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研究

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研究の紹介

   病理学第二講座は、病理解剖や生検などの一般病理とともに、病理学の本質的使命である疾患の発症機序について「遺伝子から疾患まで」を目標に、がん、免疫疾患の遺伝学的解析や発がんに至る遺伝子変化とがん関連遺伝子について研究を進めている。
 

研究概要

   病気は初期条件がある範囲にあると、初期の変異が経時的変化とともに分子の相互作用によって、様々に拡大し、将来予測が不可能になる。これは初期のわずかの変異で大きな効果が出ることを意味する。非平衡状態にあり外部と相互作用する開かれた複雑系では、初期状態が同じでも、外部から、意識的に適時に介入すれば、ある特異点で分岐し多様性のある制御が可能になるはずである。ここに、病気の予防・治療法の開発の根拠がるものと考える(適時診断と的確治療)。
 

発がん研究

   ゲノム時代の多段階発がん研究戦略は、「起始遺伝子を起点として、多段階発がんの方向を定め、臨床がんを意味づけ、予防、治療を予告する」ことであると考える。最終的な目的は、「がんの原因論」を明確にし、「がんの制御」の根拠を示し、「がん進展阻止」の実際を示すことにある (Intentional Delay)。
 がん化を起始遺伝子を起点とした遺伝子ネットワークの連盟的な制御と考え(発がんの連盟的首位性)、その特異点の分子を明らかにし、最終的にはヒトがんの治療に資する。
 

Hepatocarcinogenesis(肝発がん)
  炎症による肝発がん−高がん化状態の分子機構の解明−

   「遺伝子変化が生じやすく、また蓄積しやすい組織の状態」を高がん化状態 (Hypercarcinogenic state) と定義し、「炎症とがん」を「遺伝子発現病 (gene expression desease) 」の観点からとらえ、高がん化状態から、低がん化状態 (Hypocarcinogenic state) に導くことがヒトがんの発生と予防につながるものとの根拠を示す。慢性肝炎状態における高がん化状態という新しい概念を打ち立てヒト肝炎ウイルス肝発がん機構の解明を分子レベルで独自の実験系を用いて進めている。
 

Renal carcinogenesis(腎発がん)
  遺伝による腎発がん−「段階を越える原理」の解明−

   「遺伝性がん」でも「単因子病でありながら多因子病」の特徴を持つ。「がんは開いた扇の様である」と考え、「扇の要」的な遺伝子を、がん化の「起始遺伝子」と定義している。がん化の「起始細胞」の進展には境遇の感化が大切である。起始遺伝子を起点とした多段階発がん研究を展開し、「がん性化境遇」の分子機構の解明を目指すものである。最終的にはヒトがんの治療に資する。
 特定の変異を遺伝子型(genotype)に持つ表現型 (phenotype)に実験処置を加えると、ドラマが演じられる。この演出型(dramatype)発現のメカニズムの解明は、がんの予防・治療法の開発につながる。起始遺伝子を起点とした多段階腎発がん研究を展開し、「段階を越える原理」の解明を目指す。
 多段階腎発がん過程で独自に発見した遺伝子(特に、Niban遺伝子)の機能解析も精力的に進めている。
 

ヒト結節性硬化症遺伝子の機能解析と治療法の開発

   ヒト結節性硬化症は過誤腫や腫瘍の発生を特徴とする常染色体優性遺伝病である。その原因遺伝子として二つの腫瘍抑制遺伝子、TSC1とTSC2が同定されている。我々は遺伝性腎がんモデルの原因遺伝子としてTsc2変異を見出したことから、Tsc1とTsc2遺伝子産物(hamartinとtuberin)の機能及びその関連についての解析を進めている。また我々は、インシュリン(mTOR-S6K)や他のシグナル伝達へのhamartinとtuberinの関与を解析している。これらの研究を通してヒト結節性硬化症の分子メカニズムの解明と治療の開発を進めたいと考えている。
 

新規遺伝性腎癌モデル

   最近、日本で発見された新規の遺伝性腎癌モデルを"Nihon"と命名し、その原因遺伝子(Bhd)の同定に成功した。現在、新規がん抑制遺伝子(Bhd)の機能解析を視力的に進めている。また、ヒトBirt-Hogg-Dube(BHD)の治療法の開発を目指す。
 

アスベスト・中皮腫より発がんについて考える

   中皮腫の早期診断、治療の開発、中皮腫の腫瘍マーカーの開発とELISA法の確立を目指す。
 

各種ヒトがんの研究

   特に膵がんの早期診断を血清、膵液を用いたELISA法を確立し検討する予定である。他にも、肺がん、卵巣がん、乳がん、消化器がんの分子病理学的な研究を臨床との共同で進めている。

 

お茶の水 がん学アカデミア

   新時代のがん学を求めて、専門領域を越えてがん学に関心を持っている研究者が集まり、談論風発、自由闊達な意見交換し、がんに関する研究を発展させる。月1回の定例会を大学内で行っている。

 

自己免疫疾患の発症機構

 
 自己免疫疾患は、一定の遺伝的感受性を基に種々の環境要因がtriggerとなり発症する。病因の解明にはこれら遺伝的要因と環境的要因の解析に加えて、これらの影響によって生ずる免疫異常を明らかにする必要がある。
1)
遺伝的要因の解析
自己免疫疾患は多遺伝子疾患で、その感受性は複数の遺伝子によってcontrolされている。これら感受性遺伝子の一つ一つを明らかにするために、我々は、ゲノムワイドな解析を続けてきており,これまでの解析で、全身性自己免疫疾患においてMHC, Fcgr2b, Fas, Ltk, C1qなど免疫系における重要な機能分子の遺伝子多型が感受性に関与していることを明らかにしてきた。なお多くの遺伝子の関与が示唆されており、研究が進められている。
2)
環境要因の解析
自己免疫疾患の環境因子としては、食物やホルモン、ある種の感染などが注目されている。我々は従来から食物脂質や性ホルモンの影響について解析をしてきたが,現在、性ホルモンの関与を免疫系との係わりから細胞レベル、分子レベルで解析している。
3)
自己免疫応答と感染
感染に対する宿主の免疫応答能が、生体の防御能力ばかりでなく自己免疫を左右する。種々の感染系における自己免疫応答と自然免疫応答との相互関係を、自己および病原微生物に対する免疫応答との対比から、分子細胞レベル、遺伝子レベルで解析している。
4)
自己免疫疾患と免疫担当細胞異常
遺伝的素因や環境要因により左右されるB細胞、T細胞、NKT細胞の機能解析、抗原提示や免疫寛容維持に重要な樹状細胞の機能異常について、自己免疫疾患との関わりから分子細胞学的に解析している。
5)
自己免疫疾患と白血病とのクロストーク
自己免疫疾患には高率にB細胞性慢性白血病が発症するが、我々は、これが分化能を欠如した自己反応性B細胞が一定の遺伝的背景のもとに異常増殖することによって起こることを発見した。自己免疫疾患とこの白血病とのクロストークついて、その遺伝的感受性の実態を分子細胞レベル、遺伝子レベルで解析している。

癌微小環境と癌浸潤・転移機構の解明

 
 最近の研究では癌内の線維芽細胞が癌悪性化及び治療抵抗性に寄与していることが分かってきている。さらにこれらの線維芽細胞に授けられた癌悪性化促進能は、癌進展過程で安定的に維持されていることより、癌内線維芽細胞は癌治療標的と考えられている。このような癌促進性線維芽細胞の起源、分化過程、癌細胞との相互作用などを生物学的に理解しながら治療に役立てたいと考えている。 詳細は、https://www.juntendo.ac.jp/graduate/laboratory/labo/bunshi_byori/dr_orimo.htmlにお示ししております。

 また、本研究に取り組んでいる折茂彰准教授の研究グループのホームページ もご参照ください。

 

倫理委員会承認済み研究課題(研究に関する情報公開)

 
 


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