vol.19
海外レポート

『ザンビアの少女と女性に人気のスポーツ』

ザンビア国内において、女性と少女に最も人気のあるスポーツは「ネットボール」です。ネットボールはバスケットボールのルールを基準に女性用のスポーツとして改良されたもので、主にイギリス連邦の国々で盛んに行われています。ザンビアの村や都心の低所得地域では、スポーツは男性がするものというステレオタイプの認識が根強く残っており、少年と同じように、少女がスポーツを楽しむ機会に恵まれているとはいえません。こうした状況下で、女の子用のスポーツの方が導入しやすいということから、ネットボールは田舎の村でも都心部でもザンビアの女の子に最も人気のあるスポーツになりました。女性のスポーツ経験者の多くは、ネットボールを行なった経験があります。
また、都市部を中心に徐々に女の子にも広がってきているのがサッカーです。サッカーは男性のスポーツという認識が強いため、そのステレオタイプが障害となっており、なかなか浸透していませんが、学校の授業の一環として、女子サッカーチームを持っている学校は多くあります。しかしながら、女の子が学校を卒業すると、サッカーができる環境は非常に少なくなります。スポーツNGOが女子サッカーチームを持っているケースもありますが、ザンビアの文化的、社会的背景から考えても、地域に根づかせるまでに浸透させるには、長い時間と労力が必要です。
image1

写真提供 NOWSPAR

少女や女性がスポーツをすることに抵抗のある社会背景がある一方で、女子ボクシングに注目が集っています。ザンビアにはスーパーライト級世界王者のEsther Phiri選手がおり、彼女のおかげでメディアの注目度が高まっているのです。彼女はザンビアの貧しい家庭で生まれ育ち、ボクシングで世界チャンピオンになりました。彼女のサクセスストーリーに刺激を受け、貧しい地域を中心に、彼女をロールモデルとしてボクシングを始める女の子が増えてきています。ボクシングで良い成績をおさめれば、勝利給や学費の補助をしてもらえるケースもあるようで、経済的に家族を助けることもできるそうです。
これまでご紹介してきたように、ザンビアでは、少女は学校やクラブを通してスポーツをする機会がありますが、学校を卒業した大人の女性にはほとんどその機会はありません。特に低所得地域の女性がスポーツにふれることのできる場所はなかなかないのが現状です。2015年にNOWSPARが行ったザンビアの首都ルサカのスポーツジムにおける調査によると、女性のジム利用者は、男性と比べるとかなり低く、低所得者向けのジムにいたっては、女性専用のトイレや更衣室を設けているジムはほとんどありませんでした。そこで、大人の女性にも気軽に運動を楽しんでもらうことを目的に、NOWSPARはエアロビクスのプロジェクトを実施しました。週末に女性を対象にした無料エアロビクスイベントを開催し、大人の女性の身体運動への参加を促したところ、このプロジェクトは、NOWSPARの手を離れ、民間のエアロビクス団体がスポンサーをつけ、独立して管理運営を行なえるまでに成長しました。
image2

写真提供 NOWSPAR

現在では、平日の仕事終わりの時間と土曜日の早朝に、地域住民に向けて無料のエアロビクスプログラムを男女問わず提供しています。ザンビア人が大好きなダンスが、国民の心身の健康の維持増進のきっかけ作りになりました。こうした地道な活動こそが、ザンビア国民のスポーツに対する意識の変革に繋がっています。
NOWSPAR

ライター紹介
野口 亜弥

米国・フランクリンピアス大学経営学修士課程(MBA) 2014年修了。2014年スウェーデンの女子プロサッカーリーグでプレー。
2015年1月から6月までザンビアの女性スポーツNGO(非政府組織))NOWSPARにおいてインターンシップ。
TOP

超省エネな身体
vol.
スポーツ栄養

超省エネな身体

024#鈴木 志保子##「超省エネな身体」とは? 省エネな身体であるにもかかわらず、さらに極端な減食を行ったり、活動量を増加させることによって体重や体脂肪を減少させた身体を「超省エネな身体」と呼んでいます。
22サムネイル
vol.
海外レポート

ザンビアレポート5:スポーツを通した女性のエンパワーメント~知識とスキルを身につけて

023##野口亜弥#ザンビアにおけるスポーツを通した女性のエンパワーメントについてご紹介します。
likeAgirl
vol.
海外レポート

「#LikeAGirl」キャンペーン

021##井上好#世界中の女の子と女性たちが“強さと自信、活力を持って生きていけるように”と始められたLikeAGirlキャンペーンについてご紹介します。
3_女性リーダーサムネイル
017##野口亜弥#世界情勢の改善に取り組む国際機関である「世界経済フォーラム」は、「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」を毎年発表しています。そのレポートの結果を踏まえたザンビアでの取り組み等、女性リーダーネットワークについて紹介します。
image
016##野口亜弥#第4回国際女子サッカーフェスティバルがベルリンで開催されました。世界各国から集った約100人の女子サッカー選手、コーチ、審判、ジャーナリスト、マネージャーが一同に会し、 女子サッカー界と社会全体に置ける女性の権利について話し合われました。
省エネな身体
vol.
スポーツ栄養

省エネな身体

013#鈴木志保子 教授##大量のエネルギーを消費するアスリートにとって望ましい省エネな身体について解説します。
タッカーセンター その2
vol.
海外レポート

タッカーセンター紹介 その2

008##井上好#アメリカの女性スポーツ研究の最前線であるタッカーセンターについて紹介していきます。
こんなに違う!女性と男性の身体
vol.
コンディショニング

こんなに違う! 女性と男性の身体

005#鯉川なつえ 准教授#吉田渓#男性との身体の違いや女性ならではの特徴について、順天堂大学スポーツ健康科学部スポーツ科学科の鯉川なつえ先生にお聞きしました。
5年後の東京五輪・パラ そのとき女性コーチの姿は?
006###東京五輪・パラリンピックを5年後に控え、日本における女性コーチの在り方を考える「女性スポーツリーダーシップカンファレンス2015」は2月14日、多数の方にお集まりいただき大盛況のうちに終了しました。
私たちを変える鍵「エプリンク」とは
vol.
リーダーシップ

私たちを変える鍵「エプリンク」とは

007#小笠原悦子 教授##私たちのミッションは限られたトップ選手だけではなく、中、高校生といったジュニア、さらには指導者やコーチを目指すみなさんにも女性とスポーツをめぐる最先端の情報を届け、役立ててもらうこと。
女性アスリート外来設立ものがたり2「無月経や疲労骨折…。女性アスリート特有の症状を診る
002#鯉川なつえ 准教授#佐藤温夏#「女性アスリート外来」のコンセプトは、「女性アスリートが健康で長期的に高い競技力を継続できるよう、医学的側面から総合的に支援」すること。幅広い層の女性アスリートを受け入れています。
女性アスリート外来設立ものがたり1 あまりに多かった「無月経」のアスリート
001#鯉川なつえ 准教授#佐藤温夏#2014年8月、「女性スポーツ研究センター」の設立からほどなくして、日本で初めての女性アスリートを専門に診察する「女性アスリート外来」が、順天堂大学医学部附属順天堂医院と同浦安病院内に開設されました。
タッカーセンター紹介その1
vol.
海外レポート

タッカーセンター紹介 その1

004##井上好#アメリカの女性スポーツ研究の最前線であるタッカーセンターについて紹介していきます。