順天堂グローバル教養論集第一巻20160325
65/158

61教職大学院のカリキュラムに関する研究2.4. 調査結果 表1は、2015年度までに開設されている国立大学教職大学院21校の概要とカリキュラムの特徴をまとめたものである。また、表2は表1の内容をカリキュラムに特化してさらに分かりやすくまとめた早見表である。以下、本研究の目的に沿った調査項目の結果について述べる。2.4.1. 履修コースの設置について 履修コースを設置している教職大学院は21校中18校である。コースを設置していないのは宇都宮大学(2015年度開設)、山梨大学(2010年度開設)、岡山大学(2008年度開設)の3校である。共に入学定員が15人、14人、20人と規模の小さな教職大学院である。 履修コースを設置している18校の教職大学院のうち15校においては現職院生に特化したコース(学校運営コース、教育経営コースなど)を設置している。また、7校においては学卒院生に特化したコース(授業力向上コース、教育実践力高度化コースなど)を設置している。さらに、10校においては、現職院生、学卒院生を区別することなく希望で選択できるコースを設置している(表2)。現職院生には学校経営をしっかりと学んでもらい、将来の指導主事やスクールリーダー(校長、教頭など)養成のねらいをもっていると言える。一方、学卒院生には授業力や生徒指導力の高度化を図り、学校におけるミドルリーダー養成のねらいをもっていると言える。 岡山大学のように、コースの設置はしていないものの、「新人教員履修モデル」、「中堅教員履修モデル」、「学校リーダー履修モデル」を示し、院生各自に科目を選択履修させていくという方法をとっているところもある。コースを設置している18校、並びに履修モデルを示している1校を含め、21校中19校の教職大学院において専門性の向上を図るカリキュラムが構築されていることが分かる。 なお、履修コースが設置されていることだけで各教科における専門性が確保されるとは言えない。カリキュラムにおいて、「教科教育学」や「教科内容学」に関する科目が整備されているかどうかが重要であると考える。そのため、次に「教科教育学」と「教科内容学」の整備状況について検討を加えていく。2.4.2. 「教科等の実践的な指導方法に関する領域」の設置科目について 表2に示す通り、21校すべての教職大学院には「教科等の実践的な指導方法に関する領域」の科目が共通科目・選択科目として設置されている。この領域の共通・選択の代表的な科目は表1に示した通りである。科目名を見る限り、教材開発、指導計画、授業分析等、いずれの教科・科目にも通用する教科等の実践的な指導方法に関する科目を設置している。 また、7校の教職大学院(山形大学、宇都宮大学、上越教育大学、山梨大学、鳴門教育大学、長崎大学、宮崎大学)においては、各教科別の授業デザイン論や授業開発研究などの「教科教育学」に関する科目が選択科目として設置されている(表1、表2)。さらに、2校(宮城教育大学、宮崎大学)には各教科別のバックグラウンド専門科目などの「教科内容学」に関する選択科目が設置されている(表1、表2)。 つまり、本調査の結果、履修コースが設置されている、されていないに関わらず、21校すべての教職大学院で「教科等の実践的な指導方法に関する領域」の科目が設置されている。しかし、各教科の「教科教育学」もしくは「教科内容学」の科目については8校しか設置されていないことが明らかになった(表1の斜体文字、表2)。 なお、各教科別の「教科教育学」や「教科内容学」の科目を設置している教職大学院を見ると、専任教員だけで各教科の担当者を揃えているわけではない。つまり、修士課程担当の教員に授業を担当してもらっているという授業体制を構築していることが理解できる。なお、長崎大学においては教職大学院のみとなっているの

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です