順天堂グローバル教養論集第一巻20160325
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53科学的な表現力の育成を図る中学校理科授業の実践研究目に関しては、1回目(第4時)で52.3%の生徒が科学用語を用いて予想を書き、4回目(第10時)の検証授業では69.9%の生徒が科学用語を用いて予想を書き、17.6%増加した。 「⑦ 振り返りで自分の考えを書いているか」の項目に関しては、1回目(第4時)で62.5%の生徒が科学用語を用いて振り返りを書き、4回目(第10時)の検証授業では81.3%の生徒が科学用語を用いて振り返りを書き、18.8%増加した。このことから、検証授業ではより科学用語を用いてワークシートに記述しようという生徒が増加したことが分かる。なお、同様な結果は5回目(第11時)でも得られたことを付記する。(3) ワークシートの記述内容 表3は、生徒Bの調査前(2014年9月初旬)に行った「神経系」の授業時と検証授業(第10時)時のワークシートの「振り返り」欄に記述した内容を比較したものである。 調査前授業の振り返りでは、「神経系には、中枢神経と末しょう神経があって、末しょう神経は感覚神経と運動神経にわけられることが分かりました。」と、授業の中で学んだことを具体的に書いているにとどまっている。 一方、検証授業(第10時)の振り返りでは、「私は柔毛というひだが私たちの小腸の中にテニスコート分も付いていると知って本当に驚ました。この柔毛がたくさん付いている理由は、表面積を広げて養分を効率よく吸収するため、ということが分かりました。」と、学んだことを自分の考えとともに、科学用語を用いて書いている。また、「私は体の中で栄養分を吸収できるのは小腸しかないと思っているけど、本当にそうなのか調べたいです。」と、本時で学んだことから疑問点を見つけ、それを自分で調べてみたいと書いてあり、より発展的な学びにしたいという生徒Bの意欲が伺える。 第4時、第5時、第8時の3回、採点規準表による学習指導を継続した効果が表れた事例であると捉えることができる。 以上の、採点規準表の点数の変容、科学用語使用の比較、並びにワークシートの記述内容から、採点規準表を設けたワークシートを用いた理科授業は、詳細な評価活動を積み重ねていくことにより、科学用語を用いること、文章構成を意識すること、自分の考えを記述することを意識する生徒の増加につながり、生徒の表現力育成に効果があると捉えることができる。5.6.2. ミニホワイトボードを用いた「話合い活動」の効果(1) ミニホワイトボードの記述内容 図6は、4回目(第10時)の検証授業にお図5. ③予想、⑦振り返りにおける科学用語使用の生徒の割合の比較表3. 生徒Bの調査前授業と検証授業(第10時)の振り返りの記述内容調査前授業今日は、神経系には、中枢神経と末しょう神経があって、末しょう神経は感覚神経と運動神経にわけられることが分かりました。検証授業(第10時)私は柔毛というひだが私たちの小腸の中にテニスコート分も付いていると知って本当に驚ました。この柔毛がたくさん付いている理由は、表面積を広げて養分を効率よく吸収するため、ということが分かりました。また、柔毛の中にもリンパ管と毛細血管があって、それぞれ吸収するものが違うというのを知りました。私は体の中で栄養分を吸収できるのは小腸しかないと思っているけど、本当にそうなのか調べたいです。

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