順天堂グローバル教養論集_第二巻_2017年3月(ISSN2424-0001)
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62順天堂グローバル教養論集 第二巻(2017) このような学部レベルの上に1年間のディプロマコース、そしてその上に修士コースが用意されている。大学スタッフによると、学部レベルの教職課程は、かつては一番人気が高かったが、入学生は、2014年が43人、2015年が23人、2016年に11人と最近になって減少の一途をたどり、2017年度は募集の予定はなく、ディプロマコース、修士コースに移行していくとのことである。その理由は、学部レベルでは、その時間数と教育内容、そして教育実習においても限界があるということである。特に教育実習指導が十分に行えないこと、教育界に修士課程修了を奨励するような動きがあること(教員になってから週末やオンラインでの修士号取得を目指す教員も増えているとのこと)、また採用の面でも指導技術と体験が不十分とみなされ有利ではないこともその要因のひとつのようだ。さらに、将来管理職となることを考えれば、修士課程を修了しておくことが望ましいとのことである。 大学卒業後各都道府県の教員採用試験に合格すれば、指導力や経験が不十分でもすぐに一人前の教員として教え始める日本と異なり、ニュージーランドでは、生徒の学習により重点を置き、時間をかけてじっくりと教員を養成しているという印象を受けた。この点についての詳細は、5.2以降のディプロマコースおよび修士コースを参照していただきたい。また、学部レベルについては来年度から継続しないとのことだったので、ここに提示した情報以上のことを得ることはしなかった。5.2. ディプロマコース 1年間のディプロマコースの場合、大学を卒業し、かつ在学中に教員養成に関係する科目を履修していることが条件となっている。このコースを修了した者には、ニュージーランドの中学校高校での教員職に応募する資格が与えられる。授業としては下記のような科目の履修が義務付けられている。カリキュラム研究の教科 : 自分の求める資格と経験に応じて、表1の科目から2科目選び履修しなければならない。必修科目は次のようになっている。 上記のように、学習者や教師についての理解と指導法という教師にとって、実践的な指導に直接役立つ科目が中心となっている。 なお、TCHG 303: Matauranga Maori in Educa-tion という科目があるが、ニュージーランドでは、マオリ語とその文化は、英語とともに差別することなく継承していくことが政府によって決められているため、教員を目指す者の必修科目となっている。ニュージーランドが多文化社会であることを象徴している。 また、特筆すべきことは、このプログラムには、7週間の教育実習が2回も含まれているこ表1. 選択必修科目EnglishLearning LanguagesMathematics and StatisticsMusicHealthPhysical EducationPerforming Arts including: Dance and DramaSocial Sciences includ-ing: Accounting, Eco-nomics, Geography, His-tory and Social StudiesScience including: Biol-ogy, Chemistry and Phys-icsVisual ArtsTechnology(Graduate Diploma of Teaching (Secondary) at Victoria Uni-versity of Wellington, 2016, p.1)表2. 必修科目TCHG 301: The Learner in ContextTCHG 304: Teaching Models and StrategiesTCHG 303: Matauranga Maori in EducationTCHG 302: The Teacher in Context(Graduate Diploma of Teaching (Secondary) at Victoria University of Wellington, 2016, p.2)

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