順天堂グローバル教養論集第一巻20160325
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46順天堂グローバル教養論集 第一巻(2016)を一層重視することが今後ますます求められていく。」と述べている。また、猿田・中山(2011)は、「観察や実験で知り得た情報を客観的に『結果』として記述し、それら『結果』を元に実験の現象や課題について『思考』し、その内容を論理的に『表現』することが考察である。つまり、理科の授業においては、思考と表現が一体となって育成されることが重要となる。」と述べている。さらに、飯塚(2013)は、「科学的な思考力・表現力は科学的な思考によって考えたことを自分なりに整理して、言葉で説明したり、文章や図、絵などで表現したりする力である。」と述べている。 つまり、表現力を高めることで表現力と表裏一体となっている思考力も高まると考えることができる。 ところで、「科学的な表現力」について、三森(2012)は、「適切な科学用語を用いて、論理に飛躍がなく結論が明確に表現されていること。」と述べている。河野(2011)は、「観察や実験を通して感じたこと、思ったことを自分の言葉に置き換え表現することができるようにしたい。」と述べており、自分で考えたことを自分の言葉で表現することが重要であると考える。そして、日置他(2010)は、「観察・実験において結果を図や表、グラフに整理し、予想や仮説と関連付けながら考察を言語化し、表現することが一層求められる。」と述べている。つまり、生徒が自らの考えとして文字や記号だけでなく、イメージ図や立体的なモデルを用いて表現することも重要であると考える。さらに、角屋(2013)は、「表現は、対象に働きかけて得た情報を目的に合わせて的確に表すことであるといえる。」と述べており、観察、実験を行い、その結果を目的や仮説をもとに整理する力を育成することが大切であると指摘している。 以上のことを踏まえて本研究では、「科学的な表現力」を、『自分の考えを目的や仮説をもとに適切な科学用語や図、グラフ、表を用いて論理的に表す力である。』と捉える。2. 研究方法2.1. 調査対象 愛知県公立A中学校第2学年3学級(男子生徒64名、女子生徒45名の計109名)2.2. 調査期間 2014年9月中旬~2014年10月2.3. 研究方法2.3.1. 生徒の実態調査の実施とその分析 検証授業の実施前と実施後に、生徒への質問紙法による実態調査を実施し、その分析を行う。2.3.2. 授業の記録と分析 (1) 毎時間授業後に行う生徒の授業振り返りシートの記述内容の分析 (2) ワークシートやミニホワイトボードの記述内容の分析 (3) ビデオによる授業記録とその分析 (4) ボイスレコーダーによる「話合い活動」の場面における発話記録のプロトコル分析 なお、授業の様子を記録したり、生徒の記述内容等を活用したりして、中学校の理科授業の発展のための研究を行い、発表すること、並びに発表時には匿名性を確保することについては、事前に校長及び対象学級の全生徒に承諾を得ている。3. 調査校の生徒の実態 生徒の実態を具体的に捉えるため、調査対象のA中学校第2学年3学級109名(男子生徒64名、女子生徒45名)を対象に、質問紙により検証授業前の2014年9月初旬に実態調査を実施した。調査校における生徒の実態調査結果を図1に示す。また、比較のために、2012年4月に実施された「平成24年度全国学力・学習状況調査【中学校】報告書」(国立教育政策研究所,2012b)に示されている数値についても併せて示す。

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