順天堂グローバル教養論集第一巻20160325
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60順天堂グローバル教養論集 第一巻(2016)質能力向上に係る当面の改善方策の実施に向けた協力者会議」の報告書(文部科学省,2014)では、さらに踏み込んだ形で教職大学院の拡充方針が示された。さらには、国立大学における「教員養成分野のミッションの再定義」において、教員養成系修士課程を教職大学院へ段階的に移行する前提の下で、抜本的な大学院改革が成されることとなった。なお、教職大学院の数が増加していく一方で、教職大学院の入学定員充足率は、2014年度現在、25大学全体で92.7%である。2013年度が98.5%であったことを考えると、5.8%減少している実態もある(文部科学省HP「平成26年度教職大学院入学者選抜実施状況の概要」による)。1.2. 教職大学院のカリキュラムと問題点 教職大学院のカリキュラムについては、平成15年文部科学省告示第53号第8条における規定により編成されている。それによると、「教職大学院は、『実習により行われる授業科目』に加え、次の各号に掲げる領域について授業科目を開設するものとする。『教育課程の編成及び実施に関する領域』、『教科等の実践的な指導方法に関する領域』、『生徒指導及び教育相談に関する領域』、『学級経営及び学校経営に関する領域』、『学校教育と教員の在り方に関する領域』」とある。 文部科学省(2015)は、「このため、各教職大学院においては、設定されたすべての領域について授業科目を開設し、体系的に教育課程を編成することとし、学生は、すべての領域にわたり履修することとするが、各領域に具体的にどのような授業科目を開設するか、また領域ごとの履修単位数をどう配分するかについては、各大学院における設定に委ねることとする。」と述べている。 ところで、森田(2011)は、「教職大学院は、いわゆる『教職』領域中心の科目編成となっており、教科内容を学習する科目が置かれていない。中学校、高等学校の教員にとっては、教科内容の深い理解を欠くことはできないため、どのようにして教科内容の専門性を高めるかという点は重要な課題となっている。」と述べている。こうした指摘は、教職大学院設置当初から多く聞こえてきたものであり、教職大学院のカリキュラム上の問題点でもあったと言える。1.3. 研究の目的 本研究は、2015年度までに開設されている国立大学教職大学院21校について、カリキュラムに関する概要、並びに『教科等の実践的な指導方法に関する領域』、つまり授業づくりの視点から、「教科教育学」や「教科内容学」の専門性をどのように確保しているのかなどを比較することにより、教職大学院のカリキュラムについて現状を把握し、課題や改善の方向性について検討することをねらいとする。2. 国立大学教職大学院の比較調査2.1. 調査目的 2015年度までに開設されている国立大学教職大学院21校について、『教科等の実践的な指導方法に関する領域』、つまり授業づくりの視点から、教科内容の専門性をどのように確保しているのか把握することが調査目的である。2.2. 調査方法 2015年8月現在の教職大学院を設置している国立大学21校のホームページの調査による。2.3. 調査項目 調査は、「入学定員」、「入学定員の内訳(現職院生と学卒院生の人数)」、「履修コース」、「修士課程と教職大学院の入学定員」、「カリキュラム等の特徴」、「教科等の実践的な指導方法に関する共通科目・選択科目」の項目について行った。

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