順天堂グローバル教養論集第一巻20160325
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57科学的な表現力の育成を図る中学校理科授業の実践研究6.2. ミニホワイトボードを用いた「話合い活動」について 質問項目3の「話合いをするときにミニホワイトボードがあった方がグループでの考えをまとめやすいですか。」の質問に対して、検証授業後では肯定的な回答をした生徒が93.4%であった。 このことから、ミニホワイトボードを用いることでグループでの考えをまとめやすいと感じる生徒が多かったことが分かる。これは、ミニホワイトボードに書かれたことをもとに話し合うことができるため、理解が十分でない生徒も書かれていることに対して話すことができるなど、どの生徒も話合いに参加し、自分の考えを科学用語を用いて述べることができるようになったためであると考える。また、グループの考えを一つにまとめるという共通の目標があるため、グループで協力して話合い、よりよい考えを引き出そうとし、その結果ミニホワイトボードには絵を書いたり色を分けて書いたりとグループによって様々な表現の工夫がみられるようになったと言える。 全体で意見を発表する際もミニホワイトボードをもとに発表するため、聞く側の生徒も理解しやすく、発表側の生徒も具体的に分かりやすく説明できるようになった。これらのことから多くの生徒が自分の考えをもち、その考えをグループの中や全体で発表できるようになった。さらに、ミニホワイトボードに誰が見ても分かるようにまとめることができるようになり、記述力も向上した。これらのことから、自分の考えをもち、科学用語や図を用いて表現することができるようになり、科学的な表現力の向上にも役立ったことが明らかになった。7. 研究のまとめ 筆者らは、「科学的な表現力」を育むことのできる中学校理科授業の具体的な方略について研究を行った。その方略として、採点規準表と「話合い活動」を授業の中に取り入れた。 採点規準表における方略は、次の手順1~手順4で行った。【手順1】:採点規準としての項目を設ける。【手順2】:裏面に採点規準表を記したワークシートを生徒に配布する。ワークシートに書かれた内容について、裏面の採点規準の各項目に基づいて、10点満点で採点を行うことを生徒に説明する。【手順3】:採点規準表の各項目について、生徒の記述内容によって採点し、表の「点数」の欄に点数を書き込み、合計点数を書き入れる。【手順4】:「点数」と「先生からのコメント」の書かれたワークシートを次の授業の最初に返却し教師からのコメントを読ませる。このことで、本時では特にどこを意識して書いたらよいかを具体的に理解させる。 また、「話合い活動」における方略は、次の手順①~手順③で行った。【手順①】:ミニホワイトボードはA3判の画用紙をラミネートした物を準備、配布する。加えて、黒と赤のミニホワイトボード用のイレーザー付きマーカーも一緒に配布する。【手順②】:まずは生徒一人ひとりの考えをワークシートに明記させる。次に、配布したミニホワイトボードを用いて、グループで「話合い活動」をさせ、話合いでまとまった考えをミニホワイトボードに書いてまとめさせる。【手順③】:各グループの考えをまとめたミニホワイトボードを黒板に貼る。各グループの代表の生徒に発表をさせ、質問などに答える。意見交流の後に、各自のワークシートに修正した考えを記述させる。 二つの方略の工夫によって行った検証授業を通して、以下のように、生徒に科学的な表現力が育めることが明らかとなった。(1) 採点規準表を設けたワークシートを用いたことにより、生徒たちは自分の考えをもつことができ、適切な科学用語や絵などを用いて論理的に表現することができるようになった。

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