順天堂グローバル教養論集_第二巻_2017年3月(ISSN2424-0001)
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85内容言語統合型授業 (CLIL) における英語ライティング指導仲良いんだけど、同じチームだったから。だから、そう、宗教は、identityはidentityだけどその人自身のそのcharacteristicsとかも見て欲しいなって。それもちゃんと踏まえた方がいいんじゃないかな、って思った。深いね。すごいそれを思うんだよね。宗教だけで見ちゃだめだね。ちゃんとその人と話して、自身を見なくちゃだめだよね。すぐ誤解するから、からかったりするの。 Sanaに応えて、同じグループのHanaは、他国における宗教の重要性と日本人の宗教への無知や意識を高める必要性を論じた。それに呼応するように、Risaが、3人が共通で出席した学部シンポジウムでの講演内容を話題に出し、寛容さと無責任の違いについて続けた。これを聞いていたSanaが、宗教への寛容さ故にもたらされた日本文化の美点や行事の豊富さを語った。 このまま日本語での会話が続く様子であったが、偶然、教師がグループの前を通りかかり英語で語りかけたところ、3人が即座に英語に切り替え、次のタスクに移行した。このような場面は、1年間を通してどの学生・グループにも見られたが、日本語をどの程度許容するかは今後も筆者自身の課題でもある。ここで重要な事は、宗教・文化・パーソナリティー等が複雑に絡み合った内容について理解し、議論するという目的においては、学習言語である英語ではなく、母語である日本語が有意義に使われた一例と考えられる点である。5.2. エッセイについてのディスカッション 筆者が担当するIIEでは、中間・期末エッセイへの取り組みに2週間という期間を学生に与え、授業内外で、教師、クラスメートからフィードバックを得ている。また、何度も推敲し、より質の高いエッセイを完成させていくというプロセスライティング(e.g., Arndt, 1993)の手法もとりいれている。この期間、授業内で設けるディスカッション活動の一つが「ピア・フィードバック」である。ピア・フィードバックのセッションでは、教師がある程度、手順をコントロールし、学生に自らのエッセイを自己評価させる。そして、自分のエッセイの問題点の明確化と、どのような助けが欲しいかという要望をグループメンバーと話し合う時間を、エッセイの原稿を交換しコメントする前に必ず設けている。以下の抜粋は、Sana、Masa、Risa、Minaの4人グループにおいて、Minaが語った自己評価と要望である。(5) Introductionが、なんか日本語の作文書く時のIntroductionと同じ書き方して、英語のIntroductionじゃないので、その何、書き方のideaを欲しいです。あと、Bodyの締め方、Bodyでなんかその、最終文、Bodyの最後、最初に自分の言いたいこと書いて、その次、外部のExternal Source書いて、それで自分の経験書いたんですけど、その、自分の経験のあとの最後の締め方がわからないので教えて欲しいのと、あとconclusion, conclusionでthesis statementをrepeatしただけなんだけど、suggestのとこがなんかちょっと思いついてないので、ideaがあったら教えて欲しいです。ライティングの指導をする際に、教師が頻繁に使う用語が混在しているものの、上記の抜粋は、Minaの自己のエッセイへの分析的視点を示唆している。また、授業を通して、クラスメート全員が共有しているライティングの用語を使うことによって、的確に、グループメンバーに要望を伝えていると言える。また、上の抜粋は、Minaが、日本語と英語のエッセイ構成の違いや、評価者である教師から期待されるエッセイの基準を理解していることも表している。6. おわりに 本稿は、データ分析に着手したばかりの進行中の研究を、一部データを使って紹介したもの

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