読み物

2021年06月14日

日本の医師免許取得を目指す海外の医師を支援する「国際医療人養成プログラム」の意義

グローバル化が進む昨今、医療分野でもグローバル化が注目されています。外国人患者さんへの医療ニーズに応えるため、国際的な視野を持った医療人の育成が必要とされています。順天堂の「国際医療人養成プログラム」では、外国の医師免許を持つ医師に対し、日本の医師養成のための医学教育を施し、日本の医師免許取得に必要な知識を習得させることで、日本の医療の国際化の促進を図ります。本プログラムを立ち上げた内藤俊夫教授と、現在運営を担当する森博威准教授に、プログラムに懸ける想いやその特色についてうかがいました。

国際的な視野を持った医療人を育てるために 

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内藤俊夫 教授

日本の医療のグローバル化が進む中、外国人の患者さんに対応できる国際的な視野を有する医療人を育成することが必要とされています。順天堂大学では、もともと国際化に強みを持ち、海外の医学部出身の医師への教育に力を入れてきました。「国際医療人養成プログラム」は、海外の医師免許を持つ医師に対し、日本の医師養成のための医学教育を行い、日本の医師免許取得に必要な知識を習得してもらうことを目的とした履修証明プログラムです。

10年ほど前から、中国やハンガリーなどの大学や医療機関から「日本で医師を目指すにはどこで研修を受けることができるのか」という相談を受けることがありました。視察に行った海外の大学の学生たちはとても優秀でしたし、とてもいい環境で学んでいることがわかりました。また、様々な国籍や異なる文化的背景を持った学生たちが活発に意見を交わし合っている姿もとても印象的でした。そこで順天堂大学では日本で医師を目指す海外の医師を組織として積極的に受け入れるために当プログラムを立ち上げたのです。国籍も経歴も異なる学生が切磋琢磨し合う姿は、日本の医学生にも良い刺激になっていると感じています。これからは、日本国内でもさらに海外の患者さんに対する医療ニーズが高まるでしょう。そんな時、語学やコミュニケーション力に長けた彼らに勝る医療人はいないはずです。当プログラムの履修生として順天堂で学び、ゆくゆくはそれぞれが専門医となって、これからの日本の医療を支えてくれたらと願っています。

順天堂での学びを世界へ

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森博威 准教授

プログラムの大きな目的の一つは、日本での医師国家試験の合格を目指すことです。日本語への不安もありながら異国で国家試験の勉強をするのは大きな不安もあるでしょう。履修生たちがその不安を解消したり、わからないことを教え合ったり、励まし合ったりする場としても、当プログラムは大きな役割を果たしていると感じています。今年度は順天堂大学の医学部生やプログラムの卒業生との交流も計画しています。当プログラム出身者には、後輩に苦労したことや役に立った情報などを伝えてほしいと思っています。もちろん国際的な視野を持った医療人となって、日本の医療を支え、順天堂の発展にも関わってほしいですが、個人的には地域医療を支える人材として活躍してほしいという思いもあります。地域で働くには、医師として総合的な力が必要とされます。患者さんの背景や事情が複雑な地域では、彼らの経験やコミュニケーション力が役立ち、地域の大きな力になれるはずです。また、専門医として日本で、そして順天堂で学んだ医療者としての知識や技術を自分の国や日本以外の国に伝えてほしいです。将来的には海外の大学や医療機関との共同研究などにも発展させていきたいと思っています。

 


6カ月の実地プログラムで世界に誇る日本の医療を学ぶ

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本プログラムは、録画講義の視聴、セミナー、ワークショップで構成される 6 カ⽉間のプログラムです。本学医学部の6年生が受講する必修コース(必修講義)の受講をプログラムの柱とし、教員によるセミナーや学生同士のワークショップでお互いの知識の定着を図ります。必修コースは各疾患の病態生理、診断および鑑別診断、重要な疫学、治療方針を説明する実力を養うことができること、さらに国家試験出題要項の必修項目を通して、国家試験の要点および禁忌肢を理解することができることを目的としています。本プログラムの修了により目指すのは、⽇本で働く医師に求められる基本的な資質・能⼒、診療知識及び診療技能を身につけること。世界的にも⾼く評価されている⽇本の医療を実地で学ぶことで理解を深め、広い視野を養います。2020年度は23名がプログラムに参加し、うち12名が20212月に実施された第115回医師国家試験を受験、そのうち合格者は9名でした。

(リンク)国際医療人養成プログラムの詳細はこちら

 


国際医療人養成プログラム参加者からのメッセージ

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張詩博さん(中国) 

最終卒業校:ハルビン医科大学・ハルビン医科大学大学院

私は中国で医師として約2年間働いてきましたが、医師としてもっと広い世界を見てみたいと考え、順天堂大学の国際医療人養成プログラムに応募しました。言葉の問題や試験勉強の大変さはもちろんありますが、声や経験を共有できる仲間がいることはとても心強いと感じています。模試の成績が振るわず、落ち込んでいるときも、仲間と励まし合うことができますし、面談などで先生方と対策を練ることもできます。順天堂は私たちのような外国人が学ぶ環境として、非常に過ごしやすいと感じます。また、図書館など施設も整備されており、大変恵まれています。初期研修医として現在は様々な科を回って勉強させていただいていますが、自分なりに目指す医師像をしっかり描き、日本の医療を支える医療人になりたいです。

 


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清瀬祐次さん(日本)

最終卒業校:ポーランド国立医学院ポズナン医科大学

国家試験対策として、何をどのように勉強すればよいのか、右も左もわからなかった私にとって、仲間と情報共有ができる安心感、熱心に指導してくださる先生方との出会いは非常に大きな糧となりました。ビデオ講座は時間的にも多く、勉強は大変ですが、仲間同士で集まって講義を受けると刺激にもなります。順天堂では、魅力的で熱い先生方とたくさん出会うことができ、本当に感謝しています。まだまだこれからたくさん学ぶことがありますが、将来的には、何かのスペシャリストとしての医療者というよりも、どのような状況にも対応できるような広い視野と柔軟性を持った医療者になりたいと考えています。