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研究テーマ

当教室では、以下の研究課題について細胞生物学的および分子生物学的に解析することによって、白血球の機能発現機構、白血球の分化・成熟機構、殺菌タンパク質の作用機構・転写調節機構、炎症機構を明らかにしようとしています

主な研究テーマは以下の通りです

  1. 低分子量GTP結合タンパク質を介した白血球機能発現機構の解析
  2. 白血球の活性酸素生成機構
  3. 白血球の分化・成熟機構
  4. 殺菌ペプチドの作用機構・転写調節機構
  5. 殺菌ペプチドの敗血症・エンドトキシンショックに対する治療応用
  6. 健康食品の白血球機能と血液レオロジーにおよぼす影響


研究内容

1. 低分子量GTP結合タンパク質を介した白血球機能発現機構の解析

低分子量GTP結合タンパク質であるADP-ribosylation factors(ARFs)は、細胞内小胞輸送や細胞運動に関わる調節タンパク質として知られているが、最近、白血球機能の調節分子としても注目されつつある。そこで、ARFsおよびARFsの活性化に必要なguanine-nucleotide-exchange proteins (GEPs)を介した白血球の機能発現およびその調節機構について検討している。 [][参考文献]

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2. 白血球の活性酸素生成機構

白血球の活性酸素生成酵素NADPH oxidaseは、細胞膜シトクロームb558 (gp91phox, p22phox) と細胞質因子 (p47phox, p67phox, p40phox p21rac) から成る複合酵素系である。これら成分の遺伝子異常として慢性肉芽腫症 (chronic granulomatous disease : CGD) が知られている。そこで、CGDにおける分子異常を遺伝子レベル、タンパク質レベルで解析している。特に、細胞質因子のタンパク質分解酵素による分解機構に注目している。[図1, 2][参考文献 1, 2]

また最近、細胞膜スフィンゴ糖脂質がmicrodomainを形成して、シグナル伝達に関与することが種々の細胞系で報告されている。そこで、白血球が発現している糖脂質、特にラクトシルセラミドの活性酸素生成における働きを検討している。[][参考文献]

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3. 白血球の分化・成熟機構

好中球と好酸球は骨髄の共通の前駆細胞に由来し、それぞれの細胞に特異的、あるいは共通のタンパク質を発現している。我々は、好中球で特異的に発現している殺菌ペプチドのα-デフェンシンに着目し、その遺伝子プロモーターとそれに作用する転写因子を解析することによって、未分化造血幹細胞から好中球への分化を誘導するスイッチ機構を解析している。[参考文献]

また、好中球と好酸球はNADPH oxidaseをともに発現していることから、好中球と好酸球の分化・成熟段階におけるNADPH oxidase構成成分の発現について検討している。[][参考文献 1, 2]

さらに最近我々は、殺菌ペプチドのcathelicidin(CAP11やCAP18)が、好中球の成熟段階の後期に特異的に発現することを見出した。そこで、これらの遺伝子プロモーターと転写因子を解析することによって、好中球の成熟機構を明らかにする予定である。[参考文献 1, 2]

また、白血球の分化・成熟に異常の見られる骨髄異形成症候群(MDS)などについても解析する予定である。

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4. 殺菌ペプチドの作用機構・転写調節機構

β-デフェンシンやcathelicidinのような殺菌ペプチドが骨髄系細胞だけでなく上皮細胞において発現することが最近明らかになった。そこで、これら殺菌ペプチドが、マスト細胞、上皮細胞、線維芽細胞に対してどのような作用をおよぼすかについて解析している。[][参考文献1, 2, 3]

さらに骨髄系細胞や上皮組織におけるβ-デフェンシンとcathelicidinの転写調節機構についても検討している。[][参考文献1, 2]

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5. 殺菌ペプチドの敗血症・エンドトキシンショックに対する治療応用

殺菌ペプチドのcathelicidinがLPS結合能を有することが明らかになったので、これらの殺菌ペプチドがエンドトキシンショック(LPS)に保護効果を示すかどうかを検討する。また、その作用機序を解明するために、LPSのCD14陽性細胞への結合やToll-like receptor (TLR)を介したTNF-α生成に及ぼすcathelicidinの影響を検討している。[][参考文献1, 2]

さらに、殺菌ペプチドをアデノウイルスベクターを用いて細胞・組織に遺伝子導入し、in vivoで抗菌力を増強させることによって、薬剤耐性菌による感染症に対する臨床応用の可能性について検討している。

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6. 健康食品の白血球機能と血液レオロジーにおよぼす影響

健康食品であるグルコサミンが変形関節症に対して予防効果、治療効果を示したり、血流改善効果を示したりすることが知られている。そこで我々は、グルコサミンが好中球や血小板に影響することによって抗炎症作用や血流改善効果を示すのではないかと考え、グルコサミンの好中球機能や血小板機能におよぼす影響を検討している。[図1, 2][参考文献 1, 2, 3]

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