富士高等学校(2026年8月7日)
富士高等学校×順天堂大学 高大連携イベント開催!
「僕は手術が大好きなんです」
医師の仕事を聞き、自分の手で確かめる一日
「これまでで一番難しかった手術は何ですか」
「いつ医学部を受験しようと決めたのですか」
「モチベーションは、どうやって保っていますか」
順天堂大学を訪れた静岡県立富士高等学校の生徒たちから、次々と質問が飛び出しました。
この日行われた高大連携プログラムでは、医師による講演に加え、手術手技のシミュレーション、日本医学教育歴史館の見学、現役医学部生との交流を実施。医学や医師という仕事を、さまざまな角度から体験する一日となりました。その一日を医学教育研究室小川尊資がレポートします。
■食道・胃外科の吉本先生による講演から、この日のプログラムがスタート。

「消化器外科医は絶滅危惧種」
最初に登壇したのは、順天堂大学医学部附属順天堂医院 食道・胃外科の吉本雄太郎先生です。
医学部での学びや外科医の仕事に加え、部活動に打ち込んだ学生時代、仲間と助け合うことの大切さを学んだ寮生活、ジョンズ・ホプキンス大学への短期留学など、自らの歩みを高校生に語りました。
話はやがて、現在の消化器外科を取り巻く状況へ。
「消化器外科医は絶滅危惧種です」
外科を志す若い医師が減っている現状を、吉本先生はそんな言葉で表現しました。
それでも、なぜ外科医を続けるのか。
「僕は手術が大好きなんです」
飾らない一言でした。
講演後には、「これまでで一番難しかった手術は何ですか」「いつ医学部を受験しようと決めたのですか」「モチベーションをどうやって保っていますか」と質問が続きました。
高校生の関心は手術の技術だけでなく、一人の医師がどのように進路を選び、仕事と向き合ってきたのかにも及びました。
「一番難しかった手術は?」。講演後には、高校生から医師の仕事や進路について質問が相次ぎました。

「一番難しかった手術は?」。講演後には、高校生から医師の仕事や進路について質問が相次ぎました。
■「手術が好き」を、自分の手で確かめる
講演の後は、シミュレーションセンターへ。
生徒たちは、VR腹腔鏡、縫合・糸結び、電気メス、手術支援ロボット「da Vinci」の4つのブースを巡りました。
先ほどまで話を聞いていた「手術」を、今度は自分の手で確かめます。
糸結びでは、初めは声を上げながら試行錯誤していた生徒たちも、少しずつコツをつかむにつれて手元へ集中するようになりました。
見るのと、実際にやってみるのとでは違います。


初めは思うようにいかなかった糸結び。繰り返すうちに、生徒たちの表情も変わっていきました。


腹腔鏡では、手元を見つめたまま無言で操作を続ける生徒の姿も。

電気メスでは、実際の機器の出力に驚く声も上がりました。

さらに、手術支援ロボット「da Vinci」の操作にも挑戦しました。高校生が最先端の手術機器に触れました。
■最新の医療から、その原点へ
手術手技を体験した後、生徒たちは日本医学教育歴史館へ向かいました。
最新の医療機器に触れた今度は、視点を過去へ。展示をたどりながら、日本の医学教育と順天堂が歩んできた歴史に触れました。

■数年先の自分に聞いてみる
一日の終盤には、順天堂大学医学部2年生との交流会が開かれました。
大学ではどのように勉強しているのか。大学生活はどんなものなのか。そして、英語はどう学べばいいのか。
現役医学部生を囲んで、高校生から次々と質問が出ました。

教授や医師に尋ねるのとは、少し違います。
数年前まで自分たちと同じ高校生だった先輩だからこそ、聞けることがあります。「医学部に入った自分」を、少し身近に想像する時間となりました。
■静岡の医療を「中から」支える人に
最後に生徒たちへ言葉を贈ったのは、自身も静岡県の高等学校出身(韮山高等学校)の折田先生でした。
話題は、静岡の医療、そして災害医療へ。
災害が起きたとき、外から支援に入るだけではなく、その地域の中にいて医療を支えられる人になってほしい。
そして将来は、順天堂大学医学部附属静岡病院で一緒に働こうと、高校生に呼びかけました。

朝、「いつ医学部を受験しようと決めたのですか」と医師に尋ねていた高校生たち。
一日の終わりには、その問いはもう少し先へと広がっていました。
医師になるかどうかだけではない。
医師になった自分は、どこで、誰のために働くのか。
「僕は手術が大好きなんです」という一人の外科医の言葉を聞き、自分の手で医療技術に触れ、医学の歴史をたどり、医学生と語り合った一日。
医師という仕事を「知る」だけでなく、自分自身の将来と重ねて考える高大連携プログラムとなりました。

プログラムを終えた富士高等学校の生徒と、順天堂大学の教員・学生ら。