順天堂グローバル教養論集_第二巻_2017年3月(ISSN2424-0001)
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35アクティブ・ラーニングによる中学校英語授業の実践研究1. 問題の所在1.1. 児童・生徒に育成すべき資質・能力 小学校では2020年度から、中学校では2021年度から全面実施が予定されている学習指導要領改訂の方向性が、2016年7月4日の中央教育審議会教育課程部会で配布された資料(文部科学省,2016)に示されている。これによると、児童・生徒に育成すべき資質・能力の三つの柱として図1のような関係が示されている。 三つの資質・能力として、一つに「学びに向かう力・人間性等」、つまり、どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るかということである。二つに「知識・技能」、つまり、何を理解しているか、何ができるかということである。三つに「思考力・判断力・表現力等」、つまり、理解していること・できることをどう使うかということである。これら三つの資質・能力を併せもつことにより、「確かな学力」、「健やかな体」、「豊かな心」を総合的にとらえることのできる児童・生徒を育むことができるというものである。1.2. アクティブ・ラーニングとしての「話し合い活動」 2014年11月20日付けの文部科学大臣の中央教育審議会への諮問(初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について)では、「アクティブ・ラーニング」という言葉を用いることで、言語活動の充実を一歩進ませている。 アクティブ・ラーニングについて、中央教育審議会答申(2012年8月28日:新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて-生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ-)の用語集には、「教員による一方的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた授業・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングである。」と記されている。その意味で、グループ内における生徒が課題の解決に向けて相互に協議をし、学び合う学習形態である「話し合い活動」もアクティブ・ラーニングとしてとらえることができる。 また、アクティブ・ラーニングの教育における目的について、寺本(2015)は、「教育におけるアクティブ・ラーニングは、あくまでも「学習者の学習内容における学びがより広く・深くなること」が目的であり、そのために指導者は、学習者が主体的・共同的になるための資質・能力の育成を目指すのである。」と述べている。つまり、アクティブ・ラーニングとしての「話し合い活動」という学習方法により、学習者の学びがより広く・深くなり、学習者の資質・能力が向上していくことが重要である。 なお、2016年7月4日の中央教育審議会教育課程部会で配布された資料(文部科学省,2016)には、図1に示した三つの資質・能力の育成とアクティブ・ラーニングの視点の関係が示されている。つまり、アクティブ・ラーニングの三つの視点(「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」)を取り入れた授業改善を行う図1. 育成すべき資質・能力の三つの柱(「学習指導要領改訂の動向について」(文部科学省,2016)を参考に作成)

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