順天堂グローバル教養論集_第二巻_2017年3月(ISSN2424-0001)
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36順天堂グローバル教養論集 第二巻(2017)ことで、図1に示した三つの資質・能力(「学びに向かう力・人間性等」、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」)が育むことができるというものである。本研究では、特に「学びに向かう力」を育むアクティブ・ラーニングの授業方法の工夫を行う。1.3. 英語教育における「学びに向かう力」の現状と課題 公立小学校5・6年生の児童22,202人、並びに公立中学校1・2年生の生徒24,205人を対象に実施した「平成26年度小学校外国語活動実施状況調査の結果(文部科学省,2015a)」によると、小学5・6年生の70.9%、中学1年生の61.6%、中学2年生の50.3%が「英語が好き」と回答している。また、小学5・6年生の72.3%、中学1年生の60.2%が「英語の授業が好き」と回答している。 さらに、全国の高校3年生約70,000人を対象に実施した「平成26年度英語教育改善のための英語力調査(文部科学省,2015b)」の結果によると、高校3年生の58.3%が「英語の学習が好きではない」と回答している。 これらの結果から、学年が上がるにつれて英語の「学びに向かう力」が下がってきているという課題があることが分かる。1.4. 本研究の目的 本研究は、生徒の「学びに向かう力」を育むことのできる中学校英語授業の具体的なアクティブ・ラーニングの方略について検証授業を通して提案することが目的である。具体的には、グループごとの生徒が相互に学び合う学習形態としての「話し合い活動」を英語授業のアクティブ・ラーニングの方略として取り入れた。 生徒が相互に学び合う学習形態を取り入れた英語授業の工夫として,末岡ほか(2011)は、中学校英語科の学習に相互に学び合う学習形態を取り入れ、学習への課題意識を高める授業実践を行っている。また、伊藤・西川(2016)は、外国語教育における小学6年生と中学1年生の他校種異学年による合同授業の中で『学び合い』を通して、英語の学習意欲の向上を図っている。 ところで,宮下・坂本(2015)は,4人を1グループとして編成し、生徒一人一人の考えを引き出すために、付箋紙を活用した「話し合い活動」を行っている。また、宮下・衣川(2016)は、4人を1グループとして編成し、自然の事物や現象を説明するためのモデル図を作成させることを目的として、「話し合い活動」を活発化させている。 本研究では、グループを編成する際に人数の制限をせず、個人の学習活動とグループによる「話し合い活動」を交互に取り入れた授業の基本的な流れによるアクティブ・ラーニングを工夫した。2. 研究方法2.1. 調査対象:愛知県公立A中学校の第3学年122名2.2. 調査期間:2016年5月~6月2.3. 授業の検証方法: 以下の方法により、授業の検証を行った。(1) ビデオによる授業記録とその分析(2) ボイスレコーダーによる「話し合い活動」の場面における発話記録のプロトコル分析(3) 授業後に、生徒が「自学自習ノート」に書いている感想、授業者、授業観察者の感想をもとにした分析(4) 授業前後における発音に対する評価の分析 なお、授業の様子を記録したり、生徒の記述内容等を活用したりして、中学校の英語授業の発展のための研究を行い、発表すること、並びに発表時には匿名性を確保することについては、事前に校長及び対象学級の全生徒に承諾を得ている。

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