順天堂医院の先進医療

先進医療とは

先進医療は、国民の安全性を確保し、患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ、利便性を向上するという観点から、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、保険診療との併用を認めることとされているものです。

有効性及び安全性を確保する観点から、医療技術ごとに一定の施設基準を設定し、施設基準に該当する保険医療機関は届出により保険診療との併用ができることとされています。

「先進医療に係る費用」については全額自己負担

2021年3月1日現在

先進医療を受けた時の費用は、次のように取り扱われ、患者さんは一般の保険診療の場合と比べて、「先進医療に係る費用」を多く負担することになります。

  1. 「先進医療に係る費用」は、患者さんが全額自己負担することになります。
    ※詳細な金額については「当院で実施している先進医療一覧」をご参照ください。
  2. 「先進医療に係る費用」以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、一般の保険診療と同様に扱われます。一般保険診療と共通する部分は保険給付されるため、各健康保険制度における一部負担金を支払うこととなります。
  3. 患者さんは「先進医療に係る費用」+「各健康保険制度における一部負担金」をお支払い頂くこととなります。

当院で実施している先進医療一覧

ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラチン静脈内投与の併用療法

完全に切除された非扁平上皮非小細胞肺がんに対する、術後の補助的化学療法として用いられます。ペメトレキセド(PEM)+シスプラチン(CDDP)併用療法は、3週ごとに4回投与します。標準治療であるビノレルビン(VNR)+CDDP併用療法と比較検証し、効果の高い投与法を確立します。PEM+CDDP併用療法は、進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対する有効性、および安全性が確立した治療であり、標準的なVNR+CDDP併用療法と比較して、生存期間を延長する効果が期待されています。なお、医薬品ペメトレキセド(PEM)は製薬会社より無償で提供されます。

先進医療に係る費用:2,290円
担当診療科:呼吸器内科

パクリタキセル静脈内投与(1週間に1回投与するものに限る)及びカルボプラチン腹腔内投与(3週間に1回投与するものに限る)の併用療法 上皮性卵巣がん、卵巣がん又は原発性腹膜がん

卵巣がん、卵管がんおよび原発性腹膜がんに対する標準的な化学療法は、パクリタキセルとカルボプラチンという抗悪性腫瘍薬を静脈に投与する治療法です。局所麻酔または硬膜外麻酔下の小開腹を行い、腹腔ポートを留置します。このポートより、カルボプラチンを腹腔内に直接投与します。また、全身化学療法としてパクリタキセル経静脈内投与を併用します。この化学療法は21日間を1コースとして行い、計6サイクルを行います。高度医療に係る費用のうち、試験薬剤は無償提供されます。

先進医療に係る費用:6,110円(6サイクル/1コース)
担当診療科:産科・婦人科

家族性アルツハイマー病の遺伝子診断

全アルツハイマー病のうち遺伝子によるものは1パーセント以下ですが、若年性アルツハイマー病の場合、遺伝子が原因である頻度は高くなります。この先進医療で遺伝子検査を行うことで、遺伝子が原因であるアルツハイマー病の約6割の診断が可能になります。これによって症状の種類や進行の程度について正確な判断や予測ができるようになり、治療に役立てることができます。

先進医療に係る費用:30,000円
担当診療科:脳神経内科

難治性高コレステロール血症に随伴して重度尿蛋白を呈する糖尿病性腎症に対するLDLアフェレシス療法

糖尿病性腎症は予後が悪く、新たな透析導入患者の約45%を占めています。また、血液中のLDL値が高い状態が続くことでも、腎臓の機能が低下することが知られています。血液中のLDLを取り除くLDLアフェレシス療法を実施することで、尿蛋白の改善や、腎機能保護作用が期待されます。LDLアフェレシス療法は週に1~2回施行し、合計10回行います。

先進医療に係る費用:1回 300円
担当診療科:腎・高血圧内科膠原病・リウマチ内科

MRI撮影及び超音波検査融合画像に基づく前立腺針生検法

前立腺がんの診断にあたり、現在の標準的診断方法は、経直腸超音波ガイド下に行われる針生検が一般的です。しかしながら、前立腺がんが疑われるすべての患者さんにおいて診断が確定できるわけではなく、特に早期がんであればあるほど病変部も小さく、これらを肉眼的に捉えて組織を採取することが難しいです。
本技術は、昨今前立腺がんの局在診断にはMRIが有用であるとの知見に基づき、生検の際にMRI画像と超音波画像をリアルタイムで融合させることにより、がんの局在を可能な限り把握しつつ生検部位を決定し、組織を採取することで診断率の向上をめざすものです。(適応症:前立腺がんが疑われるもの(超音波により病変の確認が困難なものに限る。))

先進医療に係る費用:110,160円
担当診療科:泌尿器科

ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)

ウイルスに起因する眼感染症はウイルスや細菌や原虫など様々な微生物に感染することで発症します。この先進医療で遺伝子検査を行うことで、原因ウイルスを網羅的に検査することができ、迅速な診断が可能となります。これによって、病原体診断に基づいた適切な治療が早期に開始することが出来ます。

先進医療に係る費用:29,900円
担当診療科:眼科

FOLFIRINOX療法 胆道がん(切除が不能と判断されたもの又は術後に再発したものに限る。)

現在のところ胆道癌に対して有効な化学療法は、ジェムシタビン+シスプラチンもしくは経口薬のS-1の2つしかなく、その抗腫瘍効果も限定的です。本先進医療は現在膵臓癌の第一選択薬であるFOLFIRINOX療法を胆道癌に対して行う治療法です。これまでの第一選択薬であるジェムシタビン+シスプラチン治療よりもより強力な抗腫瘍効果が期待できます。

先進医療に係る費用:7,800円
担当診療科:消化器内科

全身性エリテマトーデスに対する初回副腎皮質ホルモン治療におけるクロピドグレル硫酸塩、ピタバスタチンカルシウム及びトコフェロール酢酸エステル併用投与の大腿骨頭壊死発症抑制療法 全身性エリテマトーデス(初回の副腎皮質ホルモン治療を行っている者に係るものに限る。)

全身性エリテマトーデスの患者さんの治療経過中に高頻度に見られる、大腿骨頭壊死に対する発症抑制効果を検討する介入試験です。初めてステロイドで治療を開始する患者さんを対象に、抗血小板薬(クロピドグレル硫酸塩)、高脂血症治療剤(ピタバスタチンカルシウム)およびビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)の3剤を3か月間継続し、大腿骨頭壊死の発生を抑制しうるか否かをMRIを用いて検討します。多施設共同単群介入試験で予定組み込み症例は150例です。

先進医療に係る費用:0円
担当診療科:膠原病・リウマチ内科

膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、腹膜転移を伴うものに限る。)に対するS-1内服投与並びにパクリタキセル静脈内及び腹腔内投与の併用療法

腹膜転移を有する膵癌に対する標準的な治療法はFOLFIRINOX(フォルフィリノックス)療法、ゲムシタビン+アブラキサン、S(エス)-1(ワン)、ゲムシタビン単独療法など一般的な切除不能膵がんと同様の治療が行われていますが、点滴や内服で抗がん剤を投与しても、腹膜に到達しにくいことがわかっており、その治療成績は不良となっています。
本先進医療はS-1の経口投与に加え、パクリタキセルを経静脈および腹腔内に投与する治療法 (S-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法)です。この試験に参加することに同意していただいた場合、「S-1+パクリタキセル経静脈・腹腔内併用療法」と、「ゲムシタビン+アブラキサン併用療法」のどちらかの治療を受けていただきます。どちらの治療を受けるかは、「ランダム」に五分五分の確率で決まります。今までの標準的治療に抵抗性であった腹膜転移を有する膵がん患者さんにより良い治療法が確立し、生活の質の向上を目指しております。

先進医療に係る費用:42,710円/1コース(全19コース)
担当診療科:消化器内科

ゲムシタビン静脈内投与、ナブ―パクリタキセル静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法

腹膜播種を伴う膵癌症例を対象として、ゲムシタビン/ナブ-パクリタキセル点滴静注+PTX 腹腔内投与併用療法を施行し、導入相試験にて推奨投与量の決定と安全性の確認をし、探索相試験にて有効性および安全性の評価を行うことを目的とする。探索相試験の主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は抗腫瘍効果(奏効率・病勢制御率)、安全性、無増悪生存期間、投与完遂性、腹水細胞診陰性化率とし、登録症例数は導入相試験で推奨投与量に決定されたコホートを含む35例とする。

先進医療に係る費用:6,520円(投与1回につき)
担当診療科:消化器内科

糞便微生物叢移植

本先進医療は、再発性のClostridioides (Clostridium) difficile 腸炎(偽膜性腸炎)の患者さんを対象とします。この腸炎は抗菌薬の内服などが原因で腸内細菌叢が撹乱され、Clostridioides (Clostridium) difficile という細菌が異常に増殖したり、毒素を産生することにより発症します。健常なドナー(糞便提供者)の糞便から生成された微生物叢の抽出液を、大腸内視鏡を用いて対象となる患者さんの腸管内で散布し移植することで症状の改善を図ります。移植後3か月間、経過観察をしていただきます。
また、現在新型コロナウイルス感染対応として、ドナーの方に対してPCR検査を実施いたします。その際のPCR検査費用(21,890円)については、患者さん(移植を受けられる方)に下記の料金に追加してご負担いただくことになりますのでご了承ください。

先進医療に係る費用:110,600円(1回につき)
担当診療科:消化器内科