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研究

基礎研究

臨床研究


 

臨床研究

 
臨床研究の背景
糖尿病学はこの20年間に大きな進歩を遂げ、新しいインスリン製剤や経口薬剤が続々と登場しました。しかし、他方では社会的構造に起因する小児や青少年における運動不足と過食による肥満者の増加、中壮年期における不規則な生活とストレスの過剰、食生活の偏りなどの諸問題が糖尿病の発症を促進させると同時に、糖尿病治療の大きな障壁になっています。現在、日本中の医師や医療スタッフが糖尿病の予防と治療に努力していますが、思うような効果が上がらないことを実感しています。このような状況を好転させ、真に役立つ予防法と治療法を確立するには基礎研究の成果を踏まえつつ、質の高い臨床的研究を積極的に推進していく必要があります。

研究のテーマ
1)糖尿病および糖尿病合併症に関する遺伝子多型解析
   順天堂大学倫理審査委員会の承認を受け、糖尿病外来に通院する患者さんからインフォームドコンセント取得後に遺伝子解析用の血液をご提供頂いて、これまでに糖尿病や糖尿病合併症の発症・進展に関わる多数の遺伝子多型を報告してきました。しかし、今やゲノムワイド関連解析(GWAS, Genome-Wide Association Study)の時代であり、単一の施設で、糖尿病発症や合併症発症に関与する真の遺伝子の同定は不可能であります。
   そこで私たちは、理化学研究所遺伝子多型解析センターと共同研究を展開するとともに、個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクトである“メタボリック・シンドローム関連疾患における個別化医療の実現”の研究グループに参画し、日本人の糖尿病発症に関与する新規遺伝子多型の探索を行っています。

2)臓器別インスリン感受性の決定因子としての細胞内脂肪量の意義
   脂肪が蓄積するのは脂肪組織だけではありません。肝細胞にも筋細胞にも蓄積されます。私たちは以前からMRI機器メーカー、順天堂大学放射線部と共同研究を行なって、1H-MRS(proton magnetic resonance spectoroscopy)による肝細胞と骨格筋細胞の細胞内脂肪量の定量評価法を独自に確立しました (Tamura Y. et al. J Clin Endocrinol Metab. 90:3191-3196. 2005)。

   私たちはすでに、細胞内脂質の蓄積が臓器別インスリン抵抗性に関与するデータを有しておりますが、逆にアスリートパラドックスという名前で知られているとおり、運動習慣を有する人では、細胞内脂質の蓄積度がインスリン感受性と正に相関することを示唆するデータも得ております。したがって、細胞内脂質と、臓器別インスリン感受性の真の関係は明らかではありません。
   そこで、現在、臓器別インスリン感受性評価法として、安定同位体を用いたグルコースクランプ法を確立し、細胞内脂質の本当の意義を検討しております。かかる結果は、個々の糖尿病患者の病態の解明を通じて、糖尿病の個別治療の実現に有益であると考えています。

3)頚動脈超音波検査法などによる初期動脈硬化の評価を用いた糖尿病治療のありかたの確立

写真:頚動脈エコー法による内膜中膜複合体厚の評価
   図は当科における頚動脈超音波検査の様子です。Bモード頚動脈超音波検査による頚動脈の内膜・中膜複合体肥厚度(内膜と中膜を合わせた部分の厚み、intima media thickness: IMT)は、現在では5〜10年先の心筋梗塞や脳梗塞などのイベントの予知因子として重要視されています。
   頚動脈超音波検査時にはIMTと同時にプラークや石灰化についても評価しています。本検査は瞬く間に世界中の初期動脈硬化を評価する臨床検査法のスタンダードになっております。この方法を用いて、新規糖尿病治療薬や各種糖尿病治療法が動脈硬化進展にどのような効果を与えるのかを解析しています。
   また、絶えず、IMTとは異なる特徴をもつ動脈硬化の検査法の習得にも努めています。

4)各種糖尿病治療法の臨床評価
   糖尿病の治療の基本は、食事療法、運動療法です。したがって、治療の主役はあくまでも患者さんです。患者さんに、適切に食事療法、運動療法をしてもらうには、糖尿病教育が重要です。当科では、患者心理の研究に力を入れ、その結果をいかして、効率的な糖尿病教育の実現に努めています。
   経口糖尿病薬、インスリン製剤、その他の注射薬など、現在、多種類の血糖降下薬が存在します。また、インスリン製剤使用に当たっては、自己血糖測定器の併用はもちろんのこと、一部の患者では、小型化された、プログラミング可能な携帯型インフュージョンポンプも使われています。しかし糖尿病治療に必要な薬はそれだけではありません。降圧剤、脂質異常症改善薬など。多岐にわたります。我々は、あらゆる側面からこれらの治療薬と治療方法の評価を行っています。

5)妊娠糖尿病、糖尿病合併妊娠の病態と適切な治療法の開発
   現在、日本では、糖尿病発症の若年化と出産の高齢化がすすんでいます。これは、すなわち、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠の増加を意味します。当科では、これらの疾患の病態解明と治療法の開発を行っております。

6)合併症の病態解明
   糖尿病の問題点は多くの合併症を併発することです。網膜症、腎症、神経障害からなる細小血管障害と大血管障害だけでなく、糖尿病患者では、不眠症、悪性腫瘍、認知症などの発症が増加することが知られております。当科では、それらの合併症の発生頻度や病状などを解析し、今後の病態解明につなげてくことを目標としております。

7)甲状腺疾患の臨床研究
   当科が担当している疾患のなかでは、甲状腺疾患は、糖尿病についで、頻度の高い疾患です。当科では、臨床において、未だ明らかにされていない甲状腺疾患管理の方法や、病態解析の方法などに関して検討を行っています。
 
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