順天堂グローバル教養論集_第二巻_2017年3月(ISSN2424-0001)
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81内容言語統合型授業 (CLIL) における英語ライティング指導1. はじめに 私立A大学国際教養学部では、グローバル化が加速する世界の多様な価値観の中で、自立し、他者と共生し、主体的に生きる「グローバル市民」の育成を目指し、1、2年生の必修英語の授業において、教科科目や時事問題・異文化理解などのトピックと英語を同時に学ぶ「内容言語統合型学習」(Content Language Inte-grated Learning; CLIL) (e.g., Coyle, Hood, & Marsh, 2010)のアプローチを採用している。また、1クラスの人数を8名から12名の少人数に抑え、習熟度によるクラス分けはせず、出身地や第二外国語等、様々な背景の学生を混合するというクラス編成を行っている。 本稿は、平成27年度に分担者として参加したアクションリサーチ・プロジェクトで、筆者が教師として収集したデータの一部を報告し、当該学部1年生の英語カリキュラムの中で、どのような学びが行われているのかを紹介するものである。2. CLILでの学びの一例 CLILをとりいれた当該学部の英語の授業では、学習者は、テーマとされる内容への理解を掘り下げながら英語を使用する。27年度の1年生の英語の授業Interactive International Eng-lish (IIE)では、前期に、身の回りで起こり得る個人のアイデンティティーを問う諸問題を、後期に、異文化コミュニケーションの基礎を、それぞれ扱った。 週4日の授業時間は、月・木曜日はライティング、火・金曜日はスピーキングというようにスキル別にフォーカスが定められている。学期ごとに指定された教科書1冊を基本に、2名の教員が交互に1コマ90分の授業を2回ずつ、16週間に渡って担当している。学習者主体の発信型の授業運営の中で、多くの時間を占めるのが、図1に示したような、3〜4名の学生からなるグループワークである。各グループにディスカッションのテーマや質問事項、協力して1つの作文課題に取り組むタスクを与え、必要に応じて、教師が介在するアプローチを多くの教員がとっている。また、授業を行う媒体言語は、主に英語であるが、多くの学生が母語とする日本語の方がより深い内容理解や意味交渉ができるのではという場面においては、適宜、グループ毎に自由に言語を選択させている。3. アクション・リサーチの目的と方法 27年度、IIEの授業を、筆者は教師として2クラス担当し、アクション・リサーチの一環として、研究倫理の審査と学生の了承を得た上、1学年間のエッセイを収集し、後期の授業を録音・録画した。本稿では、主にライティングを教えた1クラス(計12名)の中から、作文・録音データがそろった10名に焦点をあてる。 アクション・リサーチは、予めリサーチ・クエスチョンを定め、それに応じてデザイン・データ収集・分析を行う従来の研究と違い、教師の日々の授業運営への振り返りを通して、課題を遡及的に探求する手法をとる。前期の授業運営と観察を通じ、筆者が関心を持った課題は、本来、スキルやストラテジーに特化して授業計画を行うライティングの指導が、テーマを中心にシラバスを組むCLILの英語授業にどのように内在し、どのような学びが行われているのかということであった。そこで、後期には、学期毎のクラス替えクラス替えはない本プログラムにおいて、同じ学生を対象に、授業を録音・録画した。データ分析の手始めとして、社会学、心図1. グループワークの様子

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