下 5%前後の低下
【図1】

関連リンク: 呼吸器内科「禁煙外来」