研究科紹介 診療放射線学専攻
診療放射線学専攻について
近年の高齢化に伴う医療状況の変化、放射線診療の拡大と専門分化、放射線関連機器の急速な進歩と発展、社会情勢による法令の一部改正に伴い、放射線を用いる専門職種として医療現場で果たす役割が拡大していることから、より専門的な知識、高度な放射線技術と放射線管理能力を身につけ、業務拡大などの多様な状況に対応できる資質と能力、高い倫理観を持った診療放射線技師の育成が重要となっています。本専攻では、診療放射線学領域での高度で専門性の高い診療放射線技師を育成し、医療現場や教育現場で活躍し社会に貢献できる人材を養成します。
領域紹介
医療画像技術学領域
医療に用いられるデジタル画像は、撮影装置の進歩、画像処理技術の著しい向上により高画質の画像がさまざまなモダリティから得られるようになりました。また、CT、MRIなどの画像再構成技術の向上による画質改善、臨床での3次元画像の利用による診断能向上や手術支援、各種画像の解析による新たな知見などに寄与しています。さらに人工知能(AI)を用いた画像改善や画像生成技術による診断能向上、画像診断の医師補助など医療画像技術学の領域は更なる進歩が見込まれます。医療画像技術学は画像診断の根幹となる領域であり、医療現場で医療画像技術学を応用し実践できる専門的知識を身につけます。
担当教員
髙橋昌哉、後藤政実、臼井啓介
診療放射線学領域
がん対策基本法が制定されるなど高齢化に伴うがん患者の増加により、がんの早期発見や正確な診断に必要な撮影技術、診断価値の高い画像提供は重要性が増し、高い撮影技術や専門的知識を有する診療放射線技師が必要となっています。また、循環器病対策としての脳卒中や急性心筋梗塞の治療においては、精度が高い画像情報の提供及び急性期の血栓除去術や血管形成術など、チーム医療における診療放射線技師の役割は増大し、臨床現場における高度な実践能力が求められています。放射線を利用した診療においては、安全で有効に放射線を活用することが必須であり、医療施設での放射線研修の実施、利用した放射線の線量記録・線量管理を行う能力が求められていることから、放射線安全管理に対する高度な専門知識と実践能力が身につくよう指導します。
担当教員
代田浩之、京極伸介、坂野康昌、坂本肇
生体量子科学領域
がんは昭和56年以降、国内の死因順位第一位であり、国民の生命および健康にとって重大な問題となっています。がんの治療法において、手術療法、化学療法と共に放射線療法(放射線治療、核医学治療)の重要度が増しています。また、がんの診断では、臓器および組織の形態情報に加え機能・代謝情報を画像化、定量化することが重要で、核医学検査は両者を可能とします。核医学領域では、核医学診断装置の進歩および撮像技術の発展により検査の質が向上しており、更には、放射性医薬品による内用療法における被ばく線量管理など、より高度な専門的知識と実践能力を有した診療放射線技師および医学物理士が必要です。放射線治療領域と核医学領域とが密接に連携することで、検査で得られた情報からより詳細な腫瘍の悪性度を定量的に評価し、がん治療の効果を早期に正確に判断することによって、放射線治療の有効性を向上させることから、生体量子科学では放射線治療および核医学領域での専門的知識と実践能力のある診療放射線技師および医学物理士を目指す者を育成します。
担当教員
中西淳、津田啓介、黒河千恵、佐藤英介、小山和也