順天堂グローバル教養論集第一巻20160325
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86順天堂グローバル教養論集 第一巻(2016)英語表記における相違について質問した。そして、「歌が好きな少年」(12) の英訳という、現在分詞では表現し得ない英文について生徒に尋ねた (13)。教師は、この場面における意思決定について、「生徒による①の応答もある程度予想していたが、“liking” が誤用であることに気付く者が少なくないと信じていた」と述べた。そして実際に、複数の生徒が「②」(14) と正答し、①という応答が見られなかったことから、中には “liking singing” という誤用を避けて応答した生徒がいる可能性が示唆される。つまりここまでは、概ね教師の想定内で授業が進行していたと言える。しかし直後に大島さんが、「意味は一緒」(15), (16) 「何でthat入れんの」 (17) という質問をした。教師は「これらの質問は全く想定外だが、大島さんの質問も至極当然で、自分の導入が強引過ぎたのか心配になった」と述べた。よって教師は生徒による即興的な反応から、自身の教え方を振り返り不安を感じながら、大島さんの発話を復唱し“revoicing” (O’Conner and Michaels, 1996) した (18) と解釈できる。また生徒が誤答 (19) や、「わからない」岡田: あー,ほら,オレ,えらい.T: Yorkshire terrier.B: 脚,短い.B: 毛,長い.T: え,脚が短いかどうかは,見えません.毛が長い,って何て言うかな?B: long…Ss: long.T: long?Ss: hair.T: あ,fur.Ss: fur.(がっかりした様子で,苦笑しながら)T: (笑いながら)じゃあ,皆で言ってみましょう.A dog.Ss + T: A dog. (8)T: that has long fur. (9)Ss + T: that has long fur.T: じゃあ,How about this one? (次の絵を使って,A dog that has uffy fur (10) の口頭練習,以下省略)(全事例共通凡例:Tは教師,Ssは複数生徒,Bは男子生徒一人の発話;生徒名はいずれも仮名,下線部は考察対象とする発話,[ ],( )内は観察者による補筆)T: えっ,大島さんの質問をもう一度言ってもらえる?大島: それ両方,意味は一緒? (16)T: あ,①と②の意味は,一緒です.両方意味は一緒なんですけど,②は今日,初めて皆に教える文です.大島: 何で that入れんの? (17)T: 何でthat 入れるんだろうね,(18)っていうのを今日はやりたいのね,今①番と②番で,「歌が好きな青年は健一くんです」っていう文章にしたいんだけれど,その時,②番が良いって言ったよね.じゃあ②番として,どういうふうにできるかな.どういうふうに言えばいい?Ss: The boy.T: うん,The boy.Ss: that is. (19)田中: わからない.(20)T: 「歌が好きな青年」って,下でやるとしたら,どうしたらいいんだろう? The boy that, 好きな,だからどうなの?田中 + 遠藤: like.T: likeなんだけど.田中: likes.T: likes で,何?山崎: え,歌うことが好き?T: あ,歌うことが好き,にしようね.Likes.田中 + 遠藤: singing.T: singing.田中 + 遠藤: is Kenichi.T: is Kenichi. という文章ができましたね.では皆で言ってみましょう.(口頭練習:以下省略)

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