順天堂グローバル教養論集第一巻20160325
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114順天堂グローバル教養論集 第一巻(2016)要性を生徒に伝える力が必要である。英語教員になる資質をはかるには、言語・文化に関する判断力も考慮すべきである。5. おわりに 本稿では、2011年度から2015年度の25都府県市の教採試験(英語)の長文読解問題が、英語教員の資質を問う問題として適切か、調査・考察した。長文読解問題の題材を取り上げたのは、読み物の真髄は題材であると考えるからである。言語文化に関する題材に焦点を当てたのは、言語と文化に関する判断が言語観に関わるからである。 まず、題材428問(2011年度77問、2012年度93問、2013年度82問、2014年度87問、2015年度88問)を13種類に分けた。その結果、言語・文化の題材が、2011年度は21%(77問中16問)、2012年度は18%(93問中17問)、2013年度は31%(82問中25問)、2014年度は15%(87問中13問)、2015年度は19%(88問中17問)と重視されていることがわかった。次に言語・文化に関する題材にしぼり、1)言語一般、2)英語、3)文化一般、4)英語圏文化に関する題材のように4項目に分け、調査・考察した。言語・文化の題材の具体例をあげ、グローバル時代に即した理想的な例も紹介した。教採試験は、一般の英語能力試験と異なることを明確にし、教員の資質に重要な言語観も問うべきである。註1) (1)東京都、(2)茨城県、(3)栃木県、(4)群馬県、(5)埼玉県・さいたま市、(6)千葉県・千葉市、(7)神奈川県・横浜市・川崎市・相模原市、(8)新潟県・新潟市、(9)富山県、(10)石川県、(11)福井県、(12)山梨県、(13)長野県、(14)岐阜県、(15)静岡県・静岡市・浜松市、(16)愛知県、(17)三重県、(18)滋賀県、(19)京都府、(20)大阪府・大阪市・堺市、(21)兵庫県、(22)奈良県、(23)和歌山県、(24)京都市、(25)神戸市 本研究の一部は科学研究費補助金基盤研究(C)「グローバル人材を目指した主体的学習者を育む英語学習開発に関する研究」(課題番号26370679)研究代表東郷多津の助成を受けている。引用文献近藤正臣(2015).『通訳とはなにか―異文化とのコミュニケーションのために』生活書院高橋一幸(2011).『成長する英語教師』大修館書店高橋貞雄(2012).「英語教育題材」Teaching English Now Vol. 22, 16–17頁, 三省堂仲 潔(2012).「言語文化観を育成する「英語科教育法」の実践」『言語文化教育学の実践』, 246–263頁, 関西言語文化教育研究会 金星堂森 住衛(2015).『日本の言語教育を問い直す』三省堂八木克正(2007).『世界に通用しない英語』開拓社    吉野康子(2012).「教員採用選考試験(英語)に関する一考察―学習指導要領・指導法の扱いの視点から」『言語文化教育研究』第2号, 145–156頁, 東京言語文化教育研究会吉野康子(2013).「教員採用選考試験(英語)の3つの視点―英語能力・学習指導要領・指導法―」『実践女子大学FLCジャーナル』第8号, 43–59頁, 実践女子大学外国語教育研究センター吉野康子(2013).「教員採用選考試験(英語)の英語能力問題―長文読解問題の題材を中心に―」 『言語文化教育研究』第3号, 161–173頁, 東京言語文化教育研究会吉野康子(2015).「長文読解問題における言語・文化・教育に関する題材―英語教員の資質を問う教員採用試験か―」『日本の言語教育を問い直す―8つの異論をめぐって―』311–320, 三省堂

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