Biomed Res Trace Elem Vol.16, No.1: pp.50-59, 2005

原著論文

血清中の銅・アミノ酸錯体の過酸化脂質生成における影響

井上節子1,2, 信太直己1, 岩井秀明1, 石原 恵2, 中島 滋2, 長岡 功3, 山倉文幸4, 池田啓一4,5

1順天堂大学スポーツ健康科学部環境保健学, 3医学部生化学・生体防御学, 4化学, 5環境医学研究所, 2文教大学女子短期大学

要旨 : 19-20歳の健常女性で日常栄養摂取状況を検討した。血清を分子量5万を境界として分画してそれぞれの分画の銅含量を測定したところ、1600 kcal/日以下の栄養低摂取群の分子量5万以下分画の銅含量は通常摂取群に比べ有意に高かった。脂質過酸化量は低栄養摂取群で有意に増加し、銅依存性に低密度リポ蛋白質(LDL)酸化が増加していた。一方、脂質過酸化はヒスチジン濃度が増加すると低下した。そこで種々のヒスチジン/銅比でのLDL酸化を検討したところ、ヒスチジン増加によりLDL酸化が低下した。これはヒスチジンが銅とキレート形成することによるものと思われた。一方、正常摂取群血清ではヒスチジン濃度が低くとも過酸化脂質濃度は低く、またグリシン濃度は低摂取群でより高かったので、ヒスチジン:銅とキレート形成にグリシンが影響すると考え、検討したところ、グリシンはヒスチジン:銅錯体によるLDL酸化を抑制した。