佐久長聖高等学校(2024年10月31日)
佐久長聖高等学校×順天堂大学 高大連携イベント開催!
今年も佐久長聖高等学校の生徒たちが、バスに乗って順天堂大学にやってきてくれました。生徒たちは少し緊張しながらも、これから始まるイベントに期待を抱いているようでした。
この半日を医学教育研究室の小川尊資がレポートします。
■ロコモ対策による22世紀の日本への貢献
今回の高大連携イベントでは、整形外科学講座 石島旨章教授が「健康寿命」の重要性をテーマとした情熱的な講義でスタートを切りました。
「100歳まで生きる時代がやってきます」という挑戦的な問いかけから始まり、「男性の20%、女性の50%が90歳まで生きる」という統計結果から「とても重要なのは移動できる能力」であることを分かりやすく説明。健康寿命と平均寿命の差が約10年もある中で、その差を縮めるためには、運動器の健康を保ち、日常的に自分の力で体を動かすことが重要であり、それが健康寿命を延ばす鍵であることを強調しました。
「整形外科の始まりをご存じですか?」という問いかけから、整形外科の歴史が語られました。当初は子供の骨を中心に治療していた分野が、社会の高齢化に伴い高齢者の治療にシフトし、今では健康寿命の延伸において欠かせない役割を担っていると説明しました。
「これからの未来においては、病態を解明し、予防に注力し、早期治療を実践することが極めて重要です」。石島教授の熱い言葉は、病態解明と予防医療の重要性を伝えていました。
講義の最後には、「22世紀を担う高校生の皆さんへ」として、「無知を知ること、素直さ、誠実さ、世界を広く見ること、そしてハードワーク」という言葉が贈られました。
■医療現場の体感と医学の歴史に触れる
続いて、シミュレーションセンターでの体験実習と日本医学教育歴史館でのクイズツアーが行われ、生徒たちは医療現場を体感し、医学の歴史に触れる経験をしました。
シミュレーションセンターでは、BLS(一次救命処置)、気管挿管、トラウマケア、さらにダヴィンチ(手術ロボット)の操作体験やVR腹腔鏡手術など、最新の医療技術に触れる機会が提供されました。生徒たちは模擬患者を通じて診療手順や緊急対応に挑戦し、歓声が上がる場面も多く見られ、生徒たちの好奇心が刺激されている様子が印象的でした。最新の技術に触れ、医療の現場に対する理解を深め、命の大切さやチームワークの重要性を感じたようです。
その後、日本医学教育歴史館でのクイズツアーが行われ、生徒たちは日本医学の歴史を学びながら、展示物に関するクイズに挑戦しました。昔の医療器具や著名な医師たちの功績に触れ、現代医療の礎がどのように築かれてきたのかを理解し、当時の医師たちの努力に思いを馳せたのではないでしょうか。
これらのプログラムは、生徒たちに医療の現場と歴史の両方を学ぶ良い機会となり、彼らの未来へ向けた意欲を高めたかもしれません。
■医学生との懇親会
さらに、3名の医学生と生徒たちとの懇親会が行われました。受験勉強やモチベーションの保ち方などについて多くの質問が寄せられ、医学生たちは自身の経験をもとに、熱意を持って丁寧に答えていました。会場は終始和やかな雰囲気に包まれ、笑顔や感謝の言葉が飛び交っていました。生徒たちはこの交流を通じて、将来に向けて感じていた疑問や不安が希望とモチベーションへと新たにしたようです。