体力・栄養・免疫学雑誌 Vol.15, No.1: pp.28-37, 2005

原著論文

栄養摂取、運動による銅平衡の変化と過酸化脂質の生成

井上節子1,2, 長岡 功3, 石原 恵2, 古田佐織2, 中島 滋2, 岩井秀明1

1順天堂大学スポーツ健康科学部, 3医学部生化学・生体防御学, 2文教大学女子短期大学

要旨 : 本研究では、栄養摂取の状態、運動直後の血液中の銅平衡の変化、活性酸素の消去に働くCu、Zn-SOD活性に注目して、過酸化脂質生成に及ぼす影響について調べた。19-20歳の健康な女性(n=17)を対象に、食事調査、生活時間調査、10分間の運動による運動前後の血液中の銅濃度、SOD活性、過酸化脂質濃度の変化を調べた。運動後、血清銅濃度、血球銅濃度、ヘマトクリット値が高くなり、銅摂取の少ないヒト血清中では過酸化脂質が増加した。運動前のSOD活性は普段の運動に関係があったが、運動後の活性は赤血球中の増加した銅濃度の割合と関係があった。運動後に血球で増加した銅がSODの前駆体に働き、SOD活性が高くなり活性酸素を消去して、脂質の活性酸素による酸化を抑制した。しかし、過剰に血球中の銅が増加するとSOD活性が低下して、血液中の過酸化脂質濃度が増加した。