日本二分脊椎研究会

代表世話人を退任して

ご挨拶

前代表世話人 宮野武

平成28年7月15日の日本二分脊椎研究会の世話人会で代表世話人を退任させて頂くことをお認め頂き、有難うございました。

 私は1983年(昭和58年)の本研究会発会以来事務局長、そして1986年(昭和61年)以来代表世話人を務めさせて参りました。
 本研究会は二分脊椎の患者さんに対する専門分野を横断した集学的治療並びに本症の病因、病態、臨床的研究を目的として創設されました。

私は1969年→70年、英国リバプールのアルダーヘイ小児病院に留学しました。帰国した私は、英国と我が国との本症児者に対する治療の実態があまりにかけ離れた状況に愕然と致しました。そこで上記目的により本会創設を企画致しました。  恩師駿河敬次郎先生(当時順天堂大学小児外科教授)を中心に脳神経外科の分野から松本悟先生(当時神戸大学脳神経外科教授)、整形外科から坂口亮先生(当時整肢療護園院長、整形外科部長)そして泌尿器科分野から宮﨑一興先生(当時神奈川県立リハビリテーションセンター泌尿器科部長、後、同院長)そして私が事務局長と云うことでスタートしました。恩師のご定年退職後私が代表世話人となり今日までやってまいりました。

この間私の方針は決して無理をせず、流れのままに各科領域の理解を深め、専門的医師の養成ならびに集学的治療の目的を実現することでした。

脳神経外科、整形外科、泌尿器科、その他の領域(小児外科やリハビリテーション科など)の4領域で4年に一度の持ち回りで学術集会を開催、その時の当番世話人(会長)の意向・方針に沿って主催して頂いて来ました。

医学・福祉の進歩と患者さんの成長とともに患者さんのQOL改善など、新たな問題も出て来ましたが、その時代に最も必要とされるテーマが選ばれて来たと思います。また医師のみでなく看護師はもとよりコメディカルの方々、患者さんの代表の方々も出席され、活発な討論が開かれて参りました。

振り返るとこの間本症患児者の治療にも詳述しませんがいくつか大きな進歩が見られました。胎児治療も一時試みられましたが未だ多くの困難があるようです。一方出生前診断により人口流産により本症児の出生の減少している先進国もあるようです。
 近い将来、再生医療の進歩により、脊髄神経の再生と云う夢のような画期的進歩がもたらされるかも知れません。

これまで医の心に則って誠実に本症児者の診療に取り組まれて来た多くの会員の皆さまに心から敬意を表します。今後共本症児者のより良いQOLの改善のためご尽力頂くことをお願い申し上げます。
 後任の代表世話人に私の後継者、順天堂大学小児外科・小児泌尿生殖器外科 山高篤行教授を御指名頂きました。私は彼の順天堂大学入学以来指導に当たって来ました。全力で取り組んでくれるものと確信いたしております。ご支援ご協力の程何卒よろしくお願い申し上げます。
 以上、本会の益々の発展と皆様のご健勝を心から祈念し代表世話人退任のご挨拶と致します。

宮野 武

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