順天堂グローバル教養論集第一巻20160325
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113言語・文化に関する題材の一考察Enjoying good food is a fundamental pleasure. But the slow-food movement asks whether “good food” can mean more than simply the avor and presenta-tion of a meal on the plate. When we talk about quality food, we mean something that is good to taste but also good in terms of its background. Qual-ity food cannot exist without respect for the envi-ronment, for species of animals and plants, for the workers who produce the food and the consumers who eat it…と始まる601語の英文である。設問では、内容理解の選択問題と、本文中のit や語句を日本語で説明することを求められている。b) 「異文化接触の捉え方」(2014年度、東京都中高共通) この題材は、異文化に接するのが容易になった現在の利点だけではなく、問題点や課題を取り上げている721語の英文である。Today, many of us are taught that learning about other cul-tures is fun! People are different, and that’s okay! と始まり、後半のパラグラフでは、So, beyond the level of basic rights, how best can we observe, evaluate, and learn from cultural difference?...We can choose to turn these areas of intersection into battlegrounds or into meeting places.とある。つまり、異文化間の遭遇をコミュニケーションの機会とするか戦闘の理由づけとするかは私たち次第であると、思考を促す内容である。設問は内容に関する選択問題である。c) 「文化固有のエチケット」(2015年京都市中学) この題材は、アイコンタクト等、表面に現れる文化による違いから、時間の感覚や、ビジネスでの常識や、人間関係を円滑にするための文化的価値観の違いを紹介している。最初のパラグラフは、“Etiquette is a fancy French word for fancy manners. Etiquette is more than learning how to eat correctly, it describes acceptable ways of be-having. Every culture has its own rules that govern etiquette, some of them are the same and some of them are different. と始まり、このあとに具体的な例が続く460語の英文であり、設問は内容把握の選択問題である。4.3. 考察 2011~2015年度の言語・文化の題材を調査した結果、次の3点について述べたい。まず1点目は、言語に関する題材が51問と多く、中でも第二言語習得に関する題材が16問と多い。英語教育のための試験問題であるので、その動向や研究分野をおさえておくことは重要で、比重が大きいことも妥当だが、もっと大きい枠組みでの言語を扱い、考えることも大切であると考える。そういう視点では、4.1のbの「消滅する言語」は、英語教員として、気づきを与えたり、自分の座標軸を定めて考える力を問うのにふさわしい題材だと思う。2点目は、文化に関する題材に関してである。日本文化を発信する重要性が謳われる今日、日本文化の扱いはもちろん重要だが、単に目に見える表層的な文化的特徴だけではなく、異文化比較から何を捉え、何を考えるかが問える題材が理想的である。4.2のbの「異文化接触の捉え方」は、異文化接触の利点・問題点の両面に触れ、cの「文化固有のエチケット」は、事象の文化的背景を深く考えさせる題材である。3点目は、英語や英語圏文化に特化した問題に関してである。英語教育の場合、つい英語や英語圏文化を特別扱いしがちな面があったが、グローバル時代を反映して、英語や英語圏だけに焦点を合わせた問題が少ないのは、妥当だと考える。 言語・文化の題材の調査から、言語観を問い、議論できる深い題材が多いことがわかったが、設問は、4.1のa、b、4.2のa、b、cのように、内容把握の選択問題が全体の40%を占める。しかし、4.1のcの例にあげた「グローバル社会の英語」のように論述問題で理想的なものもある。「アジア出身のALTと授業前にどう向き合い、どういう授業を作りあげるか」の設問である。英語教員は、変化する社会や言葉に対し、自分の立ち位置を明確にして、言語や文化の重

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