順天堂グローバル教養論集第一巻20160325
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38順天堂グローバル教養論集 第一巻(2016)知枠組み(コンテクスト)へ視点を移動させることで見えてくる。 CSのフレームワークを構成する諸項目は利用者が新たに設定することができる。たとえば、「地理的配置」の項目として、「南アメリカ」や「東アジア」といった項目を新設できる。冒頭で示した東京・秋葉原における外国人観光客の事例では、経済や文化・道徳といったコンテクストと同時に、「属性による配置」における「国籍」というコンテクストで自他を理解し、他者の行為について否定的なイメージをもつに至るケースであった。そこで、「東アジア」というコンテクストを新設し、そこから自他を捉え直すと、国境を越えた同一の地域に居住し、環境問題、自然災害、感染症、地域の政治的安定、経済などの分野で協力をすべき間柄であることが認識されれば、否定的なイメージだけに偏重しないという点でバランスのとれた、現象(他者)の多面的な理解が可能となる。 この環境問題、自然災害、感染症等の国を越えたグローバルな影響へ注意を向け、国、地域を越えて協力が必要なコンテクストに移動するための指標がマクロ・コンテクスト2に含まれる「グローバル・トピック」である。したがって、上記で示した外国人観光客の事例にCSを適用した前述の説明では、すでにマクロ・コンテクスト2の「グローバル・トピック」を発動させている。 同じくマクロ・コンテクスト2にある「形而上学的トピック」は、倫理、超自然、自由、新自由主義といった概念をコンテクストとして扱っている。Chen & Starosta (1998-9)のPSのように、自分と相手の文化的コンテクストという文化に焦点を当てたICC研究のモデルがもつ認識的枠組みに加え、CSでは、記号論の知見を援用して、「形而上学的トピック」で示されるような概念もコンテクストを指標するものとする。マクロ・コンテクストについて小山・綾部(2009)は次のように説明する。マクロ・コンテクストとは、社会・歴史的コンテクストの総体を(潜在的には)含むものであり、したがって、コスモロジー(宇宙観、世界観)、イデオロギー(思想)、概念、そして言語構造(文法コード)などの(記号論で言う)「象徴」(中略)、加えて、いわゆる「自然環境」も含み込んでいる。(p. 32)以上の記述からわかるように、「形而上学的トピック」に例示された「新自由主義」といったイデオロギーも当然マクロ・コンテクストに含まれ、組織や個人の現象理解に介在しているのである。 次にメゾ・コンテクストに移ろう。メゾ・コンテクスト(mezzo-context)は、通常、中間の、もしくは組織のコンテクストを指し、「組織タイプ」に関わるコンテクストと「職務グループ」に関わるコンテクストを指す。前者は、政府、企業、NPO・NGO、学校、学部といった組織のタイプに基づくコンテクストを示し、後者は、マネージャー、エンジニア、教員、作業療法士といった職種、職務に関わるグループに基づくコンテクストである。所属組織が異なっても、図1. CSのフレームワーク

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