スタッフ紹介、研究、業績等、順天堂大学大学院感染制御科学に関する様々な情報をご案内します。

順天堂大学大学院 各研究分野紹介 環境と人間

研究


  当教室では主に(1)黄色ブドウ球菌の薬剤耐性メカニズムを解明すると共に、(2)新規抗菌薬「復帰抗生物質」の開発を行なっています。次世代シーケンサーMiSeq による全ゲノム解析、クローニング、タイピング等の分子生物学的解析から、ポピュレーション解析や最小発育阻止濃度(MIC)の測定などの生きた菌を使った細菌学的解析まで、幅広い技術を用いて研究を行っています。
   
  (1)黄色ブドウ球菌の薬剤耐性メカニズムの解明
  1. mecA 遺伝子は何処から来たのか
mecA はブドウ球菌のメチシリン耐性に関与している遺伝子で、SCCmec と呼ばれるゲノムアイランド上に存在しています。当教室では2001 年には世界に先駆けて、黄色ブドウ球菌の全ゲノム配列を解明しました。これらの研究を基盤とし、MRSAの進化の歴史を調査しています。mecA 遺伝子は鶏、馬などに寄生するブドウ球菌S. fleurettiiの染色体上に由来することを見出しました。またブドウ球菌属と先祖を共有する、M. caseolyticusにもmecAのホモログが存在することを見出し、メチシリン耐性遺伝子は、ブドウ球菌がヒトなど哺乳動物に寄生を始める以前から自然界に広く分布していた可能性を示しました。今後、ブドウ球菌の薬剤耐性の遺伝学的獲得機構、哺乳動物への寄生のメカニズムなどを解明して行きます。

SCCmecの構造。mecAを持つmec-gene コンプレックスと、ゲノム間の水平移動に関与するccr-gene complexからなる

2. MRSA のバンコマイシン耐性機構の解明
耐性変異株60 株の全ゲノム塩基配列を決定し、バンコマイシン耐性に関与する遺伝子を網羅的に同定しました。一時的なバンコマイシン抵抗性獲得現象(sVISA) によって、バンコマイシン感受性菌感染症でもバンコマイシン治療が成功しない、臨床の現場で大きな問題となっている現象のメカニズムが解明されました。RNA polymerase beta subunit などの変異が重要な役割を果たしていることが分かり、現在も研究を進めています。

cmk遺伝子に変異の入った株と親株の、電子顕微鏡写真。cmk変異株は細胞壁が肥大し、VAN耐性を獲得している。

   
  (2)新規抗生物質の開発
  多剤耐性MRSA に有効な抗菌薬を探索して、約2,000の土壌由来放線菌培養液をスクリーニングした過程で、キノロン薬耐性菌に特異的に有効なナイボマイシンを見いだしました。更にナイボマイシンの耐性変異株はキノロンに対する感受性を再獲得してました。復帰抗生物質という新たな概念の薬剤として2012 年に発表しました。現在、NYB の誘導体からNYBを上回る活性と安全性を有する新規骨格抗菌化合物を合成し、その評価を行なっています。

キノロン薬とNYBの関係。復帰抗生物質は抗菌薬と細菌の鼬ごっこを解消することが期待されている。

   
 

調査研究のお知らせ

 
 
 


Copyright © 2005 JUNTENDO All Rights Reserved.