第19回日本キチン・キトサン学会, 2005

ランチョンセミナー

グルコサミンの抗炎症作用と血流改善作用

長岡 功

順天堂大学・医・生化学・生体防御

Abstract : グルコサミンは、結合組織や軟骨組織に多く分布し、各器官の強度、柔軟性、弾力性の維持に寄与している。近年、グルコサミンの変形性関節症への予防および治療効果が注目され、関節軟骨の修復作用を中心にグルコサミンの研究が行なわれてきた。しかし、関節炎などの炎症性疾患の病態には好中球が深く関わっており、グルコサミンが好中球機能に影響することによって関節症に改善効果をもたらす可能性が考えられる。また、グルコサミンには血流速度を改善する作用が見られることから、グルコサミンの血栓予防に対する効果も期待される。そこで本研究では、炎症にともなう組織障害において中心的な役割を果たしている好中球、および、血液凝固において中心的役割を果たしている血小板に注目し、それらの機能におよぼすグルコサミンの効果を検討した。
 グルコサミン(0.01〜1 mM)は濃度依存的に好中球の活性酸素生成、オプソニン化ザイモサンの貪食と、それにともなう顆粒酵素の細胞外放出を阻害した。また、グルコサミンは好中球の遊走を阻害し、刺激によるCD11b発現の増強、シグナル分子p38 MAPキナーゼのリン酸化およびアクチンの重合を抑制した。さらに、グルコサミンはADP刺激による血小板凝集、TXB2合成や顆粒成分(ATP,PF4)の放出を阻害することがわかった。また、グルコサミンは、ADPで刺激した血小板におけるシグナル分子Sykのリン酸化や細胞内カルシウムの動員を抑制した。
 以上の結果から、グルコサミンは、好中球や血小板に作用して、それらの機能を抑制することがわかった。したがって、グルコサミンは、変形性関節症などの疾患において好中球機能を抑制して抗炎症作用を発揮するだけでなく、血栓形成をともなうような疾患において血小板機能を抑制して治療あるいは予防効果を発揮する可能性が考えられる。

【参考文献】

  1. Hua J, Sakamoto K, Nagaoka I: Inhibitory actions of glucosamine, a therapeutic agent for osteoarthritis, on the functions of neutrophils. J Leukoc Biol 71: 632-640, 2002.
  2. Hua J, Suguro S, Iwabuchi K, Tsutsumi-Ishii Y, Sakamoto K, Nagaoka I: Glucosamine, a naturally occurring amino monosaccharide, suppresses the ADP-mediated platelet activation in humans. Inflamm Res 53: 680-688, 2004.