05 活動報告

2016.04.14

2015 American Society for Cell Biology (ASCB) Annual Meetingにて中村聡君が研究成果を発表しました

2015年12月14日に米国サンディエゴで開催された2015 American Society for Cell Biology (ASCB) Annual Meetingにて、5年生(発表時)の中村聡君が研究成果のポスター発表を行いました。発表題目は「KIF11 is involved in the formation of tight junction in renal tubular epithelial cells」です。

  • 活動報告写真(1)

2016.05.09

中村聡君の2015 American Society for Cell Biology (ASCB) Annual Meeting体験記を追加

American Society for Cell Biology (ASCB) Annual Meeting2015体験記

2015年12月11日(金)~17日(木)にかけてアメリカ合衆国、カリフォルニア州サンディエゴにて開催された米国細胞生物学会(American Society for Cell Biology 2015 Meeting)の学生によるCompetitionと専門の先生なども参加する一般のポスターセッションに参加し、主に物質を運ぶ機能を持つとして知られているキネシンのうちの一つであるKIF11が、腎臓の尿細管、膵臓や肝臓の細胞と細胞の接着に関わることを初めて発見したことを発表しました。

どちらの発表でも先生の助けなく英語で質問され続け、英語で答えなければならないという日本人にとっては辛い発表でした。日本語であればかろうじてできる自信はあったものの、自分の英語能力で対応できるか不安でした。
しかし研究室の先生の下でのたくさんの英語論文を読んだり、発表練習をしたり、直前に英語の先生に特訓して頂いたお陰で、必要な事を発表し質疑応答も何とかこなせました。英語の質問も口頭で答えられない可能性を考えて常に小さなメモ用のノートとペンを持って発表し、工夫できそうなことはなるべく工夫したまさに総力戦でした。(実は写真の左手にはノートとペンを持っています)

最終的には審査員や研究者の方々に「君は、大学院は日本ではなく海外に行くべきだ」などと褒めて頂けました。3年生の時に参加した日本解剖学会総会での発表が終わった後、今回の学会を目標に土日や長期休暇を返上して研究してデータをまとめたりしていたので、努力は報われると実感できました。

一学生である私にこの様な発表の機会を下さった基礎研究医養成プログラムの方々、一昨年の基礎ゼミから今回の学会まで何もできない状況から発表として成り立つまでポスターの製作の指導をして下さった解剖学・生体科学講座の栗原秀剛先生にこの場をお借りしてお礼申し上げます。

~後輩たちへ~

先生が私によく言って下さる言葉で「環境が自分を変える」という言葉があります。自分をより厳しい環境に置いてそこで精一杯頑張っていくことで自分をより高い位置に持っていけるという事です。

私は帰国子女でも英語の成績が良いわけでも何でもないので今回英語で発表することはできても、英語の質問を聞き取り答えることは難しいと思っていました。日常会話ではなく専門用語を聞き取り専門用語で返すとか日常会話もできないのに出来るものなのかと思っていました。
しかし先生の「環境が自分を変える」という言葉を思い出して、今回の学会では担当の先生に助けてもらおうと思えば助けてもらえる一般のポスターセッションに加えて、先生の助けを一切借りることが出来ない学生によるCompetitionに参加する事に決めました。Competitionは100人以上参加し結果的には上位3人がもらえる賞には届かなかったものの自分ではできないと思っていた学会の英語での質疑応答が出来るようになりました。
やらなきゃいけない状況になると必要な対策を嫌でも考えなきゃいけなくなり人間出来るようになるものだと思います。実際私もPodcastやCDでリスニングの勉強をやらざるを得ない環境におかれ頑張れました。

「環境が自分を変える」という言葉はアメリカの学会の英語の発表に限りません。
この大学では3年生の時に基礎ゼミという研究しなければならない時期が1ヶ月あります。人によって価値観は様々なのであくまで個人的な意見として聞いてほしいのですが、この1ヵ月は選ぶ研究室によっては楽で遊べるところもあると思います。私はこの研究室選びの時にどうせ同じ1ヶ月研究やるのだったら大変なところでも得るものが大きい所に行こうと思って解剖学を選びました。その時の選択が、私がアメリカで発表していくことに繋がっています。この解剖学の研究室で学んだことは研究の仕方だけではなく、先生の学問に対する向上心や真摯な姿勢など厳しい研究室だったからこそ学べたことがたくさんあります。
後輩たちにも是非この「環境が自分を変える」という言葉も頭の片隅において自分なりの道を切り開いてほしいと思っています。