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研究概要

糖尿病性潰瘍とは?

   糖尿病は合併症と呼ばれる様々な病気を併発する事が知られています。そのひとつに糖尿病性足潰瘍、または足壊疽があります。足に傷ができた場合、それがなかなか治らず潰瘍化します。潰瘍が悪化した場合壊疽と言って組織が死んでしまった状態となります。原因としては、主に神経障害と血行障害がありますが、治療が困難な場合が多く、下肢の切断に至り日常生活に困難をきたす場合や生命さえも脅かされる場合があります。

血管内皮前駆細胞(血管幹細胞)とは?

   血管内皮前駆細胞(血管幹細胞)とは血管になる能力を持つ細胞です。この細胞は英語でEndothelial Progenitor Cellsと呼ばれていることから、EPCと言われています(以下EPCと呼ぶ)。通常、EPCは骨髄と呼ばれる部分に存在していますが、ケガなどで組織や血管が損傷されるとEPCが血液の中を流れて、損傷部位に呼び集められ、新たな血管を作り、組織の修復を行います。

血管再生治療とは?

   EPCが血管を作るのに大きな役割を担っていることが分かってから、多くの研究者がこの細胞を使用し、虚血(血流が不足する状態)によって引き起こされる疾患の新しい治療法にならないかと研究が開始されました。それが血管再生治療です。血管再生治療とは、患者さまご自身の血液や骨髄の中からEPCを集めて、血管の再生が必要な部分の皮下や筋肉に注射の要領で移植する新しい治療方法です。臓器移植と違い大きな手術の必要もなく、必要な部分へ移植するので効率が高く、ご自身の細胞を使う事で拒絶の可能性も低く安全に行えます。既に閉塞性動脈硬化症や虚血性心疾患などでは臨床治験が始まっています。

最先端次世代研究支援プログラム採択課題の研究概要

(1)研究の背景

   糖尿治性足潰瘍のために、年間約1万人の患者さんの足が切断されています。糖尿病性足潰瘍が治らない理由のひとつは、糖尿病患者さんの血管を再生する力をもつ幹細胞(血管内皮前駆細胞 Endothelial Progenitor Cells、または、EPC)の数と働きが劣っていることです。これまで私たちは、患者さん自身から採取したEPCを足に移植する治療法を試してきましたが、細胞の質と数に限界があり、その効果は限定的です。

(2)研究の目標

   EPC移植の治療効果の改善には、より質の高い、より多くのEPCを得ることが必要です。私たちは、患者さんから採取したEPCを特定の組み合わせの細胞と混合培養することでEPCの質と数を飛躍的に改善する独自の方法(ハイブリッド型生体外増幅培養法)を、患者さんに実用可能な方法として確立し、その治療効果を検証します。

(3)研究の特色

   私たちは既に、体外増幅培養方法を用いてマウスEPCの数と機能を回復することに、世界に先駆けて成功しています。そこで得られた知見・経験を生かすことで、この画期的な血管再生治療法をヒトで実現することは十分可能であると考えます。

(4)将来的に期待される効果や応用分野

   本研究でその増幅法を確立するEPCは、足潰瘍のみならず、糖尿病患者の脳梗塞、心筋梗塞などの虚血性病変すべてに対する血管再生治療に適用できるとともに、ほかの病気の血管再生治療への広範な応用も期待されます。