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研究

 

研究の紹介 八尾隆史 教授

 
 

 人体病変特に消化管疾患の新しく提唱された概念の臨床病理学的特徴を明らかにし、細胞増殖や細胞分化に関連した因子や遺伝子異常の解析を加え、それらの疾患の組織発生から発育進展様式の解明および治療方針決定に有用な悪性度評価に関する研究を行ってきた。
 大腸でとくに注目した病変としては、従来から特殊な病変として報告されていた絨毛状腫瘍や、新しく提唱された陥凹型腺腫や鋸歯状腺腫である。大腸癌の発生は隆起型の腺腫から癌が発生するということが定説であったが、1990年頃から陥凹型病変の発見が相次ぎこれらの病変の意義が討論されてきた。この頃、大腸上皮と密接な関連があるpericryptal fibroblastという間質細胞の発達からみた早期大腸癌と陥凹型腺腫の組織構築の解析を行い大腸癌発生における陥凹型病変の意義を報告した。さらに、潰瘍性大腸炎の発癌におけるpericryptal fibroblastの意義を解析し、これらの結果は1998年日本病理学会秋期特別総会(A演説)でも報告した。
 また、鋸歯状腺腫における癌化の危険性とそれらから発生した癌の特徴や鋸歯状腺腫由来の癌は大腸癌でありながら胃型の形質を発現することを報告し、この研究をきっかけに胃癌・大腸癌における形質発現の研究へと発展し、癌の形質発現と発育進展様式と悪性度の関連の研究をさらに発展させつつある。
 また、内視鏡の進歩とともに早期大腸癌の内視鏡治療など縮小手術の適応基準が議論されているが、これらの問題を解決するために早期大腸癌の組織学的特徴とリンパ節転移の危険性との関連の解析を行い治療方針決定に役立つ結果を得ている。これらはとくに日本で最も進歩している領域であるので、消化器病の代表的雑誌である「胃と腸」でも積極的に報告してきた。
 他の研究としては、胃では肝細胞癌類似胃癌、vimentin陽性未分化胃癌、リンパ球浸潤髄様胃癌(EBウイルス関連胃癌)などの特殊な組織型の胃癌の悪性度を含む臨床病理学的解析、5mm以下の微小胃癌、びまん浸潤型胃癌、残胃癌、若年者胃癌などの臨床病理学的特徴と発癌機序の解析を行い、さらに大腸癌の研究は胃癌における形質発現と背景粘膜の関係、過形成性ポリープの癌化と形質の変化などの研究にも応用された。胃においても新しい概念であるMALTリンパ腫の解析も行ってきた。腫瘍以外でも虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、Crohn病、アミロイドーシス、非ステロイド系抗炎症剤起因性腸炎、cap polyposis、粘膜脱症候群、放射線性腸炎などの炎症性腸疾患の臨床との共同研究および病理学的解析を通じて、これらの病態を明らかにすることによる臨床診断・治療への貢献している。

 

研究の紹介 松本 俊治  臨床教授

 
  膠原病の人体病理学的研究は、肝病変、間質性肺炎、胎盤病変について報告したが、現在、治療にともなう臓器病変の変貌、自己抗体の発現状態と病変の関連性を中心に研究を行っている。
血管炎の研究は血管型ベーチェット病の病理、膠原病の肝血管病変について報告したが、現在、臓器限局型血管炎について検討中で全身性と臓器限局型の血管炎の違いを明らかにし、診断・治療に役立てる方向で研究を進めている。 自己免疫性肝炎の研究は、自己免疫性肝炎の病理組織学的分類を新たに考案し、この分類をベースに、自己免疫性肝炎、自己免疫性胆管炎の再分類を試みている。
脳腫瘍、婦人系腫瘍、食道癌について、各講座と共同で、免疫組織化学的染色、分子病理学的解析(p53 mutation解析、LOH解析)を用いて、診断、術前・術後の治療方針決定因子の研究を行ってきた。
これらの研究を発展させ、種々な腫瘍性疾患における、治療を含めた独自の病理診断方式を確立することを目標に研究を進めている。
 

研究の紹介 和田 了  臨床教授

 
  病理組織学的に、ヒト検体から微小サイズの研究対象腫瘍を発見し、その後、その微小腫瘍や同腫瘍の前駆・随伴病変とされている病変の性状を組織形態学的・免疫組織化学的・分子生物学的に検討することより、それぞれの腫瘍の組織発生について推定する。そして、これら腫瘍・腫瘍関連病変の性状と臨床的に発見される種々サイズの同腫瘍の性状を比較検討することにより、同腫瘍の発育・進展を推定する。最終的には、このようにして得られた腫瘍発生・進展のシーケンスに関する知見が、それぞれの腫瘍の発生予防や治療方法の開発等に寄与することを期待し、種々研究を行っている。

  日本の消化管病理学者が1960年前後に確立した検索方法を用いると、ヒト胃粘膜に最大径1mm大以内の極めて小さなサイズの癌巣を発見することが可能である。  
 

研究の紹介 平井 周  先任准教授

 
  H.pyloriと腸上皮化生・高分化型胃癌との関係については現在解明されつつあるが、一般的に腸上皮化生を介さないとされる低分化型胃癌においてもH.pyloriはその発生に関与しているのか?
胃MALTリンパ腫は、発生当初はH.pylori抗原依存性のため除菌治療が有効だが、何らかの機序により自立性増殖を獲得し高悪性度化とされる。その多段階発癌の確認と病理診断への応用は可能か?

  胃粘膜における
H. pyloriの電顕像
 
 

研究の紹介 熊坂 利夫  准教授

 
  肺脈管平滑筋腫症(LAM)の病態解明に向けてリンパ管新生を中心に病理学的な研究を行っております。脈管新生は、腫瘍、炎症における病態の進展にきわめて重要な働きをすると考えられています。生体の中で起こるこれらの現象をさまざまな手法により視覚化し、現象の背後にある遺伝子、蛋白の動きと病理病態との関係の解明を目指しています。また、2005年2月で26回目を迎えた呼吸器病理研究会の事務局を担当しております。呼吸器の病理に興味のある方は、私あてにメールをお送りください。(kumasaka@juntendo.ac.jp

 
LAM細胞と
リンパ内皮
  α-SMA陽性の
LAM細胞
     
 
附属病院内の人体病理診断科:静岡病院東京江東高齢者医療センター練馬病院
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