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2017.8.18 プレスリリース プレスリリース 大学・大学院

世界初!オレキシン受容体拮抗薬のせん妄予防効果を実証~せん妄の治療から予防へのパラダイムシフト~

順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学の八田耕太郎教授、臼井千恵准教授らの研究グループDELIRIA-Jが2015年4月から開始した「スボレキサントのせん妄予防効果: プラセボ対照ランダム化比較試験」の臨床研究の結果、その有効性が明らかになったので報告いたします。本研究により、オレキシン*1受容体拮抗作用による新規不眠症治療薬であるスボレキサント*2にせん妄*3の予防効果があることが判明しました。本成果は薬物療法による新たなせん妄予防の道を拓くもので、高齢者によくみられるせん妄による転倒や認知症の進行といった症状の短期的・長期的予後の改善に繋がると期待されます。本研究成果は米国の学術雑誌「The Journal of Clinical Psychiatry」電子版(日本時間2017年8月2日)で公開されました。
本研究成果のポイント
  • 新規不眠症治療薬スボレキサントのせん妄予防効果を実証
  • せん妄リスク因子を有する患者に薬剤によるせん妄予防の選択肢の提示
  • 高齢者に多いせん妄による転倒や認知症進行といった症状の短期的・長期的予後の改善へ
*1.オレキシン:視床下部外側野局在の神経ペプチドで、オレキシン作動性ニューロンは覚醒系の神経核に投射しながら、夜間に分泌を減じることで覚醒維持に重要な役割を担っている。ナルコレプシーはオレキシンの欠損によって惹起される。

*2.スボレキサント:オレキシン1およびオレキシン2受容体への強力な選択的拮抗作用をもち、入眠困難、睡眠維持困難に効果を有する不眠症治療薬として2015年11月に認可された。脳波評価によって神経生理学的な変化を惹起しないことが明らかにされており、睡眠の質を変容させない利点がある。

*3.せん妄:覚醒度の障害とその変動を本質的特徴としており、幻視など視覚性優位な異常体験や興奮あるいは活動性低下を伴う。睡眠覚醒サイクルの障害は必発である。炎症、低酸素症、薬物などの末梢シグナルが、加齢性変化によって透過性の亢進した血液脳関門を越えてミクログリアを活性化させる一種の脳症と捉えられるようになっている。

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