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女性スポーツセンター Women in Sport 女性スポーツに関する情報発信サイト
vol.001
リサーチ

女性アスリート外来 設立ものがたり1
あまりに多かった「無月経」のアスリート

2014年8月、「女性スポーツ研究センター」の設立からほどなくして、日本で初めての女性アスリートを専門に診察する「女性アスリート外来」が、順天堂大学医学部附属順天堂医院と同浦安病院内に開設されました。
鯉川なつえ

鯉川 なつえ

順天堂大学スポーツ健康科学部先任准教授
同大陸上競技部女子監督。
主な研究テーマは、スポーツにおける疲労の血液生化学的研究および女性トレーニングに関する研究。

女性アスリート外来設立のきっかけ

開設のきっかけは、鯉川なつえ順天堂大学スポーツ健康科学部准教授(女性スポーツ研究センター副センター長)が、1998年に母校・順天堂大学陸上部の女子担当コーチに就任した時期にまでさかのぼります。
鯉川准教授はコーチとなってすぐ、部員の体調をチェックしました。すると、無月経の選手があまりにも多かったというのです。
「驚きました。無月経の選手が部員の3分の1くらいいたのです。ショックでしたね。それに月経があっても、試合に重なってしまい、実力を発揮できないといった悩みを抱えている選手も多くいました」
鯉川准教授は陸上競技の長距離の元トップ選手。筑紫女学園高校進学と同時に陸上競技を始め、順天堂大学時代と実業団1年目に2大会連続でユニバーシアードに日本代表として出場しました。自身は実業団に入ってすぐに環境の変化が原因で無月経を経験しましたが、学生時代はそんな悩みとは無縁の健康的な競技生活を送っておりそれだけに、コーチ就任後、月経に悩む選手が多いことに驚きも大きかったそうです。
「指導者としてこの状況を改善しなければいけないと考え、すぐに誰かに相談したいと思いました。そこで順天堂大学の運動生理学の教授に相談し、順天堂医院でアスリートを診れる婦人科のドクターを紹介していただきました。」
鯉川なつえ

するとその医師はいとも簡単に治療方法を提示したのです。それはピルの使用でした。ちょうど1999年には厚生省(当時)が、低容量ピルを医薬品として承認。医師の処方があれば、使用できるようになるところでした。

そこで鯉川准教授はどのようなピルがアスリートに向いているのかを知るため、自らの身体を実験台にすることを決意。4〜5種類を服用し、副作用の有無などを試しました。

その結果、植物由来のものが最も飲みやすく、副作用もなかったことから、希望する部員には、婦人科医の診察を受けさせ、相談しながら服用を薦めました。こうして順天堂大学陸上部の女子部員は、月経に関する問題を克服していったのです。

ホルモン注射をいまから打つ?! 寄せられた多数の相談

この経験から月経について問題意識を強くもった鯉川准教授は、無月経にまつわる研究論文をどんどん発表していきました。すると思いもよらない反応が起きます。論文を読んだ陸上競技の指導者から鯉川准教授のもとへ問い合わせが舞い込んできたのです。
「ある高校の陸上部の監督さんから、『これから無月経の生徒に女性ホルモンの注射を打たせようと思うんだけど、これでいいだろうか?』と、病院からお電話をいただきました。私は驚いて『いきなり注射なんてやめたほうがいいです』と即答しました。『まずは要因を探し、手順を踏んで治療をしなければいけません』と。ほかにも、密かに悩んでいるという生徒や保護者、そして実業団チームの監督やトップアスリートからも相談を受けるようになったり…。正直、反響の大きさに驚きました。同時に、たくさんの人が悩んでいることを知ったのです」
こうして、つぎつぎと寄せられる相談に答えていた鯉川准教授でしたが、やがてひとりで対応することに限界を感じ始めます。
「この問題、どうにかならないかなぁと思うようになりました。全国各地で同じような問題に悩んでいる人がいて、そもそも正しい知識がなかったり、情報が届いていない人がたくさんいました。
それに、無月経は単なる月経異常というわけでなく、疲労骨折や将来的には不妊の原因となったりします。こうした症状は、婦人科だけでも、整形外科だけでも治療できません。このふたつの診療科を組み合わせ、スポーツに特化したスポーツメディスンの診療科が必要だと考えるようになったのです」
ホルモン注射を今から打つ?!寄せられた多数の相談

それが形となったのが、「女性スポーツ外来」というわけです。選手や指導者たちの切実な声がもととなり、鯉川准教授の中で15年以上もあたため続けられてきた、女性アスリートのための夢の診療科なのです。
佐藤温夏

ライター紹介
佐藤 温夏

ライター、編集者。柔道、サッカー専門誌の編集部などを経て独立。スポーツ分野では主に競泳や柔道を取材している。
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