vol.018
海外レポート

大学スポーツの在り方の違い

全米における大学スポーツとは、全米大学競技スポーツ協会(NCAA:National Collegiate Athletic Association)によって統括、運営されており、日本における大学スポーツとは大きく性質が異なります。全米では、誰もが地元の大学、もしくは母校を応援しており、ホームゲームともなると大学のロゴの入ったグッズ(Tシャツ、トレーナー、キャップ、マフラー等)を身につけたファンで会場は賑わいます。
どちらかというと日本では、スポーツに重きを置く一部の学生やその保護者のためのものであり、一般の観客にスポーツを魅せる、楽しんでもらうといったエンターテインメント的観点からは、程遠いものがあるように思います。もちろん、その背景には根本的な文化の違いがあり、どちらが良いとは一概に比較することはできません。試合を魅せ、観客収入やスポンサー収入があるからこそ実現可能なシステムでもありますが、学生アスリートが活躍する機会という側面からのみ見れば、圧倒的にアメリカの環境が恵まれていることがわかります。
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例えば、スポーツの才能があれば奨学金(学費の免除、生活費の補助、旅費や備品のサポートなど)をもらうことができます。チームの指導は、大学教員や職員ではなくコーチングに特化した専門家が担当し、大学は、たくさんの観客が入ることのできるスタジアムやアリーナを所有しています。さらに、メディアはこぞって大学スポーツに注目し、試合ともなると、テレビやラジオで中継されるほどです。最も注目を集めている競技は、アメリカンフットボール(男子のみ)と男子バスケットボールで、この2種目に限っては、プロスポーツと同等の人気を誇り、日本で言えば夏の甲子園の白熱がずっと続いているようなイメージをしていただくとわかりやすいかと思います。興味深いことに、オリンピックやワールドカップなどの代表戦よりも国民の関心度は高く、この点でも、大学スポーツの位置づけが大きく日本と異なることがわかります。女子競技では、プロリーグのあるバスケットボールが最も注目を集めています。
 

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女性スポーツとして考えた場合、メディアの取り上げられ方やカバー率には未だ多くの課題が残されているものの、大学スポーツ文化の好影響は、多くの分野に現れています。例えば、アメリカで女性スポーツの研究が盛んであるのは、研究も行なう大学が舞台になっているということも理由のひとつとしてあげられるでしょう。また、スポーツ参加率からいうと、大学スポーツにおいて良好な環境が存在するおかげで、高校卒業とともにスポーツから離脱することなく、よりプロフェッショナルに競技を継続できるということも大きく貢献している点であるでしょう。さらに、将来、大学スポーツのコーチとして活躍するチャンスがあるということは、指導者を志す女性、元アスリートにとっては、非常に大きな雇用の場となっているということです。このように、アメリカ大学スポーツの取り組み、仕組みには、将来的に女性スポーツを活性化させるための道筋、ヒントがたくさん隠されているのです。
井上 好

ライター紹介
井上 好

国立大学法人鹿屋体育大学修士課程修了。
2014年9月より、ミネソタ大学大学院身体運動学科(アメリカ・ミネソタ)にて、女性スポーツ及びヘルスプロモーションを専攻。
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