順天堂グローバル教養論集_第二巻_2017年3月(ISSN2424-0001)
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37アクティブ・ラーニングによる中学校英語授業の実践研究3. 検証授業実施前の調査校の生徒の実態と英語指導への1年間の取り組み3.1. 検証授業実施前の調査校の生徒の実態 2015年4月(調査の1年前)現在、著者の一人である有賀の観察によると、調査対象の愛知県公立A中学校第2学年の生徒の実態は、教科に関わりなく、学習に対する意欲は低く、授業中も居眠りをしたり、他のことをしたりする生徒が多く見られた。また、「話し合い活動」や「発表活動」にも積極的に取り組まない生徒も多くいた。これらのことからも、生徒の「学びに向かう力」は、やや低い状況にあったと言える。 また、英語科の授業においても、すべて英語での授業に抵抗感を示す生徒も多く、まとまった英文の読み取りは、模範訳をただ写すだけの学習となっていた。さらに、教師の授業方法も「英語によるコミュニケーション活動」ではなく、知識の詰め込み重視の授業となっていたと言える。3.2. 英語指導への1年間の取り組み 調査校の第2学年の生徒の実態を改善するとともに、グループ内での「話し合い活動」が順調に行えるようにするために、2015年5月から2016年4月までの約1年をかけて、講義型による受動的な学習形態から、生徒が相互に学び合う学習形態へと徐々に変えていき、生徒の能動的な学びができる学習形態にした。以下に、授業改善に向けた具体的な1年間の取り組み内容について記す。(1) 【授業改善1期】(中学2年生5月~10月末): 1時間の授業の中で、ペア・グループ活動を中心に活動させた。この段階ではまだ教師に決められた座席でペア・グループ活動を行った。なお、活動する上での「約束事」も明示した。 また、「音読練習」「対話活動」「スキット作り」等の活動をペアやグループで行い、生徒相互が「協力して学び合うこと」の喜びや楽しさを繰り返し体験させ、授業の中で生徒相互に学び合う学習形態の楽しさと重要性の理解を図っていった。(2) 【授業改善2期】(中学2年生10月末~1月): 生徒が相互に学び合う学習形態では、生徒が自由に学び合う相手を探し、学習活動に取り組ませた。1時間の学習後には生徒一人一人学びをまとめたり、振り返ったりする時間を設け、学習の定着を図った。(3) 【授業改善3期】(中学2年生2月~3月末): 「長い英文」を自分の力で読んで理解するための素地として、最終単元のLet’s Read 3にて「翻訳家になってみよう」という学習課題を与え、英文を自分の力で読んで理解する方法と楽しさを感じさせることに重点を置いた。3月末には中学2年生修了時点の学力で読める程度の長文読解に挑戦させ、「英語で書かれた本や新聞等を自分の力で読んでみたい」との思いをもつように導いた。(4)【授業改善4期】(中学3年生4月): 2016年度から新版の教科書が導入されることから、「デジタル教科書」を使用した授業実践を行うこととした。そのため、校長の承諾のもと、視聴覚教室を「英語教室」として使用させてもらうこととした。 また、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を目指した授業実践を行った。実践では「聞く」、「話す」、「書く」、「読む」の力を総合的に育成することを目指し、「音声面」からのアプローチで実践を行った。具体的には、以下の3点を目標とした。 ・強勢、イントネーション、区切りなど基本的な英語の音声の特徴をとらえ、正しく発音することができるようにする。 ・学習した言語材料を用いた自己表現ができるようにする。 ・「自主学習ノート」による学習を習慣化させ、より能動的に学習ができるようにする。

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